ラブライブ!スーパースター!!第十話「チェケラッ!!」感想 ~そんな気持ちは、ここで最後に~

皆様、こんにちは。
「アニメニジガク」二期の放送スケジュールが決定しましたが、進捗いかがですか。


そうです。ついに、「アニメニジガク」二期の放送スケジュールが決定したのです。やったぜ。
「R3BIRTH」の三人も出るということなので、一期と比較すると縦軸が強めなストーリー展開になりそうだなという予測があるのですが、はてさて。
いずれにせよ、「どこに向かうか まだわからないけど 面白そうな未来が待ってると」思えてきますね。



あと、「にじよん」は紙媒体で出してくれ。頼むから。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第十話」からの引用です。



波乱のLoveLive!、お題はRap?

いよいよ開催される「ラブライブ!」地区予選。
毎年、出場校最多記録を更新し続けているという「ラブライブ!」。そのような状況を受けてか、今回の地区予選には課題が設けられることになりました(可可が言うところの「ふるい落とし」ですね)

シブヤレポーター「ということで、課題はぁー……、こちらっ!」

どこかで見覚えのあるレポーターから発表された地区予選の課題。それが「ラップ」でした。早くもエピソードタイトル回収ですね。まあ、「流行の最先端地区」と「ラップ」にいかなる関係があるのかはちょっと理解しかねますが……。


それはそれとして、Liella!にとってラップは未知の領域。方向性を模索するかのんたちですが、なかなか悪戦苦闘している様子。明らかに経験が不足していそうなかのんや恋、日本語に不慣れな可可はともかくとして、第二話にてラップを披露していた千砂都ですら、ダンスに集中すると肝心のラップが疎かになってしまうという弱点を露呈します。
そんな中、意外な才覚を発揮したのが……、


www.youtube.com

平安名すみれ。そう、あのすみれです。

「これでも小さい頃からショウビジネスの世界で場数は踏んでいるの。アドリブだったら負けないわ!」と豪語するすみれ。そんな自信満々の彼女に、かのんたちは光明を見出したようで……。

憧れのCenter、待つのはFear?

すみれ「ん……? あれ? これって、もしかして……」

平安名すみれ、ついにセンターに大抜擢。
しかし、あれだけ憧れていたセンターポジションに立つ絶好の機会だというのに、すみれは妙に尻込みする様子を見せ、挙句の果てには逃亡まで図る始末。いつもの自信満々なキミは、どこへ行ったのだ……?


かのん曰く、これは今回に限ったことではないようです。これまでのストーリーにおいて、すみれがセンターにこだわる様子を何度も見てきたことを考えると、意外にも思えてきます。
しかし、かのんは続けて語ります。

かのん「たぶん、自信がないんだろうな。今までのことがあるから」


どんなに望んでも、ついにステージのセンターに立つことが叶わなかった過去。つまり「敗北」の経験が、すみれの心に恐怖を生じさせているのではないかと。

これまで、事あるごとに「ショウビジネスの世界にいた」ことをアピールしてきたすみれ。しかし、その内容はほぼ過去形で語られるものでした。
小さい頃は主役に憧れ、一生懸命頑張って、いろんなオーディションを受けてきたと言うすみれ。しかし、どんなに頑張ったとしても最後はどうでもいい脇役。そんな状況に、いつしか彼女は頑張ることをあきらめてしまったのではないでしょうか。その「敗北」の経験が、ただスカウトを待ち続けるという受動的行動に繋がっていったのではないとも思えるのです。

ラブライブ!スーパースター!!第四話「街角ギャラクシー☆彡」感想 ~銀河の海、超えてゆけ!~ - メガネ(裏)


かつて、すみれと同じように大きな「敗北」を経験し、その「敗北」に押しつぶされそうになったことがあるかのんには、彼女の気持ちが痛いほどわかってしまうのではないでしょうか。

しかし、かのんは同時に確信していたのでしょう。
今のすみれが、それだけではないということを。

すみれ「きゅうじゅうきゅう……、ひゃーく……!」

Liella!メンバがかのん宅の喫茶店で話し合っていたのと同じ頃、すみれ宅である神社の境内。そこにあったのは、今までにないほどに熱心に自主練習を行うすみれの姿でした。

すみれは走ります。センターで輝くことが出来なかった過去の「敗北」を振り切るかのように。
すみれは叫びます。「ちっぽけな昨日までの私じゃない」と宣言するかのように。


しかし、そんな彼女の想いなど知ったことかと言うかのようにに、現実はその鋭い牙を剥くのです。

すみれをセンターに据えたパフォーマンス。かのんたちはそれを動画にして、学校のみんなに見てもらうことにします。しかし、その評価は芳しいものではありませんでした。そのパフォーマンスを見たひとたち曰く、「楽曲は予選突破を狙えるレベル」・「しかし、センターであるすみれが気負いすぎてしまっている」とのこと。
すみれのパフォーマンスを見たひとたちは、その裏に隠された彼女の努力や想いを知ることはありません。しかし、それゆえにその評価、特に「気負いすぎてしまっている」という指摘は、残酷なまでに本質を捉えているように思えるのです。

すみれ「この学校のスクールアイドルなんだから、みんなの意見に従うのが当然でしょ」

すみれ「そもそも、ショウビジネスの世界を歩いてきた私が、『ラブライブ!』なんていう素人の大会の予選くらいでセンターやるのはおかしいって思ってたの」


自身に向けられた手厳しい評価を目の当たりにし、硬い表情で語るすみれ。そんな彼女の姿に、わたしは既視感を覚え、そしてすぐにその正体に思い至りました。
第一話のかのんです。

ここで「才能がない」という言葉が逃げ口上のように使われていますが、実際はそんなことはないのでしょう。
可可は何度も彼女の声を「スバラシイ」と言っていますし、千砂都も「かのんちゃんの歌、聴いていたいけどな」と告げています。冒頭に描かれた中学校時代においても、「きれいな声」という称賛の声が上がっていました。
しかし、それらの声は「敗北」に囚われているかのんには届かない(おそらく、過去においてもそうだったのでしょう。人前で歌えなかったトラウマのせいで)

ラブライブ!スーパースター!!第一話「まだ名もないキモチ」感想 ~つまずきも羽根にして~ - メガネ(裏)


「才能がない」という根拠のない言い訳を盾にして、歌うことをあきらめようとしたかのん。
学校のみんなからの評価、そして「ショウビジネス出身」という経歴を盾にして、「ラブライブ!」地区予選(素人の大会の予選)でのセンターという大役から逃げ出そうとしたすみれ。
そんなふたりの姿が、わたしには重なって見えたのです。

すみれが事あるごとに口にする「ショウビジネスの世界で生きてきた」という言葉。それが単なるビッグマウスでないということはLiella!のメンバだけでなく、わたしたちもよく知るところです。しかし、その言葉の裏に「虚勢」や「強がり」がなかったかと言われると、否定出来ないのではないかと思うところがあるんですよね。
もしかすると、すみれは気づいていたのかもしれません。「ショウビジネス出身」という経歴は、もはや盾とするにはあまりにも頼りないものになってしまっているということに。その盾が守ってくれるのは、自信に満ちあふれた自分自身ではなく、虚勢を張ることしか出来なくなった自分自身であるということに。
たまらずその場から立ち去ろうとしたすみれの前に、ある人物が立ちはだかります。

それは、可可でした。

疑いの眼差し、変化の兆し?

はたして、あの「グソクムシ」にセンターが務まるのだろうか? 他のメンバとは異なり、すみれに対する懐疑的な態度を隠さない可可。
まあ、可可がすみれのことを「グソクムシ」呼ばわりし、厳しく当たっているフシがあるのは、今にはじまったことではないですけど。


個人的にはこういう部分があったので「グソクムシ」呼ばわりも致し方なしと思っていたところはありますが、今はそういう話ではないですね。


それはそれとして、可可がすみれに対して厳しく当たるのは、「ショウビジネス出身」という経歴をさかんにアピールし、その一方でスクールアイドルを「アマチュア」と評して、その活動に対して不真面目であること(少なくとも、可可にはそう見えているのでしょう)が気に食わなかったというのは、要因のひとつとして想像がつくところでしょう。
しかし、かのんに促されてすみれの様子を伺い、そのイメージを覆すかのように自主練習に励む彼女の姿を見て、可可はその認識を改め、そして期待を寄せたのではないでしょうか。
そして期待を寄せたからこそ、自身に向けられた評価を目の当たりにして弱気になり、言い訳に言い訳を重ね、挙句の果てに逃げ出そうとするすみれの姿は、可可にとっては見るに耐えないものだったのでしょう。


逃げ腰のすみれに対し、「何、逃げようとしてるデスカ!」と叱責する可可。その言葉はいつものように、あるいはそれ以上に真っ直ぐなものでした。しかし、そんな言葉も今のすみれには届くことはなく、彼女はそのまま立ち去ってしまいます。

しかし、可可はあきらめませんでした。
かつて、かのんに対して約束したように。

あふれる感情、掴むは希望?

放課後。
いつもの練習場所である屋上に遅れてやってきたすみれは、そこに行く途中で可可と出くわしそうになります。誰かと電話中の彼女は、どうやら練習を抜け出してきたようです。気まずさからか、思わず姿を隠すすみれ。そんな彼女の耳に、可可の会話が聞こえてきました。当然、中国語によるその会話はすみれに理解出来るものではありません(ついでに言うと、わたしも全くわかりません)。翻訳アプリを起動させ「盗み聞き」するすみれ。その内容は、衝撃的なものでした。

スクールアイドルとして結果を出せなければ、可可は故郷である中国に帰らなければならないというのです。


ただでさえ、センターポジションに立つことに対する自信を失っていたすみれにとって、それは追い打ちをかけるかのような真実であり、より一層のしかかる重圧でもありました。
もし、自分のせいで「ラブライブ!」に出場することが出来なくなったら、結果を出せなくなったら……。すみれは、そう考えてしまったのかもしれません。

しかし、そんなすみれに対して、可可は力強く告げます。

可可「可可があなたに任せたのは、あなたがふさわしいと思ったからデス!」

「スクールアイドルが大好き」というその一点において、誰にも負けないくらい強い気持ちを持っている可可。そんな彼女が語る言葉だからこそ、それはどこまでも真っ直ぐ、そして力強く響きます。その言葉は、歌うことをあきらめようとしたかのんの背中を押し、彼女に歌を取り戻させるきっかけを作ったあの日を思い起こさせます。
可可は差し出します。センターポジションの証であるティアラを。かつて、すみれが手に入れることが出来なかった憧れの結晶を。

そして……、

すみれ「ギャラクシー!!」

受け取ったのは、その身を押しつぶす重圧ではなく力強く背中を押す期待。
その瞳に宿すのは、あやふやな虚勢ではなく確かな自信。
その胸に秘めるのは、自分を偽るための奢りではなく自分を認めるための誇り。

今ここに、ショウビジネス界の申し子・平安名すみれのめくるめくステージが幕を開けるのです。

「敗北」からの解放、「飛躍」への一歩。

さて、わたしにとって、第十話のファーストインプレッションは以下のようなものだったんですよね。


ここで言う「フォローエピソード」は以下のツイートの流れを踏まえたものなので、参考までに挙げておきましょうか。


控えめに言って悪口が五割ほど含まれている話なので恐縮なのですが、(アニメ時空における)Liella!において、すみれが成す役割というのが今ひとつ見えにくいという印象があったんですよね。奇しくも、今回のエピソードで触れられた「すみれはスクールアイドルとして高いポテンシャルを持っているが、特化した才覚を持ったメンバが揃ったLiella!においては目立たない存在になってしまいがち」という点に重なる部分があるようにも思いますが、それはそれ、これはこれ。
以前は「すみれが作詞担当になるのでは?」という予測もあったのですが、今のところ、その気配は微塵も感じられませんし。

「FIRST FAN BOOK」での記載から見るに、どこかのタイミングですみれが作詞担当に切り替わっていくのではないかと思っているのですが、はてさて。

ラブライブ!スーパースター!!第五話「パッションアイランド」感想 ~いつも笑い絶やさないあの子も~ - メガネ(裏)


そういうわけで、「すみれがLiella!の中で何かしらの大きな役割を担うエピソード」、あるいは「すみれが自分自身の手でセンターポジションを掴み取るエピソード」あたりが見てみたいなという気持ちが、わたしの中にはあったのです。

そして迎えた今回のエピソード。
早い段階ですみれメイン回であることが判明し、そして実際に、彼女がセンターポジションを掴み取るまでの過程が描かれていきました。
しかし、すみれが今回センターポジションに選ばれたのはあくまでも消去法によるもの。「地区予選の課題がラップである」というシチュエーションがたまたま他のメンバに不向きだっただけで、彼女自身の実力によるものではない。最初のうちは、わたしにはそう思えてしまったのです。

すみれ「ありがとう、可可」
可可「すみれ……」

しかし、このシーンを観直していくうちに、わたしはある考えに至りました。

もしかしたら、すみれにもそれが十分にわかっていたのではないかと。今回、センターポジションを掴み取ることが出来たのは、この特殊な状況に助けられた部分もあったのだと、理解していたのではないかと。
しかし、彼女はその現実に失望もしなければ満足もしませんでした。今回掴み取ったセンターポジションは、あくまでも「通過点」であって「到達点」ではない。今度は誰にもお膳立てされることなく、自分自身の手で再びセンターポジションを掴み取ってみせる。可可にティアラを差し出すすみれから、そのような意思を感じたのです。

今ここにいるのは、過去の「敗北」に囚われ、立ち止まるだけのちっぽけな少女ではありません。輝く光をその手に掴むために大いなる一歩を踏み出した、ひとりの誇り高きスクールアイドルなのです。


これから、すみれがスクールアイドルとしてどのような道を歩み、いかにしてセンターポジションをその手に掴むのか。今後とも目が離せないのです。
まさしく「チェケラッ!!(「Check it out!!」=「注目せよ!!」)」なんですよね。

こぼれ話

「アキバレポーター」じゃなくて「シブヤレポーター」だし

シブヤレポーター「ジャンッ! 今年もついに『ラブライブ!』がはじまりまっーす!!」

彼女の姿が映し出された瞬間、「ぎゃあっ! 出たあっ!!」と叫びだしそうになったのは秘密ということでお願いします。だって、「アニメニジガク」では影も形もはっちゃけてなかったし……。


正直な話をすると、こんな濃いキャラクタが同じ時空に何人もいてたまるか、という気持ちはあるんですよね。「無印」・「サンシャイン!!」と「スーパースター!!」が別時空というのであれば、「プリティーシリーズ」のめが姉ぇみたいな存在だとして納得出来るんですけど……。

「衣装担当」が唐 可可でやってくる

可可「衣装作りは、可可の仕事ですので」

可可がアニメ時空においても衣装担当だと言及されたのって、実ははじめてなのでは……? わたしとしては第六話でステージ演出のギミックを作っていた印象が強く、衣装担当だというのを軽く失念していたというのはあるんですよね。

可可の衣装デザインについては、「始まりは君の空」と「START‼︎ True dreams」で、それぞれベクトルがかなり違う衣装がお出しされたこともあって、引出しが広いという印象があります。まあ、本編で披露された衣装はいかにも「アイドル!」といったものが多いですし、「始まりは君の空」や「START‼︎ True dreams」がアニメ時空においてどのような扱いになるのか、まだまだ未知数な部分はあるんですけどね。

今回のここ好きポイント

千砂都「そんなとき、かのんちゃんに降りてきた『Dreaming Energy』!」

「前回の『ラブライブ!スーパースター!!』」より。
挿入歌タイトルをこういう形で拾ってくるのは、小技が効いているなという気持ちがあります。




前回の次回予告からは、全く内容の予測がつかなかった第十話。
フタを開けてみれば、すみれの「ライジング」回とも言える内容で、いい意味で予想を裏切る展開となったなと思うところはあるんですよね。


「あの場所」とは一体……? どうやら予告映像に映っているのは、幼少期のかのんが初めての「敗北」を経験したステージのようですが、はてさて。

次回も「チェケラッ!!」ですね。