ラブライブ!スーパースター!! 二期第九話「勝利のために」感想 ~色褪せない僕らのストーリーを、一緒に~

皆様、こんにちは。
猛暑がすっかり鳴りを潜めたかと思いきや、今度は台風が猛威を振るう今日この頃ですが、進捗いかがですか。


今回のリリースイベントで披露された楽曲については、CDで聴いていた段階から「ライブでやったらバチクソに盛り上がるんだろうなあ……」という印象が強かったのですが、実際のパフォーマンスにおいてもまさしくその通りだったので満足の一言。やはりこのご時世、ナチュラルにクラップを取り入れられる楽曲は強いなといったところはあるんですよね。3rdライブツアーで現地参加するのが、さらに楽しみになってきます。あとは、ライブチケットを確保出来るかどうかだ……!
それはそれとして、「私のSymphony」はネタバレ無しで観たかったなあ(ついうっかり、ツイッタのトレンドを見てしまったせいで!)


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!! 二期』第九話」からの引用です。



三者三様の「物語」

ラブライブ!」東京大会進出を決めたLiella!のもとに伝えられた、「Sunny Passionがウィーン・マルガレーテに敗退した」との報せ。千砂都から指摘された、一年生と二年生の実力差。このままではLiella!の「ラブライブ!」決勝進出は難しく、そうなると可可はスクールアイドル活動を続けられなくなるかもしれない。そのように考えたすみれから出されたのは、「東京大会には二年生五人だけで出たほうがいい」という非情とも思える提案。巻き起こるかのんたちとの対立、衝突、そして和解。
今回のエピソードからは、かのん・すみれ・可可が「スクールアイドル」としてどのような「物語」を叶えようとしているのかが垣間見えてくるかのように、わたしには思えてくるんですよね。

かのんが「叶えたい物語」

かのん「でも、Liella!全員で挑まなきゃ意味がない。だって、ここにいる全員がLiella!なんだもん!」

「『みんな』であること」にこだわり、それを大切にするLiella!。その中でも、かのんは特に「『みんな』であること」に人一倍のこだわりを見せているように感じられます。
Liella!は「みんな」でなければならない。「みんな」で掴んだ勝利でなければ意味がない。そうでなければ、「みんな」で喜ぶことなんて出来るわけがない。そのように考えているからこそ、すみれの提案に同調する一年生に真っ先に異を唱え、あまつさえ声を荒らげ、「まさか、手を上げるか?!」を我々に予感させるような行動までとってしまう。これまで(特に「スーパースター!!」二期以降になってから)のかのんがなかなか見せてこなかった激情は、現在の彼女にとって「『みんな』であること」の否定がこれ以上ないほどの逆鱗であり、それと同時にかのんが歩んできた「スクールアイドル」としての道程のなかで「みんな」の存在がいかに大きいものであったのかを示してくるかのように思えてきます。

千砂都「ただ、すみれちゃんにはすみれちゃんの事情も……」
かのん「うん……、ごめん。大きな声出しちゃって……」

これは余談なのですが、「スーパースター!!」一期第七話や二期第五話において「何かある気がするんだよね」と、恋や夏美の行動に理解を示そうとしていたかのんが、今回は千砂都に指摘されるまでその可能性に思い至らなかった様子だったことについては、「相当頭に血が上っていたんだな……」と感じさせられるところがあり、個人的になかなか好みな描写だったりするのです。

ウィーン「澁谷かのん。どうしてこんなところで歌っているの?」

それはそれとして、「『みんな』であること」という観点から言うと、そのアンチテーゼ的存在とも言えるウィーン・マルガレーテと、どのような決着がつけられるのかというのも注目したいポイントだなというところもあるんですよね。
ウィーンがどのような目的で日本に来訪し、スクールアイドルとなり、「ラブライブ!」に挑むのか。そして、彼女がなぜ澁谷かのんに執着するのか。その真意はストーリーが終盤に差し掛かろうとする現在でも、未だ掴めぬままです(「スーパースター!!」二期が終わるまでにその真意が明かされる気がしてこないのですが、それはそれ、これはこれ)。しかし、「みんな」であるLiella!と「ひとり」であるウィーンとの対比関係が「スーパースター!!」二期のストーリーにおける大きなポイントであるということは、言うまでもないでしょう。
Liella!とウィーン・マルガレーテ。「ラブライブ!」東京大会における両者の激突は、「スーパースター!!」二期終盤における最大のハイライトになるはず。その激突を越えた先で、彼女たちの「物語」がいかなる終着点を迎えるのか。今後の展開を、ワクワクとともに見守ることにしましょう。

すみれが「叶えたかった物語」

すみれ「あんたと一緒にいたいのよ……。三年間、一緒にスクールアイドルやりきりたいの!」

「『みんな』であること」にこだわりたいのは、すみれも一緒。しかし、彼女の視線は他メンバと違って、ひとりだけ「これから」へと向けられていたように思えてきます。

スクールアイドルとして結果を残せなければ、可可は上海に帰らなければならない。この事実を知るのは(可可を除いては)すみれただひとり。そういった点においては、すみれが他メンバとは違う視点を持ってしまうのも納得感があるところです。
たったひとり、可可の事情を知るすみれ。そんな彼女だからこそ、他メンバは知る由もない「これから」を幻視してしまうのでしょう。
確かに、今のLiella!は「みんな」であるかもしれない。しかし、「これから」のLiella!は? もし、Liella!が「今の『みんな』」に甘んじた結果、「ラブライブ!」東京大会で敗北してしまったら? そのせいで、可可がいなくなってしまったら? 可可というピースが欠けたLiella!は、はたして「みんな」であると言えるのだろうか?
むしろ、すみれが耐えられなかったのは「Liella!が『みんな』でなくなること」ではなく、「Liella!から、可可というピースが欠けてしまうこと」だったのかもしれません。「ティアラ」という、何百もの言葉よりも雄弁に「あなたこそがふさわしい」と物語る「センターポジションの証」をすみれのためだけに用意し、「ステージのセンターに立って輝きたい」というすみれの夢を叶えてくれた可可。そんな恩人とも言える存在がLiella!から欠けてしまうことこそが、すみれにとっては何よりも耐え難いことだったのかもしれないのです。

私の夢を叶えてくれたあなたの夢を、私も叶えてあげたいから。
私の夢が叶ったのにあなたの夢が叶わないかもしれないなんて、私には耐えられないから。
これからもあなたと一緒に、夢を叶えるための道程を歩みたいから。

無論、二年生五人だけでライブパフォーマンスを行ったとしても、「ラブライブ!」東京大会を勝ち進めるとは限りません。しかし、すみれは怖かったのでしょう。「ラブライブ!」東京大会で敗北してしまう可能性があるということが。可可がいなくなってしまう「これから」が訪れてしまう可能性があるということが。だからこそ「今の『みんな』」を切り捨ててでも、より確実に「これからの『みんな』」を掴み取ることが出来る手段を、すみれは選ぼうとしたのでしょう。


しかし、そんなすみれに対して、他でもない可可が示します。
「それは違うんだよ」と。

可可が「叶える物語」

可可「可可は、みんなで楽しく歌いたいです!」

可可「可可は、みんなと楽しく歌っていたいのです。それが、可可が夢見たスクールアイドルなのです」


かつての可可にとって、「スクールアイドル」は「叶えたかった夢」でした。見上げたスクリーンの向こう側でキラキラ輝く、憧れの結晶でした。しかし、今の可可にとっては違うのです。日本に来て、かのんたちと出会って、「ラブライブ!」優勝という目標へ向けて駆け抜けるこの瞬間こそ、可可が求めていたもの。彼女にとっての「スクールアイドル」は、もはや「叶えたかった夢」でも「これから叶える夢」でもない。可可の夢は「現在進行形」なのです。

そして、「スクールアイドル」として「現在進行形」の夢を叶えている可可には、さらなる想いが芽生えているのではないでしょうか。
「スクールアイドル」だからこそ、「『イマ』が最高」でありたいと。
「スクールアイドル」だからこそ、「最高の『イマ』」を駆け抜けたいと。


かつて、限りある時間に思いを馳せ、メランコリィに耽る果林に対して、エマと彼方は言いました。「昨日や明日のことで悩んでたら、楽しい『イマ』が過ぎちゃうよ」・「毎日『イマ』を全力で楽しんでいけば、きっとさみしいだけじゃない未来も来てくれると思うよ」と。

p1rcdfqqu.hatenablog.com


可可も、エマや彼方と同じ想いを抱いているように、わたしには思えるのです。
彼女にとっても「ラブライブ!」で結果を残せず、スクールアイドルを続けられなくなるのは怖いはず。それでも、可可は信じているのでしょう。来るかどうかもわからない未来に怯えて立ちすくむより、「『イマ』が最高」であるために精一杯走り抜いて、この瞬間を目一杯輝くことが「スクールアイドル」としてあるべき姿なのだと。
そして、可可にとっての「最高の『イマ』」とは、「九人」であるLiella!が「今の『みんな』」としてキラキラ輝き、「ラブライブ!」優勝を成し遂げるために全力で駆け抜けることなのではないでしょうか。「みんなで楽しく歌いたい」という可可の言葉にはそのような想いが込められているように、わたしには感じられるのです。


かつて、神話に名を残したスクールアイドルは言いました。「限られた時間の中で精一杯輝こうとするスクールアイドルが好き」と。そして、彼女たちは高らかに、晴れやかに、胸を張って歌いました。「だってだって、いまが最高!」と。
「スクールアイドル」に人一倍の情熱を注ぎ、誰にも負けないくらい「スクールアイドル」が大好きな可可だからこそ、九人の女神が見出した「真理」に触れることが出来たのではないだろうか。わたしには、そのように思えてくるのです。

こぼれ話

「先導者」であり続けて、「スクールアイドル」であり続けて

悠奈「一回一回を、これが最後ってつもりで挑んだほうがいいよ。じゃないと……、気づいたときには終わってる……」

ウィーン・マルガレーテに敗北し、「ラブライブ!」連覇への夢が閉ざされたSunny Passion。彼女たちの「スクールアイドル」としての「物語」は、ここで幕を閉じるのです。しかし、(思わず涙をこぼしながらも)かのんたちに対してアドバイスと激励を送るふたりの姿からは、Sunny PassionがLiella!にとっての「先導者」であるということを強く印象付けてくるかのように思えてきます。

とは言え、彼女たちは「先導者」である前に「スクールアイドル」なのです。「ラブライブ!」連覇という夢が断たれた悠奈と摩央の胸中は、察するに余りあるんですよね。それでも、子供たちからの「ありがとう」という言葉は、「神津島の『みんな』」のためにスクールアイドルとして歩んできたふたりにとって何よりの称賛であり、救いの言葉だったのではないかと、わたしには感じられるのです。

中須(初期型)案件

夏美「大会当日、この液体をあの子の飲み物に一滴たらせば、その瞬間、私たちの決勝進出は決定ですのー……」
四季「ブイ」

なんでゲスい方向に意気投合してるんだ、お前ら。

今回のここ好きポイント

かのん「一年生、頑張ってるよ? この前のステージだって、私たちと一緒のステップ、出来てたし」
千砂都「それはもちろんわかってる。でも……」
すみれ「出来てるのと勝てるかどうかは、また別の話ってことでしょ?」

浦の星女学院理事長の、「努力の量と結果は比例しません!」というセリフを思い起こさせるなという気持ち。

今回のここ好きポイント その2

激昂するかのんと対峙することになり、それでもなお、彼女から目を逸らさずに向き合うすみれ。「ワルモノ」としての矜持と誠意を感じさせられるなといったところがある。




「スーパースタート!」の号令とともに、「ラブライブ!」東京大会突破への想いをより一層強くし、さらなる加速を付けて走り出すかのんたち。一度は敗北を味わった大舞台への挑戦。その「物語」がいかなる結末を迎えるのか、今から期待感が高まるところです。
……とは言ったものの、次回のエピソードについては、これまた「読めない」予告が来たものだな、という気持ちが出てくるんですよね。しかしながら、それはそれで期待感が「倍率ドン、さらに倍!」になってくれるので、むしろどんと来いといったところではありますが。

はてさて、次回はどうなることやら。