幻日のヨハネ 第四話「空と海のあいだ」感想 ~胸いっぱいの「ただいま」を~

皆様、こんにちは。
「暑い日が続きますが、進捗いかがですか。」のパターンがそろそろ尽きてきそうな今日この頃ですが、進捗いかがですか。


なんやかんや言って「ラブライブ!」のライブイベントが地方まで来てくれる機会は貴重なので、そりゃあ全力で乗っかりに行くでしょ、といったところはあるんですよね。
ライブパフォーマンスはどれも大変良かったのですが、特に「CHASE!」が素晴らしかったなという気持ちがあります。「優木せつ菜」としての存在感と納得感をこれでもかと言うほどに魅せつけるパフォーマンスは、まさに圧巻の一言。
また、「ダイアモンド」が観られたのも嬉しかったところ。やはり、かすみんと言えば「ダイアモンド」なんだよ!


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『幻日のヨハネ』第四話」からの引用です。



前を向いて、新たな一歩を

メッセンジャーのヨウと、メカニックのカナン。ふたりの少女と出会ったヨハネは、成り行きで彼女たちの「おしごと」を手伝うことになりました。常にハイテンションなヨウや文字通りの「空を飛ぶ」体験、慣れないブランコ修理に戸惑いながらも「おしごと」の手伝いをするヨハネ。そんな彼女の表情からは、ヌマヅに戻ってきたばかりの頃にはなかった「前向きな気持ち」が見えてくるように、わたしには思えるのです。

ヨハネ「すっごーい! あはははっ!」

だってもう、見て下さいよ。空を飛んでいるときの、このワクワクに満ち溢れた表情を。

この他にも、道を行くひとに手を振ってみたり、ハナマルに大声で呼びかけてみたりと、第一話の頃からは想像もつかないような言動が数多く見られます。そもそも、ヌマヅに戻ってきたばかりのヨハネだったら、今日出会ったばかりのひとの「おしごと」を手伝おうだなんて考えもしなかったんじゃないのだろうか。「こんな何もない街のことなんてどうでもいい」・「こんな小さな街のことなんて私には関係ない」と、様々なことから目を背けていた彼女だったら。
以前までのヨハネからは考えもつかないようなこれらの言動は、彼女の心に芽生えたであろう「前向きな気持ち」が果たしたムーブであるように、わたしには思えてくるんですよね。そして、この「前向きな気持ち」はヨハネが今まで見向きもしなかったヌマヅの美しい自然や景色に目を向けさせ、素直な感動をもたらすことにも繋がっているんだろうな、と感じさせるところもあります。

カナン「ヨハネちゃん、モノを直すコツ、教えてあげようか?」

「前向きな気持ち」という観点から観てみると、「まず、顔を上げる」からはじまるカナンのアドバイスも示唆的なものを感じさせられます。
顔を上げて「前を向く」こと。それはすなわち、より良い未来を見据えて想像すること。より良い未来を想像することが出来れば、それは行動を起こすためのモチベーションになりうるし、進むべき道筋もはっきりしてくる。カナンが伝えたいことって、つまりはこういうことなのではないかなと、わたしには思えてくるのです。
そしてこのアドバイスは、ヨハネが母親から与えられた「夏が終わる前に、ヨハネにしか出来ない楽しくてたまらないことを見つける」という「宿題」を達成することにも繋がるという予感がしてくるんですよね。

ヨハネ「この街にはいろんなひとがいて、いろんな仕事があって、その仕事の先には誰かが待ってくれていていたりして。みんな、繋がっているんだね」

そして、ヨハネの表情に見える「前向きな気持ち」は、彼女が「おしごと」を通して感じた「繋がり」=「縁」と無関係ではないように、わたしには思えてきます。

ヨハネが配達したお手紙や三人一緒に乗れるように修理されたブランコによって、誰かと誰かの「縁」が結ばれる。
お手紙の配達やブランコの修理といった「おしごと」を通じて、ヨハネと街の人々との「縁」が結ばれる。
そして、一緒に「おしごと」をすることで、ヨハネとヨウ・カナン・ハナマルとの「縁」が結ばれる。

かつてのヨハネは「ヌマヅには居場所がない」と感じていました。しかし、今では違います。結んできた「縁」が、彼女の居場所を作り上げるのです。ヨハネもそのことに気づいたからこそ、晴れやかな表情で叫んだのでしょう。今まで言うことが出来なかった、故郷・ヌマヅへの「ただいま」と「これからもよろしくね」を。


かつて、俯きながらブランコを漕いでいた、ひとりぼっちの少女はもうそこにはいません。
数多の「縁」に導かれ、ヨハネはまっすぐ前を向いて、ここに新たな一歩を踏み出すのです。

「大好き」は伝播する

ヨウ「だからずーっと、この街にいたーい!」

カナン「仕事終わりに、海でぷかぷかしてアレを見てたら、疲れが吹っ飛んじゃう」

今回のエピソードにおいて、ヨハネが出会ったふたりの少女の共通点。そのうちのひとつが「ヌマヅが大好きだと、なんのてらいもなく言えること」なのではないでしょうか。
ふたりが伝える溢れんばかりの「大好き」が、ヨハネの心に「前向きな気持ち」を伴った変化をもたらし、故郷への「ただいま」と「これからもよろしくね」を引き出したであろうことは想像に難くないところです。そして、ヨハネがふたりの「大好き」を素直に感じ取ることが出来たのは、彼女の心に芽生えた「前向きな気持ち」があってこそのことなのだと、わたしには思えてくるのです。「前向きな気持ち」が「大好き」を受け止めるための土台を作り上げ、受け止めた「大好き」がさらなる「前向きな気持ち」を生み出す。言うなれば、「前向きな気持ち」と「大好き」のスパイラルなのです。

そして、「大好き」は「ラブライブ!」シリーズにおけるキーワードのひとつ。「大好き」をひとつの推進力とした今回のエピソードは、「幻日のヨハネ」も「ラブライブ!」シリーズの系譜に繋がる物語であるのだと、強く感じさせてくれるんですよね。


「みんなが知ってるあの子」たちの心に秘められ、そして解き放たれる「大好き」。それは「みんなが知らない物語」にどのような輝きと煌めき、そしてトキメキを与えてくれるのでしょうか。

こぼれ話

トンチキは続くよどこまでも

ヨウ「あそこから飛んで、配達するんだよ」
ヨハネ「ドドーンとひとっ飛びって、そういうことなの?!」

第三話でのトンチキ・オンパレードのせいでいささか霞んで見えるところはありますが、「郵便配達員を大砲でぶっ飛ばす」というのも大概トンチキではある。ハイファンタジー的なフレーバーは感じられるので、個人的には好みなタイプのトンチキではありますが。
それはそれとして、まさかヨハネまで空を飛ぶ羽目になるとは思っていなかったというところはあるんですよね。第二話での「私はね、例えば空をぴゅーって飛んじゃうみたいな、アメイジングなことがしたいのよ!」というセリフは、フラグだった……?

身に覚えがあるひとも多いのでは

ヨウ「しかし今日は暑いねー! 参っちゃったよー。これぜーんぶ、午前中に配達しなきゃならなくってさー」
ヨハネ「へえ……。大変だ、ね……」

「共通の知り合いがいなくなって、何となく気まずい」ふいんき(なぜか変換出来ない)。妙に描写の解像度が高いのは、一体何なんだ。

今回のここ好きポイント

ライラプスヨハネ、いつまで寝てんの」

身内ゆえの雑で容赦ない起こし方。
ライラプス、ホントそういうところある。

今回のここ好きポイント その2

周囲の安全確認は大事。「光景記」にもそう書かれている(書かれていない)




故郷・ヌマヅへの、心からの「ただいま」と「これからもよろしくね」を胸に、新たな一歩を踏み出すヨハネ。そんな彼女を待ち受けるのは、まさかの「まおうのひみつ」……?!

ヨハネが持つ魔法の力やヌマヅに起こる「異変」について何かを知っている様子だったり、ヨハネに対して思わせぶりな物言いをしてみたりと、現時点においては最も謎に満ちたキャラクタと言っても過言ではないマリ。

幻日のヨハネ 第三話「団結Are you ready?」感想 ~高低差ありすぎて耳キーンなるわ~ - メガネ(裏)

前回の感想でこんなことを書きましたが、ここまで早い段階で彼女の「謎」に触れてくるとは思いもしなかったというところがあるんですよね。これはさすがに予想外なんですよ。

また、今回のエピソードラストにてライラプスが呟いた「ごめんね、ヨハネ」というセリフも気になるところ。
はてさて、次回はどうなることやら。