ラブライブ!スーパースター!!第八話「結ばれる想い」感想 ~五線譜の上、結び合わせた未来は~

皆様、こんにちは。
もうすっかり涼しくなってしまい、夏の暑さに懐かしさすら覚えてしまう今日この頃ですが、進捗いかがですか。


こんなのを見ると、「やはり、かのんはツッコミ役なんだなあ……」という気持ちが出てくるんですよね。
穂乃果や千歌はボケ役の印象が強い部分がありますし、歩夢も割と天然ボケな一面があるのを考えると「ツッコミ役のセンターポジション」は貴重なのでは、と思うところがあります。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第八話」からの引用です。



夢見る少女じゃいられない

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志半ばでこの世を去った母親・花が遺した結ヶ丘女子高等学校を守り、「この街で一番の高校となる」ことを「必ずなしとげる義務」として、たったひとりで戦うことを決意した恋。「学園祭を音楽科メインで行う」という公約破りも、結ヶ丘に入学希望者を集めるための苦渋の決断だったようです(作中においてはかのんたちの推測という形で語られてはいますが、概ね真実なのだと思われます)

ただし、このときに唇を噛みしめるような表情を見せたり、「学園祭は音楽科メイン」を宣言する際に言いよどんだりと、どこまでが彼女の本心なのかわかりかねるところもあるんですよね。

ラブライブ!スーパースター!!第七話「決戦!生徒会長選」感想 ~未来の色はまだ、ぼやけて見えやしない~ - メガネ(裏)

おそらく、当初の公約である「普通科と音楽科が手を取り合う学校を目指す」というスローガンこそが彼女の本心だったと思うんですよね。しかし、理事長から次年度の入学希望者数が芳しくないことを知らされ、苦肉の策として公約破りをブチかました、というところではないでしょうか。


それはそれとして、そんな恋の本心を知る由もない普通科と音楽科の対立はいよいよ本格化。そもそも、これまでのストーリーでさんざん示唆され、すみれも「そりゃそうよ。元々、みんな感じていたからね」と話すように、火種はその辺にいくらでも転がっていました。爆発は時間の問題だったのです。
どうにか両者の仲を取り持とうと奔走するかのん。彼女の心には、神津島でのSunny Passionとの交流で生まれた「みんなのために歌いたい」という想いがあったのでしょう。しかし恋から事情を口止めされているせいで、それもなかなか上手くいきません。詳しい事情を言えないがために普通科・音楽科の両者から言われ放題かつ圧され放題のかのん、まあまあ不憫です。

しかし、そんなかのんの奮闘は、ある意味では無駄ではなかったのかもしれません。かのんの動きを聞きつけた恋はスクールアイドル同好会の部室を訪れ、最後に残された「謎」について語り始めます。

かのんたちが、そして視聴者であるわたしたちが最も知りたかった「謎」。
恋がスクールアイドルを敵視する、その理由を。

恋「かつてここには、学校を廃校から救うためにアイドル活動をする生徒がいました」

恋の母親はスクールアイドルとして、神宮音楽学校を廃校の危機から救うべく活動していたこと。しかし、その夢は結局叶わず、学校は廃校となってしまったこと。恋の母親がスクールアイドルとして活動していた記録は一切残っておらず、そのことから恋は「母は学校を救うことが出来なかったスクールアイドル活動を後悔していたのではないか」と考えたこと。それが、彼女が語ったスクールアイドル敵視の理由でした。
「この街で一番の高校になる」という「必ずなしとげる義務」を持つ彼女にとって、廃校を阻止出来なかった「負の実績」を持つスクールアイドルは、けして認めることが出来ない存在となってしまったのでしょう。「約束された勝利」に固執するかのような今までの姿勢も、このあたりに由来していたのかもしれません。

スクールアイドルは廃校阻止の夢を見るか

神宮音楽学校、そして葉月恋の母親に秘められた過去。それを聞いた多くの視聴者は、かつて伝説を作り上げたスクールアイドルたちの姿を思い浮かべたのではないでしょうか。あるひとは音ノ木坂学院を救うために活動したμ’sのあり得たかもしれない可能性を見たかもしれず、またあるひとは浦の星女学院を廃校から救うことが出来なかったAqoursの姿をそこに重ね合わせたかもしれません(わたしの場合はどちらかというと前者でした)
しかし、思い出してみてほしいのです。わたしたちが知る「ラブライブ!」において、スクールアイドルが学校を救ったという明確な事実が、今までにあったのかということを。

「無印」では、確かに音ノ木坂学院は廃校の危機を脱しました。しかし、それはμ’sの活躍だけで成り立ったものではなく(ストーリーの流れでそう見えている部分はありますが)、あくまでもオープンキャンパスの成果などを総合的に判断した結果です。「サンシャイン!!」においては、先述したようにそもそも廃校を阻止することは出来ませんでした。


スクールアイドルには学校を救う力はないのかもしれない。しかし、もしそうだとするなら、学校を救うことが出来ない彼女たちの活動には意味はないのでしょうか。

少なくとも、わたしたちはその答えを知っているはずです。

たとえ、夢のカタチがそこになかったとしても

「母はスクールアイドル活動を後悔していたはず」という恋の言葉に懐疑的なかのんは、真相を確かめるべく結ヶ丘に残された神宮音楽学校時代の資料を捜索します。そして彼女は、スクールアイドル同好会部室の奥に眠っていた一冊のノートを発見するのです。

そこに残されていたのは、かつてのスクールアイドルたちの想いでした。

「学校がひとつになれたから。この活動を通じて、音楽を通じて、みんなが結ばれたから。最高の学校を作り上げることが出来たから。」

恋の母親はスクールアイドル活動のことを後悔していなかったと、そのノートには綴られていました。廃校阻止という「結果」ではなく、それを目指す「過程」において、みんなの心が、絆が、想いが結ばれていったこと。そこにスクールアイドル活動の意義があったのだと、彼女は感じたのでしょう。

ラブライブ!」シリーズにおいても、「廃校阻止の可否」や「『ラブライブ!』優勝」そのものではなく「それらを目指すにおいて穂乃果や千歌たちが何を得ていくのか」を描くのがメインとなっている部分があるかと思います。

ラブライブ!スーパースター!!第二話「スクールアイドル禁止!?」感想 ~今、こころが駆け出すんだ~ - メガネ(裏)

これをセルフ引用するのはめちゃくちゃ恐縮なのですが、つまりはこういうことだと思うのです。恋の母親たちが「得て」いったもの。それこそが「結ばれる想い」だったのではないでしょうか。

葉月 花「スクールアイドルは、お母さんの最高の思い出!」

想いの詰まったノートの存在に触れた恋は、かつての母の言葉を思い出すのです。きっと彼女は、神宮音楽学校への、そしてスクールアイドルへの思い出に込められた母の「想い」の大きさを実感したのでしょう。
これもまた、過去から現在へ、そして母から娘へ向けて贈られた「結ばれる想い」なのではないでしょうか。


さて、ここでひとつ疑問が残るわけです。「なぜ、恋の母親はスクールアイドル活動の記録を残していかなかったのか」と。その答えに対するヒントもまた、伝説に名を残したスクールアイドルが持っていました。
「サンシャイン!!」の時代において、音ノ木坂を救った神話的存在としてその名を知られていたμ’s。しかし音ノ木坂の生徒曰く、μ’sは学校に「何も残していかなかった」といいます。「モノなんかなくても、心は繋がっているから」と。
恋の母親の行動と重なる部分がありますね。たとえカタチあるものは残せなくとも、スクールアイドルとして歩んでいく中で生まれ、育まれてきた想いや絆はけして消えず、それぞれの心のなかに無限に残っていく。それを知っていたからこそ、恋の母親はわかりやすいカタチで何かを残していくことはしなかったのでしょう……。

理事長「はい、残っていたお母さんたちの活動の記録」

実は残っていた記録もあったという点については、ご愛嬌ってことで。
現実的なことを言うならば、全く記録が残っていないというのも、それはそれでマズいでしょうからね……。

夢を叶えるその名を叫べ

「この場所で作られた、たくさんの想いのために歌いたい」というかのんの気持ちに応え、ついに仲間入りをはたした恋。今ここに「スーパースター」が完成したのです。
そして、わたしたちは目撃します。結ヶ丘に集いし「スーパースター」がひとつとなり、新たな絆が未来を照らすその瞬間を。

かのん「1!」
可可「2!」
すみれ「3!」
千砂都「4!」
恋「5!」

わたしたちにとってはお馴染みともいえる、あの号令。可可が「夢見ていました!」と語るように、それは数多くの夢見る少女たちによって、その想いとともに受け継がれたものだったのでしょう。
かのんたちがその号令を受け継ぐということ、それは「彼女たち」の想いを受け継ぎ、その歴史に名を連ねるということなのだと、わたしには感じられるのです。


そして迎える学園祭のライブステージ。
かのんたちは、自らの存在証明として高らかに宣言するのです。

「私たちは、結ヶ丘女子高等学校の……、」
「スクールアイドルです!」

こぼれ話

「自分のために」から「みんなのために」へ

今回のエピソードにおいて、普通科と音楽科の対立関係を解消するために奮闘し、「この場所(=神宮音楽学校、そして結ヶ丘女子高等学校)で作られた、たくさんの想いのために歌いたい」という想いから恋を仲間に引き入れた我らが主人公、澁谷かのん。それはSunny Passionとの交流で生まれた「みんなのために歌いたい」という気持ちが成した行動なのではないかというのは、先述した通りです。
スクールアイドルとしての澁谷かのんのファーストステップは「ここ(=スクールアイドル)でなら、私も歌えるんだ」という想いからでした。ある意味では「自分のために」スクールアイドルになったといえます。しかし、スクールアイドルとして歩みを進めていく過程で、彼女の想いは着実に変化しているように思えるのです。
変化の兆しを見せたこの想いが、いかにして「私を叶える物語」として昇華していくのか。今後の展開が待たれますね。

「0か100か」が唐 可可でやってくる

可可「ですが、今のままでは葉月さんは……」

葉月家の家庭事情を知り、同情的な態度を見せる可可。今までの対抗姿勢はどこへやら。

可可「考えてみればそうでした。葉月さん、スクールアイドルに反対なのですよね!」

……かと思えば「恋はスクールアイドルを敵視している」という事実を思い出して対抗姿勢をぶり返してみせたりと、なんていうか忙しないですね。
「敵か味方かの二者択一しかないんかい……?」という心配が出てくる部分もありますが、それはそれ、これはこれ。

野望は、いつだってデカくあるべき

かのん「恋ちゃん、センターやってみない?」



すみれ「私はセンターをやるのは、もっと大きなステージって決めているから」


真面目な話をするなら、このステージは「この街で一番の高校となる」という恋の「義務」達成の第一歩となるものなので、恋がセンターとなることについての意義みたいなものはあるよねという気持ちはあります。

今回のここ好きポイント

恋「……入学希望者、増えるでしょうか?」
かのん「正直言うと、わからない」

ここで安易に「絶対大丈夫だよ」みたいな気休めを言わないかのん、誠実さが垣間見えて好き。




ついにメンバ全員が集結し、「五人揃ってオールスター」となった結ヶ丘スクールアイドル部(特に説明もなくさらっと同好会から部に昇格していて、これに気づいたときは驚きましたね……)
ここから、彼女たちの新たなるストーリーが……、


しれっと普通科の制服を着ている葉月 恋・イズ・何?!

そして、「そうか、まだグループ名は『Liella!』じゃないんだな……」という事実に思い至るなどするわけです。
さて、かのんたち「スクールアイドル部」は、いかにして「Liella!」となるのでしょうか。