ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期第三話「sing!song!smile!」感想 ~ピース&ピース合わせゆこう、輝けマスターピース~

皆様、こんにちは。
「季節の変わり目」という枕詞をつければ許されると言わんばかりに、気候が安定してくれない今日この頃ですが、進捗いかがですか。



あと、「にじよん」は紙媒体で出してくれ。頼むから。

ラブライブ!スーパースター!!第十話「チェケラッ!!」感想 ~そんな気持ちは、ここで最後に~ - メガネ(裏)

事あるごとに言い続けてきたかいがあった……、のかもしれない。まあ、「ラブライブ!」公式がわたしのツイッタやこのブログまで見ているとは思えませんが。
それはそれとして、動画媒体だと見たいエピソードを探すのが一苦労だったわけで、これで色々とはかどるところです。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像は注記がない限り「TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期』第三話」からの引用です。



時として出した音が 不協和音でも


彼方「みんなー!」
かすみ「はじめまして!」
エマ「私たち……、」
エマ・彼方・璃奈・かすみ「『QU4RTZ』です!」

エマ・彼方・璃奈・かすみ。個性豊かな四人が集い、満を持して結成されたユニット・「QU4RTZ」。しかしと言うか、案の定と言うか、その結成までの道程は平坦なものではありませんでした。


かすみ「はふーん、ぜんっぜん気持ち揃わないじゃないですか……」


エマ「全然揃わないよー……」
彼方「彼方ちゃん、疲れたー……」
璃奈「私もー……」
かすみ「私たち、やっぱりバラバラですね……」

エマたち四人の「気持ち」が、とにかく揃わないのです。
かすみや彼方が発案したライブ構想は、その個性の強さのあまり他メンバから却下され、璃奈が発案した「四人の気持ちを揃えるためのゲーム」においても、彼女たちの回答は一向に揃いません。挙句の果てには「ソロでやったほうがいいのではないか」という「そもそも論」まで出てきてしまいます。

しかし「そもそも論」で言うのであれば、現在のスクールアイドル同好会が「ソロアイドル」という手段を選んだのは「みんなが『バラバラ』である」からでした。
メンバそれぞれが「バラバラ」であるからこそ、それぞれが魅力的である。そして、その魅力を存分に発揮するためには「ソロアイドル」こそがベストな手段である。それが彼女たちの選択だったのです。

「アニメニジガク」一期において、旧スクールアイドル同好会はせつ菜と他メンバの音楽性、もとい方向性の違いから廃部という結末を迎えてしまいました。その経緯を踏まえて、新生スクールアイドル同好会で選択された方針が「ソロアイドル」。個性も価値観も方向性もバラバラな九人のスクールアイドルたちが、それぞれのステージで自分らしく輝くための手段。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期第二話「重なる色」感想 ~声を繋いで、思いを重ねて~ - メガネ(裏)


そして、「メンバそれぞれが『バラバラ』であり、だからこそ魅力的である」という理論は、今までの「アニメニジガク」や「ラブライブ!」シリーズでも数多く語られてきているんですよね(「無印」二期第六話が、その代表例でしょうか)。無論、これについては「作品の根幹をなすテーマだからこそ、手を替え品を替え、何度でも描いていく」という部分はあるかと思います。
しかし、今回の「アニメニジガク」においては、それだけで満足することはありませんでした。

君と見た景色が真実なんだ

侑が抱えていた悩みと、その悩みを同好会のみんなで解決する様子を見ていたエマたち四人は、そこから「気づき」を得ます。


彼方「実はみんな、ひとのことはよく見えてて、自分のことは見えてなかったりするのかなー、って」

「『自分が出来ること』って、なんだろう」。
「『自分が得意なこと』って、なんだろう」。
「『自分の強みであること』って、なんだろう」。
「『自分がやりたいこと』って、なんだろう」。
「『自分が大好きなこと』って、なんだろう」。
「『自分らしさ』って、なんだろう」。

おそらく、誰もが一度がこのような悩みに直面したことがあるのではないでしょうか。もしかしたら、今まさに、このような悩みに直面しているひとがいるかもしれません。「自分」とは、自分自身にとって最も身近な存在。「灯台もと暗し」という言葉もある通り、身近であるがゆえに気づけないことは、案外たくさんあるんですよね。
しかし、「自分」はひとりきりだとしても「自分たち」であればひとりきりではない。自分以外の存在、つまり「みんな」との関わりによって、わたしたちは自分ひとりでは気づくことが出来なかった「自分らしさ」を見出すことが出来るのです。それは、今回のエピソードのように直接的に教示されるかもしれませんし、その関わりを通じて間接的に気づきを得るものかもしれません。
そして、その気づきはわたしたちが「みんな」から一方的に与えられるだけではなく、わたしたちが「みんな」に対して与えることだって出来るかもしれないのです。今回のエピソードにおいても、エマたち四人は合宿を通じて各々の魅力を再発見し、そこからそれぞれの「自分らしさ」を見出すことに繋がったのですから。
「みんな」との関わりによって見出し合うことが出来る「自分らしさ」がある。これは、ファンや仲間といった「みんなとの繋がりを大切にする」エマたち四人だからこそ到達出来た結論であると、わたしには感じられるのです。

違わなきゃ出来ない ハーモニーとシナリオ

www.youtube.com

QU4RTZの最大の魅力が、四人が織りなす「ハーモニー」にあるというのは、わたしたちの多くが感じているところではないかと思われます。
「ハーモニー」は、ひとりきりでは作れない。しかし、たとえ何人も集まったとしても、その全員が同じ音を出していれば、それは「ハーモニー」になることは出来ない。そして、ただバラバラな音というだけでも、それは「ハーモニー」として成立することはない。
メンバそれぞれがバラバラでありながら、それぞれが魅力的な個性を持っている。そして、その個性をお互いに見出し合い、認め合い、尊重することが出来る。そんな四人だからこそ、その歌声は調和を織りなし「ハーモニー」を生み出すことが出来るのだと、今回のエピソードを見てきたわたしには思えてくるのです。

また、この曲はBメロに「クラップ」が導入されているのも特徴的ですよね。昨今の情勢として、ライブパフォーマンスにおいてファンが主体的に「参加」するのは難しい状況というのがあります。そんな中でも「クラップ」は、ファンが主体的に「参加」出来る数少ない手段のひとつであるわけです。こういったところでも、「みんなとの繋がりを大切にする」QU4RTZらしさを感じられる部分があるんですよね。

誰も同じじゃない それこそが生きている意味だから

今回のエピソードにおいて「気づき」を得たのは、QU4RTZの四人だけではありませんでした。

「アニメニジガク」第一期においてスクールアイドルと出会い、彼女たちの夢を応援するうちに自身も「音楽をやりたい」という夢を見つけ、その夢への一歩として音楽科へと転科した侑。しかし、その道程もこれまた平坦なものではありませんでした。


(「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期」第一話より)


(「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期」第二話より)

これまでのストーリーにおいても、音楽科で出された課題や補講で四苦八苦している様子は何度も描かれてきましたし、


歩夢「あんまり、無理しないでね?」
侑「平気、平気! やりたいことなんだから、大丈夫だよ!」
(「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期」第一話より)

傍から聞いた限りでは、とてもじゃないけど大丈夫とは思えない「大丈夫」発言が何度も出てきていましたし。


そして、今回のエピソード。
転入生・転科生を対象とした補講の最終日。そこで「作曲」の課題を与えられた侑は、これまで以上にその課題に苦戦することになりました。同じく補講に参加していたミアからは「求められているものを忠実に作れば、それでいい」というアドバイスを受けるのですが、そのアドバイスはかえって侑を迷走させてしまいます。
しかし、侑は同好会のみんなとの対話を通じて「気づき」を得ることが出来ました。その「気づき」とは、自分自身の「オリジン」です。


侑「音楽をやりたいと思ったのは、みんなみたいに、自分を表現出来るひとになりたかったから」

「求められるものに応えるのは、大切なことだもの」と果林も語る通り(読者モデルとして活躍する果林がこれを語ることの、説得力よ!)、それは確かに大切なことです。しかし、侑が本当にやりたかったことは、そういったことではなかったはず。スクールアイドルから、同好会の仲間たちから受け取った「トキメキ」が、彼女にもたらしたものは。

「特にやりたいこともなくて、これでいいんだろうな、これで正しいことなんだろうなって」。そう思いながら日常を過ごしてきた可可。そんな日々の中で、彼女はスクールアイドルと出会いました。自分の気持ちを素直に、まっすぐに歌い、ステージの上でキラキラ輝くスクールアイドルに可可は憧れを抱き、スクールアイドルを目指すようになったのです。

ラブライブ!スーパースター!!第三話「クーカー」感想 ~ひとりじゃないから、あきらめないで~ - メガネ(裏)

それはきっと、μ'sやAqours、Liella!、そして虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会といった、数多くのスクールアイドルたちが、彼女たちの「先導者」が持っていた「輝き」に見出したものと、本質的には変わらないもの。そのように、わたしは思うのです。


侑「この世界に、私は、私しかいない。上手く出来なくてもいい。私にしか出来ないことを……!」

侑は、自分だけのメロディを奏でます。
新たな青空へ、その一歩を踏み出すために。新たな地図を、その心に描くために。


こぼれ話

本当の私、弱い私を


果林「明日……、朝七時に電話くれる?」

一見すると、「エマに対してはカッコつけておきながら、愛にはヘルプを求めるんかい!」というギャグシーン。しかしながら、「アニメニジガク」一期第九話での経験を得ることで「果林にとって、弱みを見せられる相手が増えた」と考えるなら、なかなか感慨深くなるシーンでもあるんだよなという気持ちが出てくるんですよね。

今日もかすみんが可愛い


かすみ「服飾同好会から、可愛い衣装を、たーっくさん借りてきましたよお!」


かすみ「えへっ! あはっ! きゃぴっ! きゅるるーんっ!!」

だいさんわでもかすみんがたくさんうごいていてとてもかわいかったのでよかったです。

それはそれとして、今回のエピソードにおいても、かすみの一人称の「私」率が高めだったように思います。これまでの「アニメニジガク」(そして、それに限らず他媒体においても)においては、かなり徹底して「かすみん」だったんですけどね……。

「スクールアイドル同好会と真っ向から衝突する価値観を持つランジュが現れたこと、そして彼女に対するファーストインプレッションが悪かったことで、少なからず心が乱されていた」あたりが、その主な要因といったところでしょうか……?

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期第二話「重なる色」感想 ~声を繋いで、思いを重ねて~ - メガネ(裏)

この解釈の方向に沿って考えるのであれば、今回のエピソードにおける「私」率の高さは「スケジュールの逼迫や、四人の気持ちか一向に揃わないことからの焦り」あたりがその要因かなと思うところがあるのですが、はてさて。
一般的によくあるストーリーだと「他の三人に心を開いたので、キャラを作る必要がなくなった」というのもありがちなんでしょうけど、個人的な解釈としては、かすみはそういう方向で「ボロを出す」ことはないんじゃないかなというのがあるんですよね。

今回のここ好きポイント


侑「私には、みんなみたいな個性はないし」
歩夢「えっ」

「なにそれこわい」って続くやつ。

今回のここ好きポイント その2


彼方「……これ、なんか恥ずかしいねー」

照れる彼方ちゃん、割と貴重なショットなのでは。
いつもの彼方であれば「彼方ちゃん、照れちゃうぜー」みたいな感じでおどけてみせるところかなと思う部分があるのですが、それすらしていないあたり、ガチで照れてますよね。




「侑が音楽科でいかにして『物語』を叶えていくか」ということについては「アニメニジガク」二期の縦軸のひとつとして、1クールかけてじっくりやっていくものと思っていたところがありました。しかし、この縦軸が第三話にてケリが付いたということで、驚きが出てくるところがあるんですよね。
まあ、これ以外にも縦軸となりうる要素はいくつも存在しますし、彼女が再び道に迷うことがあるかもしれませんし。今後のストーリーからも、まだまだ目が離せないところです。


第二話・第三話にてQU4RTZ結成、次回のエピソードタイトル、そのタイトルコールを担当するふたりの声。これはまさか……?

次回や、いかに。