ラブライブ!スーパースター!!第十一話「もう一度、あの場所で」感想 ~信じることが大事だと、自分に言い聞かせたら~

皆様、こんにちは。
「アニメニジガク」二期において「もしかしたら、毎話、新規楽曲がくるのでは……?」という可能性に思い至りましたが、進捗いかがですか。


だって、各メンバのソロ曲×12+全体曲でちょうど13曲ですからね。1クールでやるにはぴったりじゃないですか。
まあ、あまりこの件に関して花京院の魂を賭ける気持ちにはなりませんけど。


www.youtube.com

そして、現在「にじよんシーズン4」に栞子が出ているわけですが、シーズン5以降でランジュとミアも出ることになるのでしょうかね。その辺も気になるところなのです。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第十一話」からの引用です。



私……、歌えるのかな

見事、「ラブライブ!」地区予選を突破し、東京大会へと進出したLiella!。
そんな彼女たちのもとに、ある依頼が舞い込んできました。

理事長「来てもらったのは、これが来たからです」

それは、かのん・千砂都の母校である小学校からのライブ依頼でした。凱旋ライブですね、わかります。
ふたつ返事で承諾するLiella!ですが、かのんはひとりだけ、どこか微妙な表情をしていました。それもそのはず。彼女にとって「あの場所」は、「敗北」のはじまりとも言える場所だったのですから。


その後、千砂都経由でかのんの「敗北」について知ったLiella!メンバの提案で、かのんはライブ会場の下見に訪れました。
「あの場所」に再び立ち、もう一度歌おうとするかのん。一瞬だけ声をつまらせるも、仲間たちの後押しを受けて、かのんは素晴らしい歌声をステージいっぱいに響かせます。
たったひとりで歌った、あのときとは違う。今のかのんには、頼もしい仲間がいる。隣に立ち、同じ目標に向かって歩んでいく仲間がいる。

これなら、もう大丈夫。

かのんは、そしてLiella!メンバはそう思ったのかもしれません。わたしも、そう思っていました。
……そう思っていたのですが。

歌わなきゃ、「ひとり」で

小学校ライブに向けての下見も終わり、練習に励むLiella!。そこに「ラブライブ!」東京大会の課題が発表されたとの知らせが届きました。

シブヤレポーター「東京大会の課題はこちらっ!」

この課題を聞いた瞬間、可可たち、そしてわたしたちは思ったことでしょう。「これならば、かのんの独壇場だ」と。「スーパースター!!」のストーリーにおいて、圧倒的な歌唱力の持ち主として語られるかのん。唯一の懸念事項であった「敗北」の過去も、今までのストーリーや今回のAパートでの様子を見る限り、ちゃんと克服できている様子。もう、今の彼女なら大丈夫。

しかし、そうは思わなかった人物もいました。

千砂都「うん。かのんちゃんが歌えているのは、みんなと一緒だからだと思う」

幼いときからずっと一緒で、一番近くでかのんのことを見てきた千砂都だからこそ、わかることもあるようです。
今まで「ひとりじゃないから」こそ歌えていたかのん。スクールアイドルになってから、ステージで歌うときはいつだって「みんな」がそばにいて、一緒に歌ってきた。そして、その事実が彼女の背中を押していました。しかし、東京大会での課題である「独唱」はそうもいきません。「みんな」がそばにいてもその力を借りることは出来ず、たった「ひとり(独り)」で歌わなければならない。皮肉なことに、かのんがはじめての「敗北」を経験した、「あの場所」でのシチュエーションとよく似ているのです。


可可は言います。「仲間がいるから歌えるって、素敵なことだと思います」と。「仲間がいるから」ということに限らず、「誰かのため」を想い「誰かのため」に歌えるということについては、かのんの美徳と言えるでしょう。

しかし、今の澁谷かのんは「スクールアイドル」なのです。

そして、なぜスクールアイドルは「自らのステージを、自らの手でイチから作り上げる」のでしょうか。それは「自分たちの気持ちや思いを伝えるため」ではないでしょうか。自分たちで作り上げた歌や振付を、自分たちの言葉として昇華させることで、自分たちの気持ちや思いを伝える。そのために、スクールアイドルはステージに立つのでしょう。

ラブライブ!スーパースター!!第五話「パッションアイランド」感想 ~いつも笑い絶やさないあの子も~ - メガネ(裏)

ここで挙げたセルフ引用は「グループとしてのスクールアイドル」について語ったものという部分が大きいのですが、同じことは「個人としてのスクールアイドル」についても言えると思うんですよね。
そして「自分たちの気持ちや思い」ならぬ「自分の気持ちや思い」を伝えるためには、「ひとり」(=「自分自身」)と向き合う必要があるのでしょう。

そのきっかけは「あの場所」でのライブ依頼、そして「ラブライブ!」東京大会の課題である「独唱」なのは確かです。しかし、それはあくまでもきっかけにしか過ぎません。
かのんが「スクールアイドル」としてさらなる一歩を踏み出すためには、「ひとり」と向き合うことは避けて通れない道なのです。

再構築される「ひとりじゃないから」の意味

「みんな」と一緒に歌い続ける限り、かのんが「ひとり」で歌うことに対しての不安は消えないのではないか。
そう考えた千砂都たちの計らいで、かのんは「Liella!」としてではなく「澁谷かのん」として、ひとりで「あの場所」でのライブに挑むことになりました。


ライブ当日。
ステージ裏でスタンバイするかのんは、ケータイを手に取ります。発信先は千砂都。それは胸の内に佇む不安からくる行動だったのかもしれません。

かのん「私、みんながいたから歌えてた。それでいいと思っていた。でも、それじゃダメなんだよね」

かのんは静かに語ります。
彼女も、本当は気付いていたのでしょう。スクールアイドルとしてさらなる一歩を踏み出すためには、「ひとり」と向き合わなければならないということに。
そんなかのんに対して、千砂都は告げます。

千砂都「いるはずだよ、あの頃のかのんちゃんが」

その言葉がトリガーとなったのでしょうか。かのんは、かつての自分自身を幻視するのです。キラキラした笑顔で仲間たちを励ます、かつての自分自身を。そして突然襲いかかる不安と恐怖で立ちすくむ、かつての自分自身を。


その不安と恐怖は、何か理由があってやってきたものではないのかもしれない。しかし、そうだとしても、その恐怖はまるで悪魔の囁きのようにかのんの心に入り込み、そして牙を剥く。

だけど、それでも。

歌うことが楽しくて。歌うことが大好きで。
たとえ、理由のない恐怖に襲われる未来が待っていたとしても。その恐怖が「敗北」を引き起こすことになったとしても。その「敗北」に、長い間苦しめられることになったとしても。
そうだとしても、「楽しい」も「大好き」も、確かに私の胸の中にあったんだ。そして、その気持ちは今でも私の胸の中に刻まれているんだ。


かのんが幻視したそのヴィジョンは、かつての自分自身から届けられた、時空を超えたメッセージだったのかもしれないと、わたしは思うのです。

かのん「大丈夫。大好きなんでしょ?」

かのんは、かつての自分自身に語りかけます。まるで、あの日から胸の中に秘められていた「楽しい」と「大好き」を、かつての自分自身に返してあげるかのように。

その行動は、過去の「敗北」を乗り越えるためでも、受け入れるためでもありません。たとえ「敗北」という過酷な運命が待ち受けていようとも、その心には確かに「楽しい」や「大好き」といったキラキラと輝く気持ちがあったのだと、もう一度確めること。それこそが、この行動に込められた意味なのだと思うのです。
「『楽しい』や『大好き』を胸に刻んで、笑顔で歩んでいける自分自身」も「理由のない恐怖に震え、立ちすくんでしまう自分自身」も、すべて「自分自身」として受け止めること。それこそが、かのんにとっての「『ひとり』と向き合うこと」であったのだと、わたしには感じられたのです。

隣には、共に歩んでくれる仲間がいる。そして、それだけじゃない。応援してくれるみんなの声援が、私の背中を押してくれる。
私は、ひとりじゃない。

ラブライブ!スーパースター!!第三話「クーカー」感想 ~ひとりじゃないから、あきらめないで~ - メガネ(裏)

私は、ひとりじゃない。一緒に夢に向かって歩んでいく仲間がいるから。
私は、ひとりじゃない。夢に向かって歩んでいく私たちを応援してくれるみんながいるから。
でも、今はそれだけじゃない。夢に向かって歩んでいくための原動力である「楽しい」や「大好き」をくれた、かつての自分自身がいるから。だから、私はもう、ひとりじゃない。

ステージへ向かうかのんの足取りには迷いはなく、その表情には不安も恐怖もありませんでした。

どこまでも広がれ、「私」のSymphony

「ひとりじゃない」澁谷かのんが、ひとりで立つステージ。そこで披露されるのは「私のSymphony」。わたしたちにとっては「始まりは君の空」リリースイベントでのパフォーマンスが印象深い曲ですね。
その詞は、スクールアイドルとして歩んできたかのんの軌跡と、まるで奇跡のように重なり合い、歌となってステージいっぱいに響きます。


考えてみると、1stシングル「始まりは君の空」に収録されている四曲の中で、最初から最後まで「私」のことを歌い上げている曲は「私のSymphony」だけなんですよね。そういう意味では、「私を叶える物語」を象徴するような一曲なのではないかなと思う部分があります。


そして、「私のSymphony」には、本編で披露されなかった歌詞の中に次のようなフレーズがあります。

右手の小指と左手の小指をむすんで
自分に約束しよう
今日の気持ちずっと忘れないよ

『私のSymphony』/作詞:宮嶋淳子/作曲:高木誠司、高慶"CO-K"卓史/編曲:高慶"CO-K"卓史/弦管編曲:兼松 衆/歌:Liella!


「かつての自分自身から『楽しい』や『大好き』を受け取る」こと、そして「かつての自分自身に『楽しい』や『大好き』を返してあげる」ことは、もしかしたら「自分に約束」することでもあったのかもしれないと、わたしは思うんですよね。
今日受け取った気持ちを忘れなければ、これからも笑顔で歩んでいける。かのんの中で目覚めたのは、きっとこんな気持ちだったのではないのかなと感じるのです。

「あの場所」に響き渡る「私のSymphony」は、かのんが紡ぐ「私を叶える物語」が新たなスタートを迎えたことを告げるファンファーレなのかもしれません。

こぼれ話

呼びかけよう名前を、素晴らしい名前を

千砂都「私は……、『嵐 千砂都』は信じてる。『澁谷かのん』を!」

ここはやはり、「私」・「かのんちゃん」ではなく、あえて「嵐 千砂都」・「澁谷かのん」と呼んだのが重要なポイントなのかなと感じる部分があります。「アニメニジガク」第八話での「『私』は『桜坂しずく』のこと、大好きだから!」というかすみのセリフに通ずるところもありますよね。

かつて、あるひとは歌いました。「名前、それは燃える生命(いのち)」と。名前とは、ただ単に自他を識別するための符号ではなく、その存在に確固たるパーソナリティを確立させるための、重要なファクタなのです。

ラブライブ!スーパースター!!第九話「君たちの名は?」感想 ~心に持ってたよ、Dreaming Energy!~ - メガネ(裏)

第九話感想でも話題に挙げたように、「スーパースター!!」では「名前とは、ただ単に自他を識別するための符号ではな」いということについて、「無印」や「サンシャイン!!」よりも意識的に描写しているのかなと思う部分があります。第三話での「可可⇒かのん」の「『名前の呼び方』が変わるイベント」が明示的に描写されたり、第九話でまるまる一話使ってグループ名決定の過程を描いていたり。第十話において、可可がはじめてすみれの名前を呼ぶシーンも、まさしくそれなんですよね。

「無条件の信頼」が唐 可可でやってくる

可可「そうですよ! かのんは可可とステージに立って歌いマシタ! あのときから、一度だって歌えなくなったことはありません!」

今までのストーリーにおいてもそうだったんですけど、可可はかのんに対して無条件かつ無限大の信頼を寄せているようなところがありますよね。
今回のエピソードにおいて「信じてるけど、やはり心配」な気持ちが見え隠れしていた千砂都とは対照的だなという気持ちがあります。

可可にとって、かのんとの出会いは「先導者」であるSunny Passionとの出会いと同じくらい、もしかしたらそれ以上に大きなものであったのかもしれません。かのんと出会えたからこそ、スクールアイドルとしての「私」が、新しい「私」がはじまるのだから。

ラブライブ!スーパースター!!第三話「クーカー」感想 ~ひとりじゃないから、あきらめないで~ - メガネ(裏)

そして、その信頼は「かのんと出会えたからこそ、スクールアイドルになることが出来た」という恩義に由来する部分が大きいのかなと思うのですが、それはそれ、これはこれ。

今回のここ好きポイント

すみれ「私も、どうしても家族が神社を手伝えって……」

かのんをひとりでライブさせるために、Liella!メンバが一芝居打つシーン。
可可や恋がふんわりとした言い訳をする一方で、しっかりとした理由を用意しているすみれ。「さすが、アドリブに定評がある平安名すみれだ……」となるんですよね(もしかしたら、あらかじめ考えておいたのかもしれませんけど)

今回のここ好きポイント その2

可可とすみれ、ドヤ顔までおんなじね。




ラブライブ!スーパースター!!」も、次回でついに最終回。
物語の終わりというものは、いつだって「楽しみな気持ち」と「寂しい気持ち」が入り交じるような、不思議な気持ちにさせてくれるんですよね。

かのんたちの「私を叶える物語」は、いかなる結末を迎えるのでしょうか。




ラブライブ!スーパースター!!第十話「チェケラッ!!」感想 ~そんな気持ちは、ここで最後に~

皆様、こんにちは。
「アニメニジガク」二期の放送スケジュールが決定しましたが、進捗いかがですか。


そうです。ついに、「アニメニジガク」二期の放送スケジュールが決定したのです。やったぜ。
「R3BIRTH」の三人も出るということなので、一期と比較すると縦軸が強めなストーリー展開になりそうだなという予測があるのですが、はてさて。
いずれにせよ、「どこに向かうか まだわからないけど 面白そうな未来が待ってると」思えてきますね。



あと、「にじよん」は紙媒体で出してくれ。頼むから。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第十話」からの引用です。



波乱のLoveLive!、お題はRap?

いよいよ開催される「ラブライブ!」地区予選。
毎年、出場校最多記録を更新し続けているという「ラブライブ!」。そのような状況を受けてか、今回の地区予選には課題が設けられることになりました(可可が言うところの「ふるい落とし」ですね)

シブヤレポーター「ということで、課題はぁー……、こちらっ!」

どこかで見覚えのあるレポーターから発表された地区予選の課題。それが「ラップ」でした。早くもエピソードタイトル回収ですね。まあ、「流行の最先端地区」と「ラップ」にいかなる関係があるのかはちょっと理解しかねますが……。


それはそれとして、Liella!にとってラップは未知の領域。方向性を模索するかのんたちですが、なかなか悪戦苦闘している様子。明らかに経験が不足していそうなかのんや恋、日本語に不慣れな可可はともかくとして、第二話にてラップを披露していた千砂都ですら、ダンスに集中すると肝心のラップが疎かになってしまうという弱点を露呈します。
そんな中、意外な才覚を発揮したのが……、


www.youtube.com

平安名すみれ。そう、あのすみれです。

「これでも小さい頃からショウビジネスの世界で場数は踏んでいるの。アドリブだったら負けないわ!」と豪語するすみれ。そんな自信満々の彼女に、かのんたちは光明を見出したようで……。

憧れのCenter、待つのはFear?

すみれ「ん……? あれ? これって、もしかして……」

平安名すみれ、ついにセンターに大抜擢。
しかし、あれだけ憧れていたセンターポジションに立つ絶好の機会だというのに、すみれは妙に尻込みする様子を見せ、挙句の果てには逃亡まで図る始末。いつもの自信満々なキミは、どこへ行ったのだ……?


かのん曰く、これは今回に限ったことではないようです。これまでのストーリーにおいて、すみれがセンターにこだわる様子を何度も見てきたことを考えると、意外にも思えてきます。
しかし、かのんは続けて語ります。

かのん「たぶん、自信がないんだろうな。今までのことがあるから」


どんなに望んでも、ついにステージのセンターに立つことが叶わなかった過去。つまり「敗北」の経験が、すみれの心に恐怖を生じさせているのではないかと。

これまで、事あるごとに「ショウビジネスの世界にいた」ことをアピールしてきたすみれ。しかし、その内容はほぼ過去形で語られるものでした。
小さい頃は主役に憧れ、一生懸命頑張って、いろんなオーディションを受けてきたと言うすみれ。しかし、どんなに頑張ったとしても最後はどうでもいい脇役。そんな状況に、いつしか彼女は頑張ることをあきらめてしまったのではないでしょうか。その「敗北」の経験が、ただスカウトを待ち続けるという受動的行動に繋がっていったのではないとも思えるのです。

ラブライブ!スーパースター!!第四話「街角ギャラクシー☆彡」感想 ~銀河の海、超えてゆけ!~ - メガネ(裏)


かつて、すみれと同じように大きな「敗北」を経験し、その「敗北」に押しつぶされそうになったことがあるかのんには、彼女の気持ちが痛いほどわかってしまうのではないでしょうか。

しかし、かのんは同時に確信していたのでしょう。
今のすみれが、それだけではないということを。

すみれ「きゅうじゅうきゅう……、ひゃーく……!」

Liella!メンバがかのん宅の喫茶店で話し合っていたのと同じ頃、すみれ宅である神社の境内。そこにあったのは、今までにないほどに熱心に自主練習を行うすみれの姿でした。

すみれは走ります。センターで輝くことが出来なかった過去の「敗北」を振り切るかのように。
すみれは叫びます。「ちっぽけな昨日までの私じゃない」と宣言するかのように。


しかし、そんな彼女の想いなど知ったことかと言うかのようにに、現実はその鋭い牙を剥くのです。

すみれをセンターに据えたパフォーマンス。かのんたちはそれを動画にして、学校のみんなに見てもらうことにします。しかし、その評価は芳しいものではありませんでした。そのパフォーマンスを見たひとたち曰く、「楽曲は予選突破を狙えるレベル」・「しかし、センターであるすみれが気負いすぎてしまっている」とのこと。
すみれのパフォーマンスを見たひとたちは、その裏に隠された彼女の努力や想いを知ることはありません。しかし、それゆえにその評価、特に「気負いすぎてしまっている」という指摘は、残酷なまでに本質を捉えているように思えるのです。

すみれ「この学校のスクールアイドルなんだから、みんなの意見に従うのが当然でしょ」

すみれ「そもそも、ショウビジネスの世界を歩いてきた私が、『ラブライブ!』なんていう素人の大会の予選くらいでセンターやるのはおかしいって思ってたの」


自身に向けられた手厳しい評価を目の当たりにし、硬い表情で語るすみれ。そんな彼女の姿に、わたしは既視感を覚え、そしてすぐにその正体に思い至りました。
第一話のかのんです。

ここで「才能がない」という言葉が逃げ口上のように使われていますが、実際はそんなことはないのでしょう。
可可は何度も彼女の声を「スバラシイ」と言っていますし、千砂都も「かのんちゃんの歌、聴いていたいけどな」と告げています。冒頭に描かれた中学校時代においても、「きれいな声」という称賛の声が上がっていました。
しかし、それらの声は「敗北」に囚われているかのんには届かない(おそらく、過去においてもそうだったのでしょう。人前で歌えなかったトラウマのせいで)

ラブライブ!スーパースター!!第一話「まだ名もないキモチ」感想 ~つまずきも羽根にして~ - メガネ(裏)


「才能がない」という根拠のない言い訳を盾にして、歌うことをあきらめようとしたかのん。
学校のみんなからの評価、そして「ショウビジネス出身」という経歴を盾にして、「ラブライブ!」地区予選(素人の大会の予選)でのセンターという大役から逃げ出そうとしたすみれ。
そんなふたりの姿が、わたしには重なって見えたのです。

すみれが事あるごとに口にする「ショウビジネスの世界で生きてきた」という言葉。それが単なるビッグマウスでないということはLiella!のメンバだけでなく、わたしたちもよく知るところです。しかし、その言葉の裏に「虚勢」や「強がり」がなかったかと言われると、否定出来ないのではないかと思うところがあるんですよね。
もしかすると、すみれは気づいていたのかもしれません。「ショウビジネス出身」という経歴は、もはや盾とするにはあまりにも頼りないものになってしまっているということに。その盾が守ってくれるのは、自信に満ちあふれた自分自身ではなく、虚勢を張ることしか出来なくなった自分自身であるということに。
たまらずその場から立ち去ろうとしたすみれの前に、ある人物が立ちはだかります。

それは、可可でした。

疑いの眼差し、変化の兆し?

はたして、あの「グソクムシ」にセンターが務まるのだろうか? 他のメンバとは異なり、すみれに対する懐疑的な態度を隠さない可可。
まあ、可可がすみれのことを「グソクムシ」呼ばわりし、厳しく当たっているフシがあるのは、今にはじまったことではないですけど。


個人的にはこういう部分があったので「グソクムシ」呼ばわりも致し方なしと思っていたところはありますが、今はそういう話ではないですね。


それはそれとして、可可がすみれに対して厳しく当たるのは、「ショウビジネス出身」という経歴をさかんにアピールし、その一方でスクールアイドルを「アマチュア」と評して、その活動に対して不真面目であること(少なくとも、可可にはそう見えているのでしょう)が気に食わなかったというのは、要因のひとつとして想像がつくところでしょう。
しかし、かのんに促されてすみれの様子を伺い、そのイメージを覆すかのように自主練習に励む彼女の姿を見て、可可はその認識を改め、そして期待を寄せたのではないでしょうか。
そして期待を寄せたからこそ、自身に向けられた評価を目の当たりにして弱気になり、言い訳に言い訳を重ね、挙句の果てに逃げ出そうとするすみれの姿は、可可にとっては見るに耐えないものだったのでしょう。


逃げ腰のすみれに対し、「何、逃げようとしてるデスカ!」と叱責する可可。その言葉はいつものように、あるいはそれ以上に真っ直ぐなものでした。しかし、そんな言葉も今のすみれには届くことはなく、彼女はそのまま立ち去ってしまいます。

しかし、可可はあきらめませんでした。
かつて、かのんに対して約束したように。

あふれる感情、掴むは希望?

放課後。
いつもの練習場所である屋上に遅れてやってきたすみれは、そこに行く途中で可可と出くわしそうになります。誰かと電話中の彼女は、どうやら練習を抜け出してきたようです。気まずさからか、思わず姿を隠すすみれ。そんな彼女の耳に、可可の会話が聞こえてきました。当然、中国語によるその会話はすみれに理解出来るものではありません(ついでに言うと、わたしも全くわかりません)。翻訳アプリを起動させ「盗み聞き」するすみれ。その内容は、衝撃的なものでした。

スクールアイドルとして結果を出せなければ、可可は故郷である中国に帰らなければならないというのです。


ただでさえ、センターポジションに立つことに対する自信を失っていたすみれにとって、それは追い打ちをかけるかのような真実であり、より一層のしかかる重圧でもありました。
もし、自分のせいで「ラブライブ!」に出場することが出来なくなったら、結果を出せなくなったら……。すみれは、そう考えてしまったのかもしれません。

しかし、そんなすみれに対して、可可は力強く告げます。

可可「可可があなたに任せたのは、あなたがふさわしいと思ったからデス!」

「スクールアイドルが大好き」というその一点において、誰にも負けないくらい強い気持ちを持っている可可。そんな彼女が語る言葉だからこそ、それはどこまでも真っ直ぐ、そして力強く響きます。その言葉は、歌うことをあきらめようとしたかのんの背中を押し、彼女に歌を取り戻させるきっかけを作ったあの日を思い起こさせます。
可可は差し出します。センターポジションの証であるティアラを。かつて、すみれが手に入れることが出来なかった憧れの結晶を。

そして……、

すみれ「ギャラクシー!!」

受け取ったのは、その身を押しつぶす重圧ではなく力強く背中を押す期待。
その瞳に宿すのは、あやふやな虚勢ではなく確かな自信。
その胸に秘めるのは、自分を偽るための奢りではなく自分を認めるための誇り。

今ここに、ショウビジネス界の申し子・平安名すみれのめくるめくステージが幕を開けるのです。

「敗北」からの解放、「飛躍」への一歩。

さて、わたしにとって、第十話のファーストインプレッションは以下のようなものだったんですよね。


ここで言う「フォローエピソード」は以下のツイートの流れを踏まえたものなので、参考までに挙げておきましょうか。


控えめに言って悪口が五割ほど含まれている話なので恐縮なのですが、(アニメ時空における)Liella!において、すみれが成す役割というのが今ひとつ見えにくいという印象があったんですよね。奇しくも、今回のエピソードで触れられた「すみれはスクールアイドルとして高いポテンシャルを持っているが、特化した才覚を持ったメンバが揃ったLiella!においては目立たない存在になってしまいがち」という点に重なる部分があるようにも思いますが、それはそれ、これはこれ。
以前は「すみれが作詞担当になるのでは?」という予測もあったのですが、今のところ、その気配は微塵も感じられませんし。

「FIRST FAN BOOK」での記載から見るに、どこかのタイミングですみれが作詞担当に切り替わっていくのではないかと思っているのですが、はてさて。

ラブライブ!スーパースター!!第五話「パッションアイランド」感想 ~いつも笑い絶やさないあの子も~ - メガネ(裏)


そういうわけで、「すみれがLiella!の中で何かしらの大きな役割を担うエピソード」、あるいは「すみれが自分自身の手でセンターポジションを掴み取るエピソード」あたりが見てみたいなという気持ちが、わたしの中にはあったのです。

そして迎えた今回のエピソード。
早い段階ですみれメイン回であることが判明し、そして実際に、彼女がセンターポジションを掴み取るまでの過程が描かれていきました。
しかし、すみれが今回センターポジションに選ばれたのはあくまでも消去法によるもの。「地区予選の課題がラップである」というシチュエーションがたまたま他のメンバに不向きだっただけで、彼女自身の実力によるものではない。最初のうちは、わたしにはそう思えてしまったのです。

すみれ「ありがとう、可可」
可可「すみれ……」

しかし、このシーンを観直していくうちに、わたしはある考えに至りました。

もしかしたら、すみれにもそれが十分にわかっていたのではないかと。今回、センターポジションを掴み取ることが出来たのは、この特殊な状況に助けられた部分もあったのだと、理解していたのではないかと。
しかし、彼女はその現実に失望もしなければ満足もしませんでした。今回掴み取ったセンターポジションは、あくまでも「通過点」であって「到達点」ではない。今度は誰にもお膳立てされることなく、自分自身の手で再びセンターポジションを掴み取ってみせる。可可にティアラを差し出すすみれから、そのような意思を感じたのです。

今ここにいるのは、過去の「敗北」に囚われ、立ち止まるだけのちっぽけな少女ではありません。輝く光をその手に掴むために大いなる一歩を踏み出した、ひとりの誇り高きスクールアイドルなのです。


これから、すみれがスクールアイドルとしてどのような道を歩み、いかにしてセンターポジションをその手に掴むのか。今後とも目が離せないのです。
まさしく「チェケラッ!!(「Check it out!!」=「注目せよ!!」)」なんですよね。

こぼれ話

「アキバレポーター」じゃなくて「シブヤレポーター」だし

シブヤレポーター「ジャンッ! 今年もついに『ラブライブ!』がはじまりまっーす!!」

彼女の姿が映し出された瞬間、「ぎゃあっ! 出たあっ!!」と叫びだしそうになったのは秘密ということでお願いします。だって、「アニメニジガク」では影も形もはっちゃけてなかったし……。


正直な話をすると、こんな濃いキャラクタが同じ時空に何人もいてたまるか、という気持ちはあるんですよね。「無印」・「サンシャイン!!」と「スーパースター!!」が別時空というのであれば、「プリティーシリーズ」のめが姉ぇみたいな存在だとして納得出来るんですけど……。

「衣装担当」が唐 可可でやってくる

可可「衣装作りは、可可の仕事ですので」

可可がアニメ時空においても衣装担当だと言及されたのって、実ははじめてなのでは……? わたしとしては第六話でステージ演出のギミックを作っていた印象が強く、衣装担当だというのを軽く失念していたというのはあるんですよね。

可可の衣装デザインについては、「始まりは君の空」と「START‼︎ True dreams」で、それぞれベクトルがかなり違う衣装がお出しされたこともあって、引出しが広いという印象があります。まあ、本編で披露された衣装はいかにも「アイドル!」といったものが多いですし、「始まりは君の空」や「START‼︎ True dreams」がアニメ時空においてどのような扱いになるのか、まだまだ未知数な部分はあるんですけどね。

今回のここ好きポイント

千砂都「そんなとき、かのんちゃんに降りてきた『Dreaming Energy』!」

「前回の『ラブライブ!スーパースター!!』」より。
挿入歌タイトルをこういう形で拾ってくるのは、小技が効いているなという気持ちがあります。




前回の次回予告からは、全く内容の予測がつかなかった第十話。
フタを開けてみれば、すみれの「ライジング」回とも言える内容で、いい意味で予想を裏切る展開となったなと思うところはあるんですよね。


「あの場所」とは一体……? どうやら予告映像に映っているのは、幼少期のかのんが初めての「敗北」を経験したステージのようですが、はてさて。

次回も「チェケラッ!!」ですね。




ラブライブ!スーパースター!!第九話「君たちの名は?」感想 ~心に持ってたよ、Dreaming Energy!~

皆様、こんにちは。
今年も残り百日を切りましたが、進捗いかがですか。


これは、今度こそ「『アニメニジガク』二期のスケジュール決定」に花京院の魂を賭けるべきなのでしょうか……。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像は注記がない限り「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第九話」からの引用です。



目指せ、大舞台!

恋が加入し、ついに五人となった結ヶ丘スクールアイドル部。そんな彼女たちのもとに、ある知らせが舞い込みます。

可可「『ラブライブ!』……、『ラブライブ!』ですぅー!」

第五話でも話題に挙がっていた、スクールアイドルの頂点を決める大会「ラブライブ!」。そのエントリーがはじまったのです。なんとなく「無印」一期七話を思い起こさせる流れですね。
ラブライブ!」出場によって得られるステータスは相当なものらしく、学校への入学希望者が激増したり、廃校のピンチから脱した事例まであるとか……。

しかし、思い出してみてほしいのです。わたしたちが知る「ラブライブ!」において、スクールアイドルが学校を救ったという明確な事実が、今までにあったのかということを。

ラブライブ!スーパースター!!第八話「結ばれる想い」感想 ~五線譜の上、結び合わせた未来は~ - メガネ(裏)

前回の記事でこんなことを言ったわたしが、ピエロになってしまった件について。


それはそれとして、かのんたちも出場に前向きな様子。大会出場によって学校の名が知れ渡ることになれば、恋が掲げる「必ずなしとげる義務」を達成することにも繋がるでしょうし、もちろんスクールアイドルをやるからには大舞台に立ちたいという意気込みもあるのでしょうし。

「無印」一期では「ラブライブ!」不参加、「サンシャイン!!」一期では「ラブライブ!」予選参加ということで、本作はどうなるのか予測がつかない部分がありましたが、こう来たか……、という気持ちが出てきます。
しかし、このまま素直に「ラブライブ!」に挑まず(あるいは、挑むことが出来ず)、また違った波乱が起こる可能性もあるんですよね。正直な話をすると、そうなってほしい気持ちもゼロではない。まだまだ、これからの展開から目を離すことが出来ないのです。


さて、かのんたちは「ラブライブ!」にエントリーしようとするのですが、彼女たちはこのタイミングで重大なことに気づきます。

そう、グループ名が決まっていないのです。

Der Kongreß tanzt

今までそれが必要となる機会がほとんどなかったとは言え、グループ名がまだないというのは相当の珍事態(μ'sもAqoursも、もっと早い段階でグループ名が決まっていましたからね……)。さっそくグループ名を考えるかのんたちですが、意見は一向にまとまる気配を見せません。それならばと校内で公募をかけますが、これでも意見は全く集まらず。Sunny Passionとの会話からヒントを得て動画配信で意見を募ろうともしますが、こちらでも全然足並みが揃わず、もはやグループ名を考えるどころの騒ぎではありません。
それのみならず、かのんと恋の勘違いにより「ラブライブ!」出場のための新曲が全く完成していないことまで判明。さすがに、ここまで来てしまうと「足並みが揃ってないってレベルじゃないでしょ! 最初に認識のすり合わせをしなさい! 身から出たサビだぞ!!」とツッコみたくなる気持ちが出てきますね……。

かのん「難しいんだよ。この五人ってバラバラだし、最初から何か目的を持って集まったわけでもないし……」

それはそれとして、かのんのこの指摘も、もっともな部分があるんですよね。
個性強めなメンバが揃っているという点については「ラブライブ!」シリーズの伝統としてありますが、そもそもの話として、彼女たちがスクールアイドルをはじめるきっかけからしてバラバラなところがあります。かのんは「スクールアイドルに『歌える場所』を見出した」から。可可は「Sunny Passionをはじめとするスクールアイドルへの憧れ」から。すみれは「ステージのセンターで輝きたい」から。千砂都は「かのんと同じ目標に向かって頑張り、彼女の助けになりたい」から。そして、恋は「結ヶ丘を盛り上げ、この街で一番の高校にしたい」から。見事にバラバラなんですよね。
そして、わたしの中では、このスタンスの違いがかのんたちの間で決定的な亀裂や不和を生むのでは……、と危惧していた部分があったんですよね。特に、スクールアイドルを実質的に「目的」として捉えている可可と、実質的に「手段」として捉えている他の四人では、方向性にかなりの違いがあると言えますし。
しかし今回の話で、思っていた以上にマイルドな形でこの話題がお出しされたので、ひとまずは安心出来るかな、といったところですね。

我が名は「Liella!」。我々は「結ぶもの」であるがゆえに。

恋の邸宅にカンヅメになってまで悪戦苦闘するも、なかなかグループ名や新曲が決定しないかのんたち。悪戦苦闘しているのはかのんだけという気もしますが、ここでは触れないことにしましょう。

おまけに、ナナミたちからもパブリックイメージの薄さを指摘されてしまいます。自分たちでも薄々気づいていたことではあったようですが、やはり客観的に指摘されると堪える部分はありますよね。

ヤエ「あなたたちって、はじまったばかりというか、まだ真っ白って言うのかなあ」
かのん「あっ……」

しかし、かのんはこの言葉から何か感じ取ったものがある様子。ひとり、練習を抜けると、そのまま一気に新曲の歌詞を書き上げてしまうのです。第二話のときもそうでしたけど、一度スイッチが入ったときのかのんの爆発力、眼を見張るものがありますよね。

さらにかのんはその勢いのまま、グループ名まで考案してきました。
かのんがナナミたちとの会話からインスピレーションを得て考え出したグループ名。それこそが、わたしたちにとってはお馴染みとなった、あの名前。

そう、「Liella!」です。


その名は「結ぶ」を意味するフランス語「Lier」と「(内面的な)輝き」を意味する「Brillante」をあわせたもの。

gs.dengeki.com


かつて、結ヶ丘の創設者・葉月 花は「みんなが音楽で結ばれること」を望み、「結」をその学校名に冠しました。
彼女が遺したノートを通じてその想いに触れ、「みんなのために歌いたい」という気持ちをより一層強くしたかのんが同じ言葉にたどり着き、スクールアイドルとしての名前にその言葉を選ぶのは、必然だと思えてきますね。

「輝き」の中に秘められた「可能性」

「Liella!」には、もうひとつの大切な言葉が込められています。「Brillante」、つまり「輝き」です。

かのん「スクールアイドルを通して、いろんな色の光で結ばれていくといいなあって思ったんだ」

かのん「赤だったり、青だったり、緑だったり……。繋がったり結ばれていく中で、私たち自身想像しないような、いろんな色の光になっていく。それはまだ何色でもない私たちだから出来ること」

今回のエピソードにおいては、「輝き」というワードが直接的に言及されることはありませんでした。しかし、かのんが語る言葉から「輝き」に込められた想いを感じ取れるように思うのです。


教室での会話で、ヤエはかのんたちを「真っ白」と評しました。「真っ白」な「輝き」。それはつまり、ありとあらゆる色の光を内包しているということ。その「真っ白」な「輝き」は、かのんたち五人が持つ色も併せ持っています。バラバラな彼女たちが持つバラバラな色が重なり合うことで、新しい色が生まれていく。それだけでなく、学校のみんなやSunny Passionに代表されるスクールアイドルたち、そしてスクールアイドルを応援するファンとの結びつきによって、その光は無限に変化し、どんな色にでもなることが出来る。
さらに言うなら、かのんが挙げた「赤・青・緑」が、いわゆる「光の三原色」であることも、きっと偶然ではないと思うのです。

まだ何色でもない、「真っ白」な「輝き」であること。それはきっと、ありとあらゆる色を宿し、ありとあらゆる色を放つことが出来る無限の可能性を持つということ。
「Liella!」が持つ「輝き」とは、そんな「可能性」の象徴なのかもしれません。

こぼれ話

制服が違うってことに気づくタイミングが明らかにアレだと思うけど、もうツッコまないからね

すみれ「まさか、あんたまで普通科に移ってこようって?」
恋「いえ、科によって制服で区別するのではなく、自由に選べるようにしたほうがいいと、理事長から提案がありまして」

しれっと普通科の制服を着ている葉月 恋・イズ・何?!

ラブライブ!スーパースター!!第八話「結ばれる想い」感想 ~五線譜の上、結び合わせた未来は~ - メガネ(裏)

普通科の制服を着ている恋」の答え合わせです。

考えうる限り、最も穏やかな答えがお出しされたなという気持ちがあるんですよね。ここで「普通科に転科しました!」という答えが出てくると「ブルータス、お前もか!」ってなりますし、「普通科と音楽科の制服が統一されることになりました!」だと「親御さんの負担を考えてあげて?!」ってなるところでしたし。
それはそれとして、「何で最初からそうしなかったの……?」っていう気持ちが出てくるのも、また事実なわけで。メタ的な理由として「普通科と音楽科の対立関係を視覚的にわかりやすくする」あたりがあるのだろうという推測は出来るのですが……。

「下から生えてくる」が唐 可可でやってくる

可可「話が彼方にそれています!」

ブルータス、お前もか!
下から生えてくるのは、千砂都の専売特許ではなかったのか?!

(「にじよんシーズン2 #103『誕生日(彼方)1』」より)
『にじよん』#103、#104更新! | 電撃G's magazine.com – ラブライブ!など人気のキャラクター専門誌

あるいは、この辺りからのオマージュかもしれないですね。「彼方」なだけに。

久しぶりの「仕込み」な気がする

恋「わ、わたくしは、特には……。その……、あまり趣旨を理解していないもので……」

恋のメモの中に「綺羅星」の名前が。
例のごとく、……と言うにはちょっと期間が空いたような気がしますが、グループ名決選投票にて最終候補となっていたグループ名ですね。

gs.dengeki.com


それはそれとして、葉月 恋さんのネーミングセンス、どこぞのTCGアニメ主人公のそれなのでは……(「絶世時空」とか、マジでそれっぽいじゃん)


今回のここ好きポイント

恋「そう言えば、わたくしたちって……、」
すみれ「なんてグループ名なの……?」

毎回凝ったエピソードタイトルの出し方でお馴染みの「スーパースター!!」ですが、今回のは特に「問題がのしかかってる感」が出ていて好き。



かつて、あるひとは歌いました。「名前、それは燃える生命(いのち)」と。名前とは、ただ単に自他を識別するための符号ではなく、その存在に確固たるパーソナリティを確立させるための、重要なファクタなのです。
そんな「生命」を手に入れたかのんたちは、「ラブライブ!」出場に向けて「次なる一歩」を踏み出すのです。


なんてこった……。何がどうなって、この「次なる一歩」に繋がっていくのか、展開が全く読めない……。

どうなる、次回。




ラブライブ!スーパースター!!第八話「結ばれる想い」感想 ~五線譜の上、結び合わせた未来は~

皆様、こんにちは。
もうすっかり涼しくなってしまい、夏の暑さに懐かしさすら覚えてしまう今日この頃ですが、進捗いかがですか。


こんなのを見ると、「やはり、かのんはツッコミ役なんだなあ……」という気持ちが出てくるんですよね。
穂乃果や千歌はボケ役の印象が強い部分がありますし、歩夢も割と天然ボケな一面があるのを考えると「ツッコミ役のセンターポジション」は貴重なのでは、と思うところがあります。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第八話」からの引用です。



夢見る少女じゃいられない

www.youtube.com

志半ばでこの世を去った母親・花が遺した結ヶ丘女子高等学校を守り、「この街で一番の高校となる」ことを「必ずなしとげる義務」として、たったひとりで戦うことを決意した恋。「学園祭を音楽科メインで行う」という公約破りも、結ヶ丘に入学希望者を集めるための苦渋の決断だったようです(作中においてはかのんたちの推測という形で語られてはいますが、概ね真実なのだと思われます)

ただし、このときに唇を噛みしめるような表情を見せたり、「学園祭は音楽科メイン」を宣言する際に言いよどんだりと、どこまでが彼女の本心なのかわかりかねるところもあるんですよね。

ラブライブ!スーパースター!!第七話「決戦!生徒会長選」感想 ~未来の色はまだ、ぼやけて見えやしない~ - メガネ(裏)

おそらく、当初の公約である「普通科と音楽科が手を取り合う学校を目指す」というスローガンこそが彼女の本心だったと思うんですよね。しかし、理事長から次年度の入学希望者数が芳しくないことを知らされ、苦肉の策として公約破りをブチかました、というところではないでしょうか。


それはそれとして、そんな恋の本心を知る由もない普通科と音楽科の対立はいよいよ本格化。そもそも、これまでのストーリーでさんざん示唆され、すみれも「そりゃそうよ。元々、みんな感じていたからね」と話すように、火種はその辺にいくらでも転がっていました。爆発は時間の問題だったのです。
どうにか両者の仲を取り持とうと奔走するかのん。彼女の心には、神津島でのSunny Passionとの交流で生まれた「みんなのために歌いたい」という想いがあったのでしょう。しかし恋から事情を口止めされているせいで、それもなかなか上手くいきません。詳しい事情を言えないがために普通科・音楽科の両者から言われ放題かつ圧され放題のかのん、まあまあ不憫です。

しかし、そんなかのんの奮闘は、ある意味では無駄ではなかったのかもしれません。かのんの動きを聞きつけた恋はスクールアイドル同好会の部室を訪れ、最後に残された「謎」について語り始めます。

かのんたちが、そして視聴者であるわたしたちが最も知りたかった「謎」。
恋がスクールアイドルを敵視する、その理由を。

恋「かつてここには、学校を廃校から救うためにアイドル活動をする生徒がいました」

恋の母親はスクールアイドルとして、神宮音楽学校を廃校の危機から救うべく活動していたこと。しかし、その夢は結局叶わず、学校は廃校となってしまったこと。恋の母親がスクールアイドルとして活動していた記録は一切残っておらず、そのことから恋は「母は学校を救うことが出来なかったスクールアイドル活動を後悔していたのではないか」と考えたこと。それが、彼女が語ったスクールアイドル敵視の理由でした。
「この街で一番の高校になる」という「必ずなしとげる義務」を持つ彼女にとって、廃校を阻止出来なかった「負の実績」を持つスクールアイドルは、けして認めることが出来ない存在となってしまったのでしょう。「約束された勝利」に固執するかのような今までの姿勢も、このあたりに由来していたのかもしれません。

スクールアイドルは廃校阻止の夢を見るか

神宮音楽学校、そして葉月恋の母親に秘められた過去。それを聞いた多くの視聴者は、かつて伝説を作り上げたスクールアイドルたちの姿を思い浮かべたのではないでしょうか。あるひとは音ノ木坂学院を救うために活動したμ’sのあり得たかもしれない可能性を見たかもしれず、またあるひとは浦の星女学院を廃校から救うことが出来なかったAqoursの姿をそこに重ね合わせたかもしれません(わたしの場合はどちらかというと前者でした)
しかし、思い出してみてほしいのです。わたしたちが知る「ラブライブ!」において、スクールアイドルが学校を救ったという明確な事実が、今までにあったのかということを。

「無印」では、確かに音ノ木坂学院は廃校の危機を脱しました。しかし、それはμ’sの活躍だけで成り立ったものではなく(ストーリーの流れでそう見えている部分はありますが)、あくまでもオープンキャンパスの成果などを総合的に判断した結果です。「サンシャイン!!」においては、先述したようにそもそも廃校を阻止することは出来ませんでした。


スクールアイドルには学校を救う力はないのかもしれない。しかし、もしそうだとするなら、学校を救うことが出来ない彼女たちの活動には意味はないのでしょうか。

少なくとも、わたしたちはその答えを知っているはずです。

たとえ、夢のカタチがそこになかったとしても

「母はスクールアイドル活動を後悔していたはず」という恋の言葉に懐疑的なかのんは、真相を確かめるべく結ヶ丘に残された神宮音楽学校時代の資料を捜索します。そして彼女は、スクールアイドル同好会部室の奥に眠っていた一冊のノートを発見するのです。

そこに残されていたのは、かつてのスクールアイドルたちの想いでした。

「学校がひとつになれたから。この活動を通じて、音楽を通じて、みんなが結ばれたから。最高の学校を作り上げることが出来たから。」

恋の母親はスクールアイドル活動のことを後悔していなかったと、そのノートには綴られていました。廃校阻止という「結果」ではなく、それを目指す「過程」において、みんなの心が、絆が、想いが結ばれていったこと。そこにスクールアイドル活動の意義があったのだと、彼女は感じたのでしょう。

ラブライブ!」シリーズにおいても、「廃校阻止の可否」や「『ラブライブ!』優勝」そのものではなく「それらを目指すにおいて穂乃果や千歌たちが何を得ていくのか」を描くのがメインとなっている部分があるかと思います。

ラブライブ!スーパースター!!第二話「スクールアイドル禁止!?」感想 ~今、こころが駆け出すんだ~ - メガネ(裏)

これをセルフ引用するのはめちゃくちゃ恐縮なのですが、つまりはこういうことだと思うのです。恋の母親たちが「得て」いったもの。それこそが「結ばれる想い」だったのではないでしょうか。

葉月 花「スクールアイドルは、お母さんの最高の思い出!」

想いの詰まったノートの存在に触れた恋は、かつての母の言葉を思い出すのです。きっと彼女は、神宮音楽学校への、そしてスクールアイドルへの思い出に込められた母の「想い」の大きさを実感したのでしょう。
これもまた、過去から現在へ、そして母から娘へ向けて贈られた「結ばれる想い」なのではないでしょうか。


さて、ここでひとつ疑問が残るわけです。「なぜ、恋の母親はスクールアイドル活動の記録を残していかなかったのか」と。その答えに対するヒントもまた、伝説に名を残したスクールアイドルが持っていました。
「サンシャイン!!」の時代において、音ノ木坂を救った神話的存在としてその名を知られていたμ’s。しかし音ノ木坂の生徒曰く、μ’sは学校に「何も残していかなかった」といいます。「モノなんかなくても、心は繋がっているから」と。
恋の母親の行動と重なる部分がありますね。たとえカタチあるものは残せなくとも、スクールアイドルとして歩んでいく中で生まれ、育まれてきた想いや絆はけして消えず、それぞれの心のなかに無限に残っていく。それを知っていたからこそ、恋の母親はわかりやすいカタチで何かを残していくことはしなかったのでしょう……。

理事長「はい、残っていたお母さんたちの活動の記録」

実は残っていた記録もあったという点については、ご愛嬌ってことで。
現実的なことを言うならば、全く記録が残っていないというのも、それはそれでマズいでしょうからね……。

夢を叶えるその名を叫べ

「この場所で作られた、たくさんの想いのために歌いたい」というかのんの気持ちに応え、ついに仲間入りをはたした恋。今ここに「スーパースター」が完成したのです。
そして、わたしたちは目撃します。結ヶ丘に集いし「スーパースター」がひとつとなり、新たな絆が未来を照らすその瞬間を。

かのん「1!」
可可「2!」
すみれ「3!」
千砂都「4!」
恋「5!」

わたしたちにとってはお馴染みともいえる、あの号令。可可が「夢見ていました!」と語るように、それは数多くの夢見る少女たちによって、その想いとともに受け継がれたものだったのでしょう。
かのんたちがその号令を受け継ぐということ、それは「彼女たち」の想いを受け継ぎ、その歴史に名を連ねるということなのだと、わたしには感じられるのです。


そして迎える学園祭のライブステージ。
かのんたちは、自らの存在証明として高らかに宣言するのです。

「私たちは、結ヶ丘女子高等学校の……、」
「スクールアイドルです!」

こぼれ話

「自分のために」から「みんなのために」へ

今回のエピソードにおいて、普通科と音楽科の対立関係を解消するために奮闘し、「この場所(=神宮音楽学校、そして結ヶ丘女子高等学校)で作られた、たくさんの想いのために歌いたい」という想いから恋を仲間に引き入れた我らが主人公、澁谷かのん。それはSunny Passionとの交流で生まれた「みんなのために歌いたい」という気持ちが成した行動なのではないかというのは、先述した通りです。
スクールアイドルとしての澁谷かのんのファーストステップは「ここ(=スクールアイドル)でなら、私も歌えるんだ」という想いからでした。ある意味では「自分のために」スクールアイドルになったといえます。しかし、スクールアイドルとして歩みを進めていく過程で、彼女の想いは着実に変化しているように思えるのです。
変化の兆しを見せたこの想いが、いかにして「私を叶える物語」として昇華していくのか。今後の展開が待たれますね。

「0か100か」が唐 可可でやってくる

可可「ですが、今のままでは葉月さんは……」

葉月家の家庭事情を知り、同情的な態度を見せる可可。今までの対抗姿勢はどこへやら。

可可「考えてみればそうでした。葉月さん、スクールアイドルに反対なのですよね!」

……かと思えば「恋はスクールアイドルを敵視している」という事実を思い出して対抗姿勢をぶり返してみせたりと、なんていうか忙しないですね。
「敵か味方かの二者択一しかないんかい……?」という心配が出てくる部分もありますが、それはそれ、これはこれ。

野望は、いつだってデカくあるべき

かのん「恋ちゃん、センターやってみない?」



すみれ「私はセンターをやるのは、もっと大きなステージって決めているから」


真面目な話をするなら、このステージは「この街で一番の高校となる」という恋の「義務」達成の第一歩となるものなので、恋がセンターとなることについての意義みたいなものはあるよねという気持ちはあります。

今回のここ好きポイント

恋「……入学希望者、増えるでしょうか?」
かのん「正直言うと、わからない」

ここで安易に「絶対大丈夫だよ」みたいな気休めを言わないかのん、誠実さが垣間見えて好き。




ついにメンバ全員が集結し、「五人揃ってオールスター」となった結ヶ丘スクールアイドル部(特に説明もなくさらっと同好会から部に昇格していて、これに気づいたときは驚きましたね……)
ここから、彼女たちの新たなるストーリーが……、


しれっと普通科の制服を着ている葉月 恋・イズ・何?!

そして、「そうか、まだグループ名は『Liella!』じゃないんだな……」という事実に思い至るなどするわけです。
さて、かのんたち「スクールアイドル部」は、いかにして「Liella!」となるのでしょうか。




ラブライブ!スーパースター!!第七話「決戦!生徒会長選」感想 ~未来の色はまだ、ぼやけて見えやしない~

皆様、こんにちは。
「アニメニジガク」二期でかすみんの髪飾りはどうなるのだろうかと考えるあまり、夜しか眠れなくなる日が続いている今日この頃ですが、進捗いかがですか。


「アニメニジガク」再放送、いよいよ今週末からスタートしますね。つい二ヶ月ほど前まで再放送していたような気もするのですが、それはそれ、これはこれ。どうせならアニメ二期がはじまるまで毎クール再放送したら面白いのに、という気持ちもありますが、さすがにそれは難しいかな。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第七話」からの引用です。



ぼくらの七日間選挙(七日間とは言っていない)

新学期。
理事長の粋な計らいによって普通科に転科した千砂都。彼女を正式なメンバとして迎えたかのんたちスクールアイドル同好会は、心機一転……、

かのん・可可「えっ、ええー!?」

キミたち、ちぃちゃんが転科することを知らなかったの?!


それはそれとして、かのんはナナミたち(めちゃくちゃ久しぶりに見た気がしますね、この三人)から、生徒会発足とそれに伴う生徒会長選挙について知らされます。
これは一大事です。何が一大事かって、現段階で生徒会長への立候補を表明しているのが葉月 恋だけであるということ。スクールアイドルを敵視している恋が生徒会のトップになってしまったら、スクールアイドル活動が大幅に制限、最悪の場合は活動禁止ということになりかねません。それを危惧した可可と千砂都は、かのんを生徒会長候補に擁立しようと目論みますが、当の本人は全力拒否。幼き日の千砂都を颯爽と助けたかのんさんは、どこに行ったんですかね。

すみれ「しょうがないわねったら、しょうがないわね……!」

そこに出しゃば……、もとい名乗りを上げたのが、我らが平安名すみれ。
生徒会長選挙はすみれと恋の一騎打ちとなるのですが、奮闘も空しくすみれは落選。あえなく落選。落選ったら落選。……はい、そこのあなた。「奮闘してたっけ……?」とか「そりゃこうなるよ!」とか言わないの。

何を思うか、葉月 恋

恋「生徒会長として……、いえ、創立者の娘として知る権利があります」

生徒会長となった恋は、真っ先に理事長のもとを訪問。「来年の入学希望者数」について尋ねます。
ここでわたしは「ん……?」と思ったわけです。結ヶ丘は創立してまだ一年にも満たない高校。いつぞやの音ノ木坂や浦の星じゃあるまいし、入学者希望数を気にするような段階ではないと思うのですが……。

さらに所信表明演説においては「学園祭は普通科と音楽科が協力して行う」という公約を引っくり返し、音楽科がメインとなって学園祭を開催することを宣言した恋。普通科からは激しい反発の嵐が巻き起こることになります。本日二度目の「そりゃこうなるよ!」です。

ただし、このときに唇を噛みしめるような表情を見せたり、「学園祭は音楽科メイン」を宣言する際に言いよどんだりと、どこまでが彼女の本心なのかわかりかねるところもあるんですよね。
仮にこれが恋の本心でない場合、それが誰の思惑なのか、という問題が発生する部分はあるのですが、はてさて。

Liella!探偵団、始動!

就任早々の公約破りをブチかました恋について「何か、理由がある気がするんだよねえ……」と語るかのん。昨日「スクールアイドルを敵視する理由」を恋から聞き出そうとし、けんもほろろな対応をされてしまった件もあわせて、どこかに引っかかりを覚えている様子です。

そんなわけで、かのんたちは下校する恋を尾行(もしかして、劇場版「サンシャイン!!」で曜を尾行したAqoursのオマージュ……?)。さらには突撃お宅訪問まで決行してしまいます。ノープランが過ぎる気もしますが、それはそれ、これはこれ。

かのん「ひとりって、どういうこと? お金がないって……」
恋「そのままの意味です」

そしてかのんたちは、現在葉月家にいるのは恋と使用人のふたりだけであるということ、古くから仕えているその使用人を解雇しなければならないほどに葉月家には資産がなく、そのせいで学校運営も危ういという事実を知るのです。恋が「来年の入学希望者数」を尋ねた件は、このあたりに繋がってくるのでしょうか。

それはそれとして、「知りたいのはそういうことではないんだよなあ……!」と思わず言ってしまいたくなるような、もどかしい気持ちが出てきてしまいますね。確かに、恋が置かれている状況はあまりにハードモード過ぎて、衝撃の事実というには十分すぎるほどです。しかし、元々かのんたちが知りたかったのは「恋は、なぜスクールアイドルを敵視するのか」ということだったはず……。

どちらかというと、かのんたちが見つけた神宮音楽学校時代のものと思われるアルバムや卒業写真のほうが深く関わっているようにも思えてくるんですよね。アルバムに収められた写真に写っているこのふたり、恋の母親と理事長に見えますし。
「恋がスクールアイドルを敵視する理由」・「神宮音楽学校に秘められた過去」・「葉月家が置かれている現状」。はたして、これらのピースはひとつの「パズル」として完成するのでしょうか。謎は尽きません。

そして、「スーパースター!!」においての「スクールアイドルプロジェクト」は「私を叶える物語」であるために、より「個人」(今回においてはかのん)にフィーチャしたかたちで「敗北」が描かれたのでしょう。

ラブライブ!スーパースター!!第一話「まだ名もないキモチ」感想 ~つまずきも羽根にして~ - メガネ(裏)

さらにわたしが思うのは、この「パズル」こそが(かのんにとっての「大事なときに歌えなかった経験」や、すみれにとっての「センターで輝けなかった過去」のような)恋の「敗北」に深く関わっているのではないかということです。あるいはその「敗北」は、現在進行形なのかもしれませんが……。

まあ、上手いことシナリオにノセられているような気持ちも出てきますが、なんやかんや言って悪い気分ではないんですよね。次回以降が気になるところです。

こぼれ話

自己紹介でもわざわざ話題にしているくらいですしね

www.youtube.com

このとき、かのんが用意していた飲み物はアップルティーといちごミルク。恋の好物はいちごなので、それを知っていたらいちごミルクのほうを渡すはずなんですよね。なかなか芸コマだなと思えるところです。
まあ、現段階におけるかのんと恋はそのようなことを話し合えるほど親しくもないので、当然といえば当然なんですが。


【2021-09-15 追記】

「Liella!生放送」でも話題に上がっていましたが、「恋が自分でアップルティーを選んだ可能性」については完全に失念していましたね……。確かに、かのんなら「どっち飲む?」くらいは尋ねそうですし。

「そこはかとない体力向上」が唐 可可でやってくる

可可「もう……、ダメです……」
かのん「可可ちゃん!?」

ここ数話、ぶっ倒れてばかりな印象が強かった可可でしたが、それでも「体力0」が「体力3」くらいにはなっているような気はします。あるいは気のせいかもしれませんが。

ある意味、オイシイ役回りと言えなくもない

すみれ「不本意なんですが……」

可可や千砂都から雑な扱いを受けたり、生徒会長選挙ではまさかのマイナス票を獲得したりと、いわゆる「矢澤枠」としてのポテンシャルを存分に発揮したすみれ。
とは言え、これはもう言い逃れが出来ないのでは。この直後に「うんちだー!」まで来るのは、ちょっとダメ押しが過ぎる。

すみれ「すっ、みっ、れっ! メンバの名前忘れてどうするの!」
千砂都「すみませーん、新入りなもので……」

さらには「すなんとかさん」呼ばわりである。雑な扱い、ここに極まれり。

今回のここ好きポイント

かのん「うー、いろいろ渋滞してるー!」

後ろは後ろで「どうしたの、どうしたのー、どうしたのー?!」って騒がしくて好き。程よくわちゃわちゃしている感じがいいんですよね。




フタを開けてみればコメディ色が強めで(概ね、すみれのせいなのではという気はしますが)、新たに提示された情報も断片的なものが多く、「わかるようでわからないな?」感を覚える部分もあった第七話。次回ですべてにケリがつくこととなるのか、はたまた「無印」・「サンシャイン!!」に倣って第九話まで持ち越しとなるのか……。
いずれにせよ、次回を観ないことにはわからないことも多いですし、じっくり待つことにしましょうか。