幻日のヨハネ 第十二話「さよならライラプス」感想 ~「さよなら」から新たな道へ~

皆様、こんにちは。
残暑の中にも少しずつ秋の香りを感じる今日この頃ですが、進捗いかがですか。


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あなたまで言及するか。
「ギャラクシー」の単語が聞こえた瞬間、衝撃のあまり目ン玉をひん剥いたところまである。

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それはそれとして、ライブビューイングで参加してきました。
二期生曲・ソロ曲・ユニット曲・アンコールでのセンター曲と、夏美(と絵森 彩さん)がこれでもかというほどにフィーチャされていて、彼女たちが推しなひとからすれば堪らねえ内容だったんだろうなと感じたところ。「スクールアイドルになったばかりの妹・冬毬に対して、姉として、そしてスクールアイドルとして『先導者』たる姿を魅せる」という文脈も乗っていましたしね。
「私のSymphony」も、Aメロ・Bメロで十一人のソロパートがぴったり収まっていたのが聴いていて心地よかったのです。音源はよ。
5thライブやアニメ三期の放送スケジュールも発表されたことですし、これからのLiella!からも目が離せないところです。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像は注記がない限り「TVアニメ『幻日のヨハネ』第十二話」からの引用です。



「鏡」合わせのキミとボク

「歌手になる」・「トカイでビッグになる」という夢に破れ、不本意ながらも帰ってきた故郷。ヨハネはその故郷・ヌマヅで街のひとたちとの「縁」を結び、仲間たちとの「絆」を繋ぎ、「前向きな気持ち」を手に入れ、一歩ずつ確かな「成長」を果たしてきました。
そして、彼女が果たした「成長」は、それを一番近くで見守ってきたライラプスにも「気づき」をもたらすのです。

ヨハネ「よく、かけっこしたよね」
ライラプス「最後はヨハネが勝ったね」
ヨハネ「知ってたよ、わざと負けてくれたの」
ライラプス「えっ、じゃあ、逆にヨハネが勝ったフリしてくれてたってわけ?」
ヨハネ「そういうことになるねえ……」

ヨハネは、庇護されるばかりの存在ではない」。

それはかつて、ライラプスが向き合うことが出来なかった現実でもありました。ヨハネが「歌うことが好きだから、トカイに行って歌手を目指す」と宣言したあのとき、ライラプスから放たれた言葉はヨハネの決断を後押しするようなものではなく、「好きなだけでどうにかなるのかな?」・「歌うことがキライになる日がくるかもしれない」という辛辣なものでした。このあとの「そんなことよりもっとちゃんとした……」というセリフも、「堅実で地に足のついた将来設計を考えるべきだ」といった意味合いの言葉が続くであろうことは想像に難くないところです。
もしかすると、ライラプス(その思惑はどうであれ)新たな一歩を踏み出そうとするヨハネの向こう側に「ヨハネが独り立ちして自分のもとから離れていく未来」を幻視したのかもしれません。そして、その未来と向き合うことが出来なかったのかもしれません。ヨハネが離れていくかもしれないという可能性から目を背けたかったから。ヨハネが去ってしまうのが怖くて、寂しかったから。これまでのふたりの関係性があまりにも暖かくて、心地よいものだったから。

かつて、ヨハネが「こんな何もない街のことなんてどうでもいい」・「こんな小さな街のことなんて私には関係ない」と嘯きながら「何もない自分になってしまう未来」から目を背けていたように、ライラプスも「ヨハネは自分が庇護すべき半人前の存在なんだ」と思い込みながら「ヨハネが独り立ちして自分のもとから離れていく未来」から目を背けていた。
ヨハネライラプスに自分のことを応援してほしかったように、ライラプスヨハネが自分に庇護される存在であってほしかった。
ヨハネライラプスとの関係性に甘えていたように、ライラプスヨハネとの関係性に甘えていた。

ヨハネが語ったように、ふたりはまさに「鏡」のような存在だったのでしょう。お互いに向き合って、お互いのことを見つめ合う、ふたりきりの閉じた関係性。
しかし、「成長」を果たしたヨハネはその閉じた関係性から抜け出そうとしています。「縁」を結び、「絆」を繋ぎ、自らの世界を広げてきた今のヨハネは、ライラプスのことだけを見つめなくてもいい。膝を抱えて泣きべそをかいていた、あの頃のヨハネではない。前を向いて進むための強さを、きっと持っている。もしつまずきそうになったとしても、「縁」を結んだひとたちや「絆」を繋いだ仲間たちが、きっと支えてくれる。もう、ライラプスだけに頼る必要なんてないんだ。
ならば、彼女と「鏡」合わせな存在であるライラプスも、ヨハネのことだけを見つめることを終わらせなればならない。ヨハネと同じように自らが向くべき方向を向いて、いずれ「ヨハネが独り立ちして自分のもとから離れていく未来」がくるという現実に、きちんと向き合わなければならないんだ。
ライラプスにもたらされた「気づき」とは、きっとこのようなものであったのだろうと、わたしには思えるのです。


お互いのことを見つめ合う「鏡」合わせの関係性を終わらせ、それぞれが進むべき方向へと顔を向けて、それぞれの道を歩みはじめる。それは、今回のエピソードタイトルが示すように「さよなら」と呼ぶべきものであるのかもしれません。しかし、その「さよなら」は「終わり」だけを示す言葉ではないのだと、わたしには感じられるのです。
Liella!4thライブツアー最後のMCにて、Liella!のみんなが「ライブは『終わり』になってしまうけれど、十一人のLiella!はこれからが『はじまり』なんだ」と言っていたように、ヨハネライラプスの関係性もこれから新たな「はじまり」を迎えるのだと。

ライラプス「手を離しても、心が繋がってる。ヨハネが教えてくれた。だからもう、寂しくないよ」

それと同時に、わたしはある言葉を思い出すのです。かつて、マイペースで甘え上手な眠り姫が語った言葉を。「背中を押して距離が離れたって、押してくれた手のぬくもりは残るよ」というエールを。

彼方「ふたりならきっと大丈夫!」
(「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」二期第十二話より)

「押してくれた手のぬくもり」。
そのぬくもりはきっと、今まで歩夢と侑がお互いのことを思い合い、育んできた絆の証明であり、心の繋がりの結晶でもあるのでしょう。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期第十二話「エール!」感想 ~心は、きっと繋がっているから~ - メガネ(裏)

彼女が言う「押してくれた手のぬくもり」が「心の繋がりの結晶」であるのなら、ヨハネライラプスだってきっと大丈夫。たとえ、ふたりの言葉が通じ合わなくなったとしても、その心は繋がっているのだから。

わたしは、そう信じてみたいのです。

こぼれ話

それらを「伏線」と呼ぶにはちょっとロコツすぎたように思う

ライラプスの声が聴けるようになったのは、幼少期のヨハネがかけた『魔法』によるもの」というのは、これまでのストーリーにおいて幾度となく示唆されていたこともあって、そこまでの驚きはなかったんですよね。強いて言うなら、「ヨハネと喋れるようになることは、ライラプスの願いでもあった」という事実が明かされたことが興味深かったといったところでしょうか。
さらに言うなら、このことについては「『まさか』から発生する面白さ」よりも「『やはり』から発生する面白さ」を優先させたのかなと思うところもあります。

今回のここ好きポイント

ヨハネ「大丈夫。何でも屋に任せて!」

あれだけ疎ましく感じていた「何でも屋」の屋号を、あえて名乗るヨハネ。「ナミとサクラがいなくなったのは自分のせいだ」と自責の念に駆られるミキを安心させようという彼女の言葉に、「粋(いき)」を感じるところがあるんですよね。

今回のここ好きポイント その2

チカ「チカじゃないけどね!」

アナタがチカではないということは、「何でも言ってね!」と言ったのもアナタではないということになるのですが。まあ、この言葉には彼女の照れ隠しも多分に含まれているんでしょうけどね。




「なんかイイ感じで終わったと思ったか? 残念、まだ終わっていないんだよ!!」と言わんばかりに蠢く「異変」の影。さすがに「異変」との対峙を最終局面になるまで引っ張ってくるとは思わなかったというところはあるんですよね。前回の感想にて触れた「謎」に対する解答も思っていたほどには提示されませんでしたし、展開の読みきれなさは最後まで続く模様。

何はともあれ、「幻日のヨハネ」の「物語」も、ついに次回で最終話。
「みんなが知ってるあの子の、みんなが知らない物語」は、いかなる結末を迎えるのでしょうか。