幻日のヨハネ 第二話「わたしのおしごと」感想 ~つまづく石も「縁」の端くれ~

皆様、こんにちは。
宇宙飛行士じゃないから、オゾンより下なら問題ありませんが、進捗いかがですか。


まさかの楽曲越境。「マジかよ!?」と、大声を上げてしまったところまである。
近似例では蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブによる「ラブライブ!」楽曲のカバーが記憶に新しいところではあるのですが、あれは「VTuberの歌ってみた動画」的な文脈があるわけだしなあ……。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像は注記がない限り「TVアニメ『幻日のヨハネ』第二話」からの引用です。



これでお前と「縁」が出来たな

切り株のステージにて魔法の杖を手に入れ、「自分には特別な力がある」と確信したヨハネ。彼女はその力をアテにして占い屋という「おしごと」をはじめますが、お客は報酬も払えない子供たちと閑古鳥だけ。そんな中、ヨハネは成り行きでハナマルの「おしごと」を見学することになりました。ハナマルの働きぶりと(それに見合わないように思える)利益の少なさを目の当たりにしたヨハネは、「あんなに売って、それっぽっち?!」と思わず驚きの声を上げてしまいます。そんな彼女に対して、ハナマルは静かに告げました。

「『おしごと』は、お金だけじゃあないずらよ」と。


「おしごと」によって得られるものはお金だけじゃない。それでは、他に得られるものは一体何なのか。
それは「縁」であると、わたしは思うのです。

今回のエピソード後半においては、ヨハネが「おしごと」を通じて街の人々と交流する様子が描かれています。第一話にて、ライラプスからご近所への挨拶回りを提案された際には「挨拶回りなんて田舎臭い。ゼッタイにイヤ」と拒否反応を示していた彼女からは、(とてもとは言わないまでも)想像も出来ないような光景です。
そして、彼女がこなす「おしごと」は子供たちのボール探し、荷物運びの手伝い、庭木の剪定、エトセトラ、エトセトラ……。その働きぶりは、ヨハネ自身が語る通り「占い屋」というより「何でも屋」といった趣(おもむき)があり、本来であればそれは彼女が望んだものではなかったはず。しかし、ヨハネの表情からは不服や不平不満の類ではなく、むしろ達成感や充実感が読み取れるように思えてきます。

もしかすると、ヨハネも心の奥底で「縁」を求めていたのかもしれない。わたしには、そのように感じられてくるのです。第一話において、事あるごとに「この街には友達なんていない」と嘯いていたり、切り株のステージにて「居場所なんかどこにもなくて……」と独白していたのは、そんな願いの裏返しだったのではないでしょうか。さらに言うなら、チカやダイヤの働きぶりを目の当たりにしたヨハネは「毎日知らないひとと笑って喋るとか、あり得ない……!」・「毎日、あんなたくさんのひとに囲まれてアレもコレもすぐ応えなきゃならないとか、ムリムリムリ……!」と拒否感にも似た反応を示していましたが、これもまた、日々の「おしごと」をこなし、お客さんや職場の人々と「縁」を結ぶ彼女たちに対する羨ましさの表れとするのは、わたしの考え過ぎでしょうか。


後にヨハネが「あんな手伝いとか、別に私じゃなくったって出来ると思うんだけど」と語った通り、今回のエピソードにおいて彼女がこなした「おしごと」は、けして「私ヨハネにしか出来ない」ものではない。ちょっと意地悪な言い方をするなら「誰にでも出来る『おしごと』」です。ヨハネに「おしごと」を頼んだ人々も、もしかするとそれを頼む相手はヨハネでなくても良かったのかもしれない。さらに言うなら、それらの「おしごと」で得られる報酬も、けして大きなものではないでしょう。しかし、その「おしごと」を通じた交流によって、ヨハネと街の人々の間には確かに「縁」が出来たのです。その「縁」はきっと報酬と同じくらい、あるいはそれ以上に価値あるもの。それに気づいたからこそ、ヨハネは満足そうな笑みを浮かべたのだし、沈みゆく夕焼けも一層キレイなものとして彼女の瞳に映ったのでしょう。わたしには、そのように思えてくるのです。

(「幻日のヨハネ」第一話より)

そして、(完全に偶然の一致ではあるのでしょうが)この世界における通貨単位もまた「エン」なんですよね。


「おしごと」を通じて結ばれる「縁」。
それはヨハネが織りなす「物語」に、いかなる彩りを与えてくれるのでしょうか。

こぼれ話

今度は、私が「先導者」

ハナマル「マル、ヨハネちゃんをみんなのとこに連れて行こうと思って来たんだ!」
ヨハネ「えっ、『みんな』? 『連れて行く』?」
ハナマル「街で働いているみんなだよ。ヨハネちゃんのことを紹介したくて!」

かつてヨハネの歌と彼女が歌う姿に導かれ、「楽しいこと」を見つけることが出来たハナマル。そんな彼女が、今度はヨハネをチカやダイヤといったメインキャラクタたちと引き合わせ(これもまた、ひとつの「縁」なんですよね)、「おしごと」についての示唆も与える。「おしごと」に関して一日の長があるハナマルだからこそ成せる「先導者」の役割であると感じさせます。
さらに言うなら、「チカやダイヤとも『おしごと』を通じて知り合ったんだろうな」・「旅館にパンやお菓子を卸しているのかな」・「自営業となれば行政的な手続きも色々あるだろうしな」という想像が広がり、ストーリーにコクと奥行きが出てくるところでもあるんですよね。

個人的には後者の感覚のほうがやや勝るかもしれない

ヨハネ「報酬も払えないでしょ?」
子供たち「えっ……?」
ヨハネ「はい、帰って、帰って!」

「子供相手に大人げない」と見るべきか、「子供相手でもキッチリしている」と見るべきか。

こう言ってあげたほうが、ヨハネちゃん燃えるから

ライラプス「ぜーんぶあきらめて、ずっとここでゴロゴロしてようか。付き合うよ? そのほうがラクだしね」
ヨハネうるさいうるさいうるさいうるさい!」
ライラプス「それとも、こんな何もない街、今すぐ出ていっちゃおっか」
ヨハネ「……イヤだ」

「サンシャイン!!」における千歌と曜の「じゃあ、やめる?」・「やめない!」のやりとりを思い起こさせる。
「街を出ようか」という提案に対してヨハネが拒否感を示したことについて意外そうな響きを持つ返答を返していたことから、「ヨハネの気質を熟知しているがゆえのやり取り」かどうかについてはやや図りかねるところはありますが。

今回のここ好きポイント

ヨハネ「ふふふ……、私はこの街の占い師……。ああ、上手くいく予感しかない!」

ヨハネ「えーっと、お金が入ったら、まずトカイに戻って、ひろーいお部屋に住んで……」

どう見てもフラグです。ありがとうございました。

そして、この体たらくである。さすがに芸術点が高すぎる。
これに限らず、リコの占いを行うシーンやダイヤの言いつけを忘れて夜間外出をしてしまうシーンなど、今回のヨハネはフラグ建設に定評がありすぎる。あるいは、前世の不幸属性を受け継いでしまったのか……。




「おしごと」を通じて得られた確かな成功体験。それはきっと、ヨハネの心に前向きな変化をもたらしてくれたはず。第一話と比較して、彼女に明るい表情が増えてきたと感じるのも、きっと気のせいではないように思うのです。
しかし、そんな彼女に忍び寄るのは、見るからに怪しい黒い瘴気と明らかに様子がおかしい動物たち。さらには黒い瘴気に囚われ、身動きが取れなくなるヨハネ。万事休すと思われたそのとき、颯爽と現れたのは……、

チカ・シマ・ミト「ミリオンダラー、参上!」

トンチキだ! トンチキが来たぞッー!