ラブライブ!スーパースター!!第一話「まだ名もないキモチ」感想 ~つまずきも羽根にして~

皆様、こんにちは。
令和がはじまりましたが、進捗いかがですか。


のっけから何を言ってるのかとお思いかもしれませんが、「令和『ラブライブ!』」というべき「ラブライブ!スーパースター!!」のTVアニメがついにスタートしたのです。


これはもう、令和そのものがはじまったと言っても過言ではないのです(ニジガク? あれは2017年スタートなので平成「ラブライブ!」ですよ)
アニメ本編も、期待通り、あるいはそれ以上のものがお出しされたので、ニコニコが止まりません。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第一話」からの引用です。



かのんの「敗北」


かのん「バーカ! 歌えたら苦労しないっつーの!」

「バカ」って言った?! かのんちゃんが?! あの、かのんちゃんが!? 「バカ」って言った!?
……と、のっけから予想だにしなかったやさぐれっぷりを発揮し、衝撃を通り越して笑いすら提供してくれたかのん。だって、「始まりは君の空」や「リエラジ!」のボイスドラマだと、「引っ込み思案だけど歌うことが大好きないい子」的な印象が強いんだもん。これはさすがに予想のハルカカナタだよ。

まあ、本人からしたら笑い事じゃあないんですが。

やさぐれの原因は、受験の失敗。
入学試験のときに課題曲を歌うことが出来ず、志望していた音楽科への入学が叶わなかったのです。
そして、その根を辿っていくと、小学校のときに人前で歌うことが出来ずにぶっ倒れたことにまで遡ってしまうというものでした。これはなかなか根深い。

そういえば、この後のシーンでも、「歌うことをやめようとしている」セリフがありますね。はたして、彼女になにがあったのか。

ラブライブ!スーパースター!!PV感想 ~はじまれ!新しい「ラブライブ!」~ - メガネ(裏)

「彼女に何があったのか」に触れずにストーリーを進めるはずはないと思っていましたけど、第一話でパーフェクトな回答をお出しされるとは思っていませんでしたね。お出しするにしても、「もっと先の回で出してくる」とか「数回に分けて徐々に明らかにしていく」とかやるものだとばかり……。
これが、令和のスピード感か。


上述ツイートで挙げたように、つまるところ、これはかのんにとっての「敗北」なんですよね。
「無印」や「サンシャイン!!」においての「スクールアイドルプロジェクト」とは「みんなで叶える物語」だったので、「廃校」や「誰も来ないファーストライブ」、「ゼロ票だった東京でのスクールアイドルイベント」といった、「みんな」に関わるかたちの「敗北」が描かれてきました。
そして、「スーパースター!!」においての「スクールアイドルプロジェクト」は「私を叶える物語」であるために、より「個人」(今回においてはかのん)にフィーチャしたかたちで「敗北」が描かれたのでしょう。

そして、この「敗北」がかのんに与えた影響は、かなり強烈なようです。普通科の制服姿を褒めてくれた母親に反発してみたり、音楽科へと進んだ友人との会話を避けてみたり、挙句の果てに可可や千砂都に「歌はおしまい」と言ってみたり。
幼馴染である千砂都は音楽科に受かっているのに、自分は落ちているというのも、まあまあエグいところがありますね……。


かのん「大好きなんだけどね。きっと、才能ないんだよ。だからもう、歌はおしまい」

ここで「才能がない」という言葉が逃げ口上のように使われていますが、実際はそんなことはないのでしょう。
可可は何度も彼女の声を「スバラシイ」と言っていますし、千砂都も「かのんちゃんの歌、聴いていたいけどな」と告げています。冒頭に描かれた中学校時代においても、「きれいな声」という称賛の声が上がっていました。
しかし、それらの声は「敗北」に囚われているかのんには届かない(おそらく、過去においてもそうだったのでしょう。人前で歌えなかったトラウマのせいで)

かのんが再び人前で歌えるようになるためには、何らかのブレイクスルーが必要なのでしょう。

「スクールアイドル馬鹿」が唐 可可でやってくる

スクールアイドルが「大好き」で、スクールアイドルになるために日本に来た可可。その本気度は、日本語をほぼ完璧にマスターしていたり(興奮すると母国語が出てくるのはご愛嬌)、異国の地で設立したばかりの結ヶ丘女子高等学校が音楽に力を入れているとリサーチ済みであることからも伺えます。
そして、その「大好き」は、知らずしらずのうちにかのんにも伝わっていたのでしょう。最初は可可の強引な勧誘に困惑し、逃げ回っていたかのんでしたが、勧誘活動を咎めに来た恋に対して食って掛かる様子を見せ(引っ込み思案はどこへやら……)、その後のシーンにおいては可可への協力も約束します。

そして、可可の「大好き」は、かのんの心を大きく動かします。

協力するといっても、それは勧誘活動での話。自身がスクールアイドルになることに対しては、未だに消極的なかのん。可可の再びの勧誘にも一度は拒絶の意思を示します。
しかし……、


可可「応援シマス。かのんさんが歌えるようになるまで、あきらめないって、約束シマス!」

あなたが歌えるようになるまで、応援したい。私のことを応援してくれるあなたを、私も応援したい。あなたが、歌が好きなことを知っているから。そして、私もあなたの歌が大好きだから。
それはきっと、そんな気持ちから出た、純粋な言葉だったのだと思います。

そして、可可の「大好き」に背中を押され……、


かのん「やっぱり私……、歌が好きだ!」

かのんは、歌を取り戻したのです。

「先導者」から「同行者」へ

「無印」や「サンシャイン!!」において、主人公がスクールアイドルを始めるきっかけとなった存在は、「絶対的存在」として描かれていたように思います。μ'sにとって「超えるべき壁」であったA-RISE然り、Aqoursにとって「手が届かない存在」であり続けたμ's然り。「絶対的存在」であったからこそ、A-RISEは穂乃果たちを、μ'sは千歌たちを導く「先導者」となっていました。
しかし、可可はそうではありません。この時点ではまだスクールアイドルではない。「まだ何者でもない存在」です。
もしかしたら、そんな「まだ何者でもない存在」である可可だからこそ、「敗北」に囚われ前に進めなくなっていたかのんの背中を押すことが出来たのではないか。そんな気がするのです。

「遥か先に立って導く存在」から「共に歩み、時には背中を押す存在」へ。「先導者」から「同行者」へ。
新たな関係性を示していこうという思いを、わたしは感じました。

サイアクなインプレッション

どうも、スクールアイドルにいい印象を持っていない様子の恋。
勧誘活動を行っていた可可たちの前に立ちはだかり、かのんとも衝突します(なんで毎回のように生徒会長が敵対勢力になるのやら……?)
スクールアイドルは結ヶ丘女子高等学校にふさわしくない、と語る恋。最初、わたしは劇場版「サンシャイン!!」で梨子が語っていた「スクールアイドルは誤解されやすい」というところに、その理由があるのではないかという気がしていたのですが……、


かのん「どうしてそんなこと言いきれるの!」
恋「……あなたはどうなの?」
かのん「え?」

ここのシーン、話をはぐらかしているようにも見えるんですよね。そう考えると、可可の「スクールアイドルを始めたいと思いまして」というセリフへの反応も意味深に思えてきます。
はたして、彼女になにがあったのか(二回目だぞ)。今回のスピード感からすると、二~三話あたりで明かされそうな気もしますが、はてさて。

こぼれ話

メガネっ娘、はじめました

正直な話をすると、メガネかのんでテンションが上がったのは事実です(わたしはメガネっ娘が大好きなので……)
そして、妹ちゃんがメガネっ娘でさらにテンションが上がったのも事実です(わたしはメガネっ娘が大好きなので……)

第二のスクールアイドル

「始まりは君の空」MVにて、可可のスマホ画面に写っていた二人組ですね。
ここでも出てくるということは、おそらくは重要人物なのでしょう。個人的には、可可の「先導者」的存在なのではないかと思っているのですが……。

ちなみに、このシーンで写っていたビルの名前であろう文字列は、「ラブライブ!スーパースター!!」グループ名決選投票にて最終候補となった「Spica*」から取られているものと思われます。今回の挿入歌「未来予報ハレルヤ!」のライブシーンでも、同じくグループ名最終候補となった「Yuine」や「0sing」の看板がありました。ちょっとしたファンサービスですね。

gs.dengeki.com



身内ゆえの容赦なさよ


ありあ「アイドル!?」
かのん母「あんたが!?」
かのん「うるさいなあ! 話聞かないで!」

「始まりは君の空」での、かのん自己紹介ボイスドラマでも触れられていた部分ですね。
しかし、身内であるとは言え、ちょっと容赦なさすぎやしないか。

今回、平安名のセリフ全然なかった気がする


すみれ「私を誰だと思ってるの?!」

これ、絶対「すみません! 知らないです!」って言われるパターンでしょ。

ラブライブ!スーパースター!!PVロングVer.感想 ~ロングVer.があるならもっと早く言って欲しかった~ - メガネ(裏)

そんなことはなかった。てへギャラ。

伝統のキーアイテム

「羽根」もまた、「ラブライブ!」を象徴するアイテムのひとつですね。
かのんは羽根の存在にまだ気づいておらず、その色も白いまま。「サンシャイン!!」の前例から考えるに、ストーリーが進むにつれ、羽根もその姿を変化させていくものと思われますが、はてさて。

キーアイテムその2

自身のパーソナルマークにもなっていることから、ヘッドホンはかのんを象徴するアイテムといえそう。
そしてこのヘッドホン、「ヘッドホンをつける」⇒「心をシャットアウトしていることの暗喩」ととれるシーンがいくつかあり、

終盤、可可のもとへ駆け戻るシーンにおいて「走りながらヘッドホンを外した」⇒「可可に対して心を開いた」ととれる演出に繋がっているのが、ベタながらもウマいんですよね。

今回のここ好きポイント

同じシーンで、階段を一段とばしで駆け上がっているところが地味に好き。




第一話でここまで語ることになるとは思わなかったというのが、正直な話としてあります。
これは次回の話にも期待が持てま……、


かのん「次回、『スクールアイドル禁止!?』」

何があった。