ラブライブ!スーパースター!! 二期第七話「UR 葉月恋」感想 ~ひとりぼっちじゃないよ、描こうよ~

皆様、こんにちは。
猛暑も少しずつ鳴りを潜め、秋支度の気配も感じられる今日この頃ですが、進捗いかがですか。


【朗報】「ちょこっとリエラ」、無事に確保。

発売日にアニメイトまで足を運んだら、フツーに売っていました。さすが専門店だ、なんともないぜ。


それはそれとして、このニュースには「そうきたか……!」という気持ちが真っ先に出てくるんですよね。
「『ラブライブ!』のアニメシリーズにはミュージカルの文脈が適用されている」というのは様々なところで耳にしてきたのですが、まさか本当に「じゃあ、ミュージカルやろう!」となるとは……。発想の柔軟性で負けた、と言わざるをえない。
大阪・兵庫が舞台であるというのも、宝塚を意識しているのが素人目にもわかりやすくて「なるほどね」を感じさせるところです。
何はともあれ、今の段階では続報待ちということになるんですよね。わかります。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像は注記がない限り「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!! 二期』第七話」からの引用です。



ひとりじゃ出来ないことも、一緒なら出来るはずだよ

理事長「だからそろそろ書記や会計も入れて、生徒会をちゃんと作ったほうがいいと忠告したのに。あの子、まだ生徒も少ないからって、ずっとひとりで……」

恋「お願いしますっ! 誰にも言わないで下さいっ! このことは、誰にも……!」
メイ「い……、いや、ちょっと……」

新入生を迎えて増加の一途をたどる生徒会業務を全部ひとりで抱え込み、オーバーワークに陥ってしまった恋。
ゲームにのめり込んだ挙げ句、スクールアイドル活動にまで支障を来す羽目になってしまい、そのことに危機感を持ちながらも仲間たちに事情を打ち明けられなかった恋。

今回のエピソードにおける恋は、とにかく「仲間に頼るのがヘタクソ」という部分が強調されていたように感じられます。それは、恋の「生真面目で責任感が強い」という気質の裏返しであると同時に、彼女が知らず知らずのうちに「イメージ」に固執してしまっていたことの表れであるように、わたしには思えてくるのです。


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自分は結ヶ丘設立者の娘なのだから、亡き母の遺した学校を盛り上げ、素晴らしいものにしなくてはならない。
自分は結ヶ丘の生徒会長なのだから、すべての生徒にとって模範になるような人物でなければならない。
そして、これらは「自分ひとり」に与えられた責務であり、「自分ひとり」に期待されていることであり、「自分ひとり」で成し遂げなければならない目標である。

恋の胸中には、そのような「イメージ」があったのではないでしょうか。そして、彼女がこの「イメージ」に固執してしまったからこそ、キャパシティオーバーを起こした生徒会業務やゲームにハマったがゆえの寝不足といった問題をすべて「自分ひとり」で抱え込み、その結果としてドツボにハマる羽目になってしまったのではないでしょうか。
さらに言うなら、「アニメニジガク」一期第六話において、かすみが璃奈に対して「ダメなところも武器に変えるのが、一人前のアイドルだよ」と語りましたが、「生真面目で責任感が強い」という「武器」が「ダメなところ」に反転してしまっていたのが、このときの恋の状況であったようにも思えてきます。

恋「仮にも私は生徒会長。この学校をまとめる存在でなければいけません。こんなことがバレた日には……!」

このシーンにおいても、恋は「かのんたちに幻滅されるのを恐れている」わけなのですが、これは「仲間たちの期待に応えられないことに恐怖を感じている」ことが反転して出力された結果であるようにも感じられてくるのです。


しかし、忘れてはなりません。恋が歩んでいる「物語」は「ラブライブ!スーパースター!!」なのです。
「『みんな』のために歌いたい」・「音楽で『みんな』を結びたい」・「応援してくれる『みんな』で勝利する喜びを分かち合いたい」と願い、歩み続けるLiella!の「物語」なのです。

すみれ「かのんが整理手伝ってって言うから」
夏美「動画で記録も一発管理!」

かのん「これ、ソロプレイは苦行だって言われてるよ?」
恋「えっ! そうなのですか?!」
可可「協力プレイで打ち倒しましょう! 可可はサポートを担当します!」

膨大な生徒会業務も強大なボスキャラも、「自分ひとり」で立ち向かわなければいけないなんてことはない。嬉しいことや楽しいことを「みんな」で分かち合えるなら、悩みや困難だって「みんな」で分かち合えば、きっと乗り越えることが出来る。「自分ひとり」ではなくて「みんな」であるからこそ実現可能なことが、きっとある。
それは、「みんな」であることを大切にするLiella!らしい精神性だなと、わたしには感じられるのです。

恋「お母様の作ってくれた学校は、私にとても素敵な出会いを与えてくれました」

その精神性は、恋にもきっと伝わったはず。
結ヶ丘設立者の娘だからと言って、結ヶ丘の生徒会長だからと言って、全部を「自分ひとり」で抱え込む必要なんてない。手を取り合って、助け合って、同じ道を一緒に歩む仲間がいてくれるのだから。
恋がそれに気づいたとき、彼女の「イメージ」はアップデートされたのではないでしょうか。そして、そのアップデートも「みんな」がもたらしてくれたものであると言えるでしょう。


「イメージ」と「『みんな』であること」。
今回のエピソードは、このふたつのポイントにおいて「スーパースター!!」二期らしさに満ちあふれたエピソードであるように、わたしには感じられるのです。

こぼれ話

「らしさ」の発揮

かのん「力になりたいの。恋ちゃんがお母さんから受け継いだこの学校を、私も一緒に盛り上げていきたい!」

前回に引き続いて、今回のエピソードも「誰かのため」を思って「誰かのため」に行動することが出来るかのんの「らしさ」が発揮されていたなと思ったところはあります。あらかじめ理事長に話を通しておく周到さを見せてきたのには、さすがに舌を巻きましたが。

また、「仲間に頼ることが出来るかのん」を描くことで対比的に「仲間に頼るのがヘタクソな恋」が強調されているというのは、ベタながらも上手いなと感じられるんですよね。

取り越し苦労でしたの

夏美「そうですの! マニーがもったいないですの!」
かのん「相変わらずだね……」

それはそれとして、かのんたちのおかげで新たな「夢」を手に入れた夏美ですが、「『マニー』を稼ぐこと」への情熱も忘れてほしくはないな、と思ってしまうのはわたしのワガママでしょうか。

ラブライブ!スーパースター!! 二期第六話「DEKKAIDOW!」感想 ~白いハート染めろ、ビタミンSUMMER~ - メガネ(裏)

「マニー」への情熱は忘れていないようなので、ひと安心といったところですの。

夏美「スクールアイドルを夢と定めた以上、私のマニーとっ! インフルエンサーのっ! 知識を総動員して……、Liella!を全力サポートしますの!」

インフルエンサー」かどうかについては、議論の余地があると思いますの。

ある種の「手癖」を感じさせられる

ギャグテイスト強めなエピソードということもあってか、いわゆる「顔芸」も数多く披露されていた今回のエピソードですが、「みんな年頃の女の子なんだから、顔芸をカマさせるのはほどほどにして差し上げろ……!」という気持ちになってしまうところはあるんですよね。まさか、千砂都まで犠牲になるとは思わなかったなあ……、という苦笑いまで出てくる。

(「ラブライブ!スーパースター!! 二期」第一話より)

「第一話から、すでにその傾向はあったでしょ」と言われれば、「それはそう」と言わざるをえないのですが。

今回のここ好きポイント

四季「恋」

四季「……恋」

大事なことなので、二回言いました。
「恋(れん)だけに、恋(こい)」というフレーズも喉元まで出てきたけど、かろうじて飲み込んだ。




ギャグテイストでありながら「スーパースター!!」二期らしさにあふれた今回のエピソードに続くのは、次回予告の内容からは全く展開が「読めない」エピソード。もはやノーヒントと言っても過言ではない。いよいよ「ラブライブ!」に挑むLiella!が描かれていくのであろうという想像はあるのですが、判断材料が少なすぎて想像の域にすら達しているのかどうか……。
しかしながら、全く「読めない」からこそ生まれるワクワクも、そこにあるのは確かなのです。そういう意味においては、次回が大変楽しみになって……、


お預け……! 圧倒的お預け……!
おのれ、新型コロナウイルスめ……!