ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期第六話「“大好き”の選択を」感想 ~その手を掴んで、その手で掴んで~

皆様、こんにちは。
大型連休も終わり、今後二ヶ月ほど連休がなくなってしまった今日この頃ですが、進捗いかがですか。



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八時間オーバーという特大ボリュームで放送された「今日は一日“ラブライブ!”三昧」。まさに「満足」の一言に尽きましたね。
セットリストとしては、概ね「『ラブライブ!』スターターデッキ2022」といった印象。フルサイズで披露された楽曲が思っていた以上に多く、その点においてもなかなか好印象といったところです。
それはそれとして、なんの前フリもなしに「グソクムシのうた」を突っ込んでくるのは、(それがジングルだとしても)ちょっと止めてほしかった。腹筋に悪い。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期』第六話」からの引用です。



ふたりの「私」、ふたつの「大好き」

せつ菜「生徒会長とスクールアイドルって、全然違うものですから。どちらも大好きでやりたい私としては、このままのほうがいいと思うんです」

せつ菜「二学期で会長の任期は終わりですし、スクールアイドルと生徒会の職務を一緒にやれる機会なんて、もうないかもしれません!」


「生徒会長・中川 菜々」としての顔も持つスクールアイドル・優木せつ菜。厳格な家庭で育ってきた彼女は、その正体を隠しながらスクールアイドル活動を行っていました。「スクスタ」においては「両親にスクールアイドルや、マンガ・アニメといったオタク趣味を禁止されていた」という背景があるようですし(わたしは「スクスタ」をプレイしてないので……)、もしかするとアニメ時空でも似たような事情があったのかもしれません。
しかし、せつ菜はけして「スクールアイドル活動をするために仕方なく生徒会活動をやっていた」とか「学業や生徒会活動からの逃避としてスクールアイドル活動をやっていた」わけではない。スクールアイドル活動と生徒会活動、その双方がせつ菜にとって同じように「大好き」なものであるということを、彼女自身にきちんと語らせているのが、なかなか好感が持てるシナリオ運びだなと、わたしには思えるんですよね。
そして、そのスタンスは「スクールアイドルのファン」と「音楽家」、その両方で「大好き」を叶えようとしている侑に通ずるものを感じさせます。むしろ、スクールアイドルと生徒会長、その両方で「大好き」を叶えようと頑張るせつ菜の姿を間近で見てきたからこそ、侑もまた、ふたつの「大好き」を叶えようと志し、同じように頑張れるのでしょう。

侑にとって「大好き」がたったひとつだけでないように、「大好き」を叶える道も、たったひとつだけではない。そして、片方の「大好き」を叶えるための努力が、もう片方の「大好き」を叶えるための活力・原動力にも繋がっていく。きっとそれが、侑が信じる、そして侑にしか出来ない「『大好き』を叶える」方法なのでしょう。わたしには、そう感じられるのです。

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「アニメニジガク」一期において「音楽をやりたい」という「夢」を手に入れ、今まさにその「夢」に向かって歩みを進めている侑。しかし、彼女の「夢」はそれだけではないはず。「大好き」なスクールアイドルを、一番近くで応援すること。それもまた、彼女にとっての「夢」であり続けているのではないでしょうか。

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また、「ラブライブ!」シリーズにおいて「大好き」は最強の感情であるというのが、わたしの考えとしてあります。たくさんの「大好き」をその胸に宿し、「大好き」を原動力として、スクールアイドル活動を、そして生徒会活動やオタク趣味も全力で突き進むことが出来る。ある意味では「欲張り」とも言えるせつ菜は、まさに「本気系スクールアイドル」の肩書きを冠するにふさわしい存在と言えるでしょう。そして、そんな彼女だからこそ、侑たちニジガクメンバにとっての「先導者」たりうる。そのように、わたしには感じられるのです。

選ぶな、欲張れ、さすれば与えられん

侑「キャパオーバー?!」
栞子「皆さんのユニットや、ランジュのライブが話題になっていたのは、もちろん把握していたのですが……」
せつ菜「締切直前に参加の応募が殺到してしまって、すべてを行うのは不可能な状況です」

第二回スクールアイドルフェスティバル、そして、その運営を担うせつ菜たちスクールアイドル同好会に降りかかった思いもよらぬ事態。最大限に楽観的な解釈をすれば嬉しい想定外と言えなくもないのですが、その状況は無邪気に喜ぶことを許してはくれません。
栞子や他の生徒たちの言う通り、参加者の抽選を行ったり、文化祭のスケジュールを調整すれば、スクールアイドルフェスティバルを当初のスケジュール通りに行うことは可能なのかもしれません。しかし、そのようにして「大好き」を「選択」(「選別」と言ったほうがより正確なように思われますが、あえてこの言葉を使いましょう)することは、せつ菜や侑たちが理想とするスクールアイドルフェスティバルとはかけ離れたものとなってしまう。それは、彼女たちが望んだことではないのです。

侑は言いました。「スクールアイドルフェスティバルは、『好き』っていう気持ちさえあれば、誰でも参加出来るようなお祭りにしたいんだ」・「いろんなひとたちが、『好き』を伝えあえればいいなって」と。

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今回のエピソードにおけるこの展開を見たとき、「そうきたか……!」という気持ちが出てきた部分があるんですよね。あるいは、「してやられたな……!」という気持ちと言ってもいいかもしれません。
エピソードタイトルやそのコール担当がせつ菜であったことから、今回のエピソードがせつ菜メインであることは容易に想像がついたところはありました。その上で彼女が「大好き」を「選択」するということは、「『スクールアイドル活動』と『生徒会活動』で板挟みになって、何らかの『選択』を迫られる展開なのでは……?」という予測が、わたしにはあったんですよね。もしかすると、皆様にもそのように考えたひとがいるかもしれません。今にして思えば、アニメ第二期では第一期と比較してせつ菜が生徒会活動に邁進する場面が多く描かれていた印象があり、そのことも先述した予測を導く要因となっていたのかもしれないというところはあります。
しかし、今回のエピソードにおいてせつ菜に迫られた「選択」とは「スクールアイドルフェスティバル」と「文化祭」、言い換えるとするなら「自分たちの『大好き』」と「別の誰かの『大好き』」、あるいは「スクールアイドルやそのファンの『大好き』」と「虹ヶ咲学園生徒の『大好き』」の「選択」だったわけなのです。
あえて、もう一度言いましょう。「してやられたな……!」と。


それはそれとして、このような事態に対して、せつ菜の、もとい「生徒会長・中川 菜々」の下した判断は迅速なものでした。「スクールアイドルフェスティバルとの合同開催を白紙にして、正式な学校行事である文化祭を例年通り行うことを最優先とする」。栞子も言う通り、それは「(虹ヶ咲学園の)生徒会長として、正しい判断」なのでしょう。
しかし、「スクールアイドル・優木せつ菜」として、その判断は正しいと言えるのでしょうか。

いいえ、そんなことはありません。
「大好き」を原動力として突き進むのが「スクールアイドル・優木せつ菜」であるとするならば、彼女はその「大好き」を、なにひとつとしてあきらめてはいけない。
彼女は、もっと「欲張り」になるべきなのです。


せつ菜は言いました。「いっぱい考えました。でも、私には何も思いつかなかったんです」と。しかし、せつ菜はこのとき見失っていました。彼女は、ひとりきりでないということを。

生徒会の仲間たちが。

スクールアイドル同好会の仲間たちが。

そして、スクールアイドルフェスティバルに参加表明した数多くのスクールアイドルたちが、彼女に手を差し伸べてくれる。
たったひとりでは手が届かなくとも、誰かと手をつなぎあえば、きっとその手はどこまでも届くのです。

歩夢「はじまったのなら、貫くのみ! でしょ?」

そして背中を押すのは、かつて仲間に告げた言葉。誰かに「勇気」を与えた言葉が、今度は自分に「勇気」を与える。背中を押す側と背中を押される側が反転されるこの展開、ベタながらも思わず胸が熱くなります。


せつ菜は再び立ち上がります。仲間と手をつなぎ合い、スクールアイドルフェスティバルと文化祭の合同開催の手段を模索するせつ菜たち。
そして、彼女たちは気づきます。「参加表明したスクールアイドルの所属高校が、みんな同じ週に文化祭を開催する」ということに。そこから導き出されたのは、「各高校でスクールアイドルフェスティバルを合同開催することで、キャパシティを分散させる」という、ハチャメチャ一歩手前のアイデアでした。しかし、スクールアイドルたちや虹ヶ咲学園生徒会の奮闘、さらに紫苑女学院のスクールアイドルフェスティバル参加表明もあり、五校合同によるスクールアイドルフェスティバル開催が見事に成し遂げられたのです。

きっとこれは、せつ菜が「スクールアイドルフェスティバル」と「文化祭」、その両方をあきらめず「欲張った」からこそ、その手に掴むことが出来た「奇跡」なのでしょう。

そして思い起こされるのは、「サンシャイン!!」二期第三話。学校説明会と「ラブライブ!」予備予選、その両方をあきらめることなく「欲張って」、そして成し遂げた高海 千歌たちAqoursの姿。
せつ菜は知らず知らずのうちに、レジェンドスクールアイドルの「軌跡」を辿っていたのかもしれない。わたしには、そう思えてくるのです。

こぼれ話

流しそうめん同好会」のほうが、まだ普通だと思えてしまう

生徒会副会長「こけし同好会の申請書類、記入漏れがあるわね」

こけし同好会」の字面よ。
あまりにも聞き慣れない言葉だったので、三回くらい聞き直してようやく言葉の意味を理解したのですが、それについてはここだけの秘密ということにしておいて下さい。あるいは、その字面のキテレツっぷりに脳が理解を拒否していたのかもしれない。

藤丸先生のスクフェス組四コマ、空気感が大好きなんですよね

藤丸先生デフォルメ版での歩夢とせつ菜は、なかなか貴重だと思う。少なくとも、わたしは見た覚えがない。

藤丸先生がご存じなかったのは案の定というか、何というか。「ニジガク」がアニメ化することも、1stライブでの本発表のときまで、全く知らされてなかったらしいですしね……。

今日もかすみんが可愛い

かすみ「生徒会長だとわかるところは、後でカットしておきますからー」

だいろくわのかすみんはだいよんわやだいごわとくらべればたくさんうごいていてかわいかったのでよかったです。

あくまでも「比べれば」レベルですが、それはそれ、これはこれ。かすみんがたくさん動いていて可愛ければ、それでいい。

今回のここ好きポイント

せつ菜「悪気はなかったんです!」

悪気・イズ・何。





せつ菜たちの奮闘によって、無事に開催されることとなった第二回スクールアイドルフェスティバル。
その一方、今回のエピソードのCパートにおいて、栞子の姉・薫子から、衝撃の事実が明かされました。

薫子「やりたいって言ったじゃない、スクールアイドル。このお祭りに協力しているってこと、そういうことでしょ?」


栞子が、スクールアイドルを志していた……!? これまでのストーリーにおいてそんな素振りはまるで無かったように見受けられましたが、これはわたしの目がフシアナだったのか……?!
それはそれとして、これによって、栞子がスクールアイドルの道に進むための導線が本格的に見えてきたといったところでしょうか。ここでいつもの「ラブライブ!」であれば「サンシャイン!!」一期第四話や「アニメニジガク」一期第五話のように「やりたいという気持ちこそが一番大事」という方向でさらなる導線をつないでいくのでしょう。しかし、「同じことを何度もやっても面白くないのでは?」という気持ちもあれば、「大事なことだからこそ手を変え品を変え、何度でもやっていくかも?」という気持ちもあるわけで。ある意味では、今までで一番「読めない」展開と言えるかもしれません。
さあ、栞子が進む道は「『ラブライブ!』が貫く王道」なのか、はたまた「『ラブライブ!』が切り開く新たなる道」となるのか。

刮目せよ、次回を。