幻日のヨハネ 第十話「いってらっしゃいヨハネちゃん!」感想 ~「自分」と「みんな」の狭間で~

皆様、こんにちは。
ほんの少し前までは「暑い」・「熱い」・「アツい」を連呼していたのに、ここ最近はすっかり涼しくなったように思えてならない今日この頃ですが、進捗いかがですか。あるいは、今までがあまりに暑すぎたせいで感覚が麻痺してしまったのか。


ウソでしょ。


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それはそれとして、さすがにもう「澁谷かのん!」呼ばわりではないんですね。安心したような、残念なような。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『幻日のヨハネ』第十話」からの引用です。



ちぐはぐなホームワーク、あるいは「自分」と「みんな」の二項対立性について

燃え尽き症候群、もとい充電期間を終わらせたいと考えながらも、あと一歩のところで踏ん切りがつかないヨハネ。そんな彼女のもとに、ある報せが舞い込みます。それは、トカイで行われるオーディションの案内でした。

ヨハネ「私にしか出来ない、楽しくてたまらないこと……。夏祭りでみんなと一緒に歌ったけど、でもそれは、自分のためだったのかっていうと……」

ヨハネ「私のことを応援してくれてるひとたちがいて、そのひとたちの気持ちに応えたい!」

ヨハネ「私がもう一度トカイに行って、一人前にならなきゃいけないと思えたのは、支えてくれたひとたちのおかげです」


「そこはかとなく、『ちぐはぐ』さを感じるなあ……」というのが、思うところとしてあるんですよね。

ヨハネが母親から課された「ヨハネにしか出来ない、楽しくてたまらないことを見つける」という「宿題」。今回のエピソード冒頭でも回想されていた第九話でのヨハネのセリフ、特に「『自分』のため」というワードから考えるに、彼女は「やりたいと思う気持ちこそが一番大事」という(「ラブライブ!」シリーズの根幹のひとつでもある)精神性に、そのヒントを見出しているように思えます。
しかし、トカイでのオーディションに挑戦する意志を固めたヨハネから出てくる言葉は「応援してくれてるひとたち」・「支えてくれたひとたち」。行動のモチベーションが「自分」ではなくて「みんな」なんですよね。

「『自分』のため」と、「『みんな』のため」。
このふたつのファクタが、どうにも上手く噛み合っていない。つまり、「ちぐはぐ」であるように、わたしには感じられてしまうのです。


もちろん、「『みんな』のために頑張ること」が出来るのは素晴らしいことです。これまでのストーリーにおいて、街のひとたちと「縁」を結び、仲間たちとの「絆」を繋いできたヨハネ。街のひとたちや仲間たちに助けられ、ひととひととの「繋がり」の素晴らしさを実感しながら成長してきた彼女が「今度は、私が『みんな』のために」と考えるのは何ら不思議なことではないと、わたしには思えます。「『みんな』のために頑張る」というのは、(「やりたいと思う気持ちこそが一番大事」という精神性と同じように)今までの「ラブライブ!」シリーズでも数多く取り上げられてきた図式でもありますしね。
あるいは、「『自分』のため」と「『みんな』のため」は、必ずしも対立する概念ではないのかもしれません。「『みんな』のために頑張ることが『自分』がやりたいことなんだ」というのも、けして不自然な考え方ではないはずですから。
「『みんな』のために頑張りたい」・「『みんな』の期待に応えたい」というのはヨハネの本心から出た言葉なのだと、わたしは信じています。しかし、彼女が「『みんな』のために頑張ることが、『自分』がやりたいことなんだ」と思えているとは、どうしても信じきれないというのも、また事実としてあるのです。「『みんな』のために頑張ること」・「『みんな』の期待に応えること」を「『みんな』のために頑張らなければならない」・「『みんな』の期待に応えなければならない」という「義務」や「責務」として捉えてしまっているような、そんな雰囲気を感じてしまいます。


わたしが感じたこの「ちぐはぐ」さが、勘違いである可能性は否定出来ません。むしろ、勘違いであってほしいところでもあります。しかし、一度感じてしまった「ちぐはぐ」さは、そう簡単に拭いきれるものではないんですよね……。

はたしてヨハネは、「宿題」にどのような答えを出すのでしょうか。

こぼれ話

冷たさの裏にあるものは

ライラプス「私は行かない。トカイにも、パーティにも」

「一緒にトカイに行かないか」と誘うヨハネを冷たく突き放すライラプス。「誰にも甘えず一人前になる」と宣言したそばから「でもやっぱり、ひとりは心細いな……」などと宣うヨハネに、「どの口がほざくか!」と思いたくなる気持ちも理解はしますが、それだけでは「パーティにも出ない」とまで言う理由としてはちょっと弱いような……。
パーティでの挨拶でヨハネが語ったように「ヨハネを半人前にしないために、あえて突き放すような言動をとった」というのが、ライラプスの心情として考えられるところではあります。しかし、ここでヨハネのセリフとしてしっかり提示してしまっているあたりに、どこかミスリードめいたものを感じずにはいられないんですよね。この際、「ライラプスはヌマヅの土地神であり、それゆえにヌマヅから離れることが出来ない」みたいな展開があっても驚かない(これはこれで、「パーティにも出ない」とまで言わせる理由にはなりませんが……)

クソ田舎だから他の娯楽がないのかしら

ダイヤ「お呼びだてして申し訳ありません。ある噂を耳にしたもので……」
ヨハネ「噂?」
ダイヤ「ヨハネさんがヌマヅ代表の歌手として、再びトカイに行くという噂です!」
ヨハネ「ええっ、トカイには行きますけど、別にヌマヅを代表して行くわけでは……」
ルビィ「で、トカイのでっかいところでライブして、キャーキャー言われるんだよね!」
ヨハネ「なんか、だいぶ尾鰭がついてる……」

「噂が噂を呼び、想像以上の大騒動に発展」な展開を、第九話に続いてテンドンしてくるなんて思いもしないじゃないですか……。あまりの尾鰭のつきっぷりに「もしかして、これもヨハネがヌマヅを飛び出した原因のひとつなのでは……?」と邪推してしまうところもあるのです。

ダイヤ「そこで、ヨハネさんをトカイに送り出すための一大イベントを開きたいと思います! 題して、『ヨハネさんいってらっしゃいパーティ』!」
ヨハネ「『いってらっしゃいパーティ』?!」

そして、ヨハネに確認を取ることなく不確かな噂だけで企画を進めてしまうダイヤたちには「ちょっと落ち着け」と言いたくてたまらなくなる。だってもう、見て下さいよ。このライラプスの呆れ顔。
ダイヤひとりで権力の濫用をやらかしたというよりは、行政局が一丸となって暴走してしまったというのが実情なのではないだろうかと思うところはあるのですが、それはそれとして「ちょっと落ち着け」なんですよね。ヨハネが「オーディションは三日後」と言っていたことから、この企画が一日足らずで立案・実行されたであろうことも察せられ、それがさらに「ちょっと落ち着け」感を加速させます。まあ、そのようなツッコミを織り込んだ上でのギャグ的演出として意図されているのであろうというのは、容易に想像がつくところではありますが。

今回のここ好きポイント

ヨハネ「オーディション、前のときはダメダメだったから……。今度こそ失敗したくないなって……」

トカイでのオーディションという大きすぎるチャンスを目の前にして、ヨハネの胸中によぎる不安や恐れ。しかし、仲間たちから与えられた気付きによってその不安や恐れは払拭され、彼女は一歩を踏み出すための決心を固めるのです。
このヨハネの心情を「太陽と雲」にリンクさせる演出には、ベタながらベターといった趣(おもむき)を感じるんですよね。

今回のここ好きポイント その2

ルビィ「皆さん、お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません!」

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ここまでやるなら、「えいえいおー!」もどうにかしてねじ込んでほしかったというのが、気持ちとしてあります。



「天災は忘れた頃にやってくる」と言わんばかりに襲いかかる「異変」。これまでにない規模でヌマヅ全域を飲み込んだ「異変」は、ヨハネたちにも容赦なくその牙を向くのです。

ストーリーもラストスパートを迎えようとするなかで、事態は大きく急転直下。
さあ、どうなる次回。




幻日のヨハネ 第九話「ライラプスをさがせ」感想 ~カウントダウンは、はじまった~

皆様、こんにちは。
お盆休みが過ぎれば暑さも和らぐと思いきや、全然そんなことはない今日この頃ですが、進捗いかがですか。


いきなりどうした。
いや、この直前のリツイート、もといリポストに関連したものだと理解はしているんですけど、それも含めて「いきなりどうした」なんですよ。新規版権絵のようにも思えるけど、わざわざこのために用意したのだろうか……?


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それはそれとして、フル尺でのダンスプラクティスムービーは珍しいのではという気持ちがあります。
Liella!4thライブツアーについては東京公演ライブビューイングチケットを確保したので、そこでのパフォーマンスを楽しみに待つことにするのです。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『幻日のヨハネ』第九話」からの引用です。



「別れ」の足音は、すぐそこに

夏祭りでのライブを終え、すっかり燃え尽き症候群ヨハネ。そんな彼女を横目に、ライラプスはひとりでどこかへお出かけ。そんなライラプスが気になって仕方がないヨハネはこっそり後をつけるのですが、ふとした拍子にその姿を見失ってしまいます。「ライラプス行方不明」の情報は街中を駆け抜け、やがてヌマヅ全域を巻き込んだ大騒動に……。

「別れ」のときは、近いのかもしれない。

今回のエピソードで、真っ先にわたしが感じたことです。
「これからもずーっと一緒だよ!」と笑うヨハネの言葉に、答えを返さないライラプス。ふたりの出会いを、ヨハネとともに懐かしむライラプスヨハネの歌を「すごく素敵だったよ」と、感慨深そうに語るライラプス。仲間たちとたわむれるヨハネを、どこか寂しげに見守るライラプス。そして、ライラプスの影に隠れて一枚だけ花びらを失った青い花。そのどれもが、ライラプスとの「別れ」を示唆しているように思えてならないのです。
こうなってくると、今回のエピソードにおけるライラプスと街のひとたちとの交流やヨハネとの出会いの場所への来訪も、「別れ」の前の最後のあいさつだったのでは、と感じてしまうところもあるんですよね。

ヨハネ「なんか、あのときの魔法がずっと続いてるみたい。だって、あれからみんなと嘘みたいに仲良く……、なれたし」

ライラプス「確かに魔法みたいに上手くいったね」

懸念事項はもうひとつ。
「物語」があまりにもトントン拍子で進みすぎている。わたしには、そのように思えてならないのです。

幻日のヨハネ 第八話「届け! Sea breeze」感想 ~成長の裏に潜む「弱さ」と「脆さ」~ - メガネ(裏)


さらに言うなら、わたしがこれまでのストーリーにおいて感じていた「トントン拍子」感を、ヨハネライラプスも感じていたということには驚きが出てきたところもあるのです。それと同時に、彼女たちの言葉は「今までの『トントン拍子』感は、すべて意図的なものである」という「物語」からの宣言であるかのように思えてなりません。
こうなってくると、前回のエピソードにて感じられた「嵐の前の静けさ」が、より実感を持って立ち塞がってくるような気持ちになってくるのです。この「静けさ」の先に待ち構える「嵐」が一体いかなるものとなるのか、もはや我々の理解が及ぶところではないのかもしれないと感じるところもあります。いずれにせよ、我々に出来るのはそのときを待つことだけなのでしょう。


「縁」や「絆」といった、ひととひととの「繋がり」。この「物語」は、そんな「繋がり」について、一貫して描き続けてきたと言っても過言ではありません。
ヨハネにとって最初の「縁」であり「絆」である、ライラプスとの「繋がり」。その繋がりが断たれてしまうとき、この「物語」にいかなる波乱が吹き荒れるのでしょうか。

こぼれ話

本当にそれでいいの?

ヨハネ「でも、もう出来たし、お母さんからの夏の宿題! みんなで歌って楽しかった、以上!」
ライラプス「それが本当にヨハネにしか出来ない、楽しくてたまらないこと?」

ライラプス「それで、ヨハネはこれからどうするの?」
ヨハネ「えっ?」
ライラプス「みんなと仲良くなって……、それから?」

燃え尽き症候群ヨハネに対して投げかけられた、ライラプスの問いかけ。その問いかけが「そんなわけないでしょ」という反語的な意味合いを含んでいることは明白ですし、ヨハネが「宿題」について再び考え直すきっかけにもなったわけですが、その問いかけの先にあるファイナルアンサーがどのようなものになるのかは全く想像もつかないというところがあります。そもそも、「仲間たちと『絆』を繋いで、ヌマヅに迫りくる『異変』を解決する」というのも「宿題」の答えとしては申し分ないものであるように思っていたんですけどね。
ヨハネは「もう少しで見えそうなんだ」と語っていることですし、これまでのエピソードに何かしらのヒントは潜んでいそうな気配はそこはかとなく感じられるのですが、はてさて。

それが、ヒーロー

ライラプスヨハネって、たまに無謀だよね」
ヨハネ「しょうがないじゃん!」

「トップヒーローは学生時から逸話を残している……」
「彼らの多くが話をこう結ぶ!!」

『考えるより先に体が動いていた』と!!」

(以上、すべて「僕のヒーローアカデミア」一巻 No.1「緑谷出久:オリジン」/作:堀越 耕平 より)

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「身体が動いちゃうんだから!」と語るヨハネの言葉に、「僕のヒーローアカデミア」におけるNo.1ヒーローのセリフを思い起こしたところがあるんですよね。
それはそれとして、ヌマヅに戻ってきたばかりのヨハネだったら、ここまでの「ヒーロー」性を発揮していただろうかと思うところもあります。「縁」を結び、「絆」を繋ぎ、「前向きな気持ち」を手に入れて成長してきた今のヨハネだからこそ、ここまでの「ヒーロー」性を発揮出来るのではないでしょうか。
さらに言うなら、この「ヒーロー」性がそのまま「主人公」性にも繋がってくるのではと思えるところもあるんですよね。

イヌ科に「縁結び」のイメージはあまりないように思うのだが、それはそれ、これはこれ

ヨハネライラプスはさ、私がヌマヅに帰ってきたとき、この街に馴染めるように、居場所を作っていてくれたんだよね」

ライラプスと一緒にいる女の子」というイメージが定着すれば、ヨハネも街のひとたちと「縁」を結びやすくなるだろうというライラプスの気遣い。穏やかで人当たりが良いライラプスの性格あってこその行動に、素直に「なるほどね」を感じたところはあります。

そろそろ本格的にトンチキが恋しい

ダイヤ「なんですって!?」
コハク「先程、ルビィさんから、ライラプスが行方不明になったと」
ダイヤ「今すぐ、ヌマヅ全域に捜索依頼を!」

「噂が噂を呼び、想像以上の大騒動に発展」というのはコメディとして定番の流れであるように思うのですが、その方向での発展が今ひとつだったことについては、少し期待外れにも似た気持ちが出てきたところはあります。久々にどデカいトンチキが楽しめるものだと思っていたんだけどなあ……。

「ちょっと聞いた? ライラプスがいなくなっちゃったんだって」
「あら、さっきは元気に歩いてたけどねえ……」
「噂では、ヌマヅを出てったんじゃないかって」
「家出?! なにか辛いことでも……」
「かわいそう……。絶対見つけなきゃ……」

それはそれとして、噂に尾鰭がついた結果としてヨハネにあらぬ疑いがかかるのではないかと、無駄なハラハラが出てきたところはある。優しい世界で良かった。

今回のここ好きポイント

この手の流れだと「結局、カツサンドを食べることが出来なかった」というのがよくあるパターンであるように思うのだが、(一口とは言え)何事もなく食べられたのは意外というか、何というか。さらに言うなら、このあと完食した可能性まで出てくるところもある。





「別れ」の気配がその濃さを増していくのを、より一層感じさせられた今回のエピソード。それとともに、「みんなが知ってるあの子の、みんなが知らない物語」も終わりへと向かって……、

次にいなくなるのは、お前なのかよ?!
これはツッコミを入れていいものなのか、判断に迷わざるを得ない。一体、どんな顔をして次回を待てば良いのやら……。

どうなる、次回。




幻日のヨハネ 第八話「届け! Sea breeze」感想 ~成長の裏に潜む「弱さ」と「脆さ」~

皆様、こんにちは。
お盆休みが終わっても台風の暴挙は終わってくれない今日この頃ですが、進捗いかがですか。


「簀巻き」がここまで擦られることになるとは思っていなかったという気持ちがあります。「アニメニジガク」一期第七話・二期第二話にて「簀巻き」彼方ちゃんに全部持ってかれたあの頃も遠くなりにけり。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『幻日のヨハネ』第八話」からの引用です。



「弱さ」・「脆さ」が導く未来予想図

いよいよはじまった夏祭り。ライラプス曰く「前までは羨ましそうに眺めてただけだった」ヨハネも、仲間たちと一緒に夏祭りを満喫します。しかし、ふとした拍子に大事な魔法の杖を紛失してしまい……。

ヨハネ「私は、最高の舞台でみんなと歌いたいの。それには、あの杖がないと……」

ヨハネ「そばにいたのに! 杖失くしたとき、一緒にいたんだから気づいてくれても良かったじゃん!」


これまでのストーリーにおいて「縁」を結び、「絆」を繋ぎ、確かな成長を見せてきたヨハネ。今回のエピソードでは、そんな彼女の心に未だ潜む「弱さ」と「脆さ」が垣間見えたように、わたしには感じられます。

杖を紛失したことに気づいたヨハネの動揺は、これまでのストーリーにおいても全くと言っていいほど見られなかったものでした。ライラプスは「もし杖が見つからなくても、ヨハネは歌えると思う」と励ましていましたが、「とてもじゃないけど、それは疑わしいなあ……」と渋い顔が出てきてしまうほどに。
ヨハネ自身も「今まで歌うとき、必ずあの杖があったの」と語り、歌うとき以外でも肌身離さず持ち歩いていた魔法の杖。その魔法の杖(あるいは、それがもたらす魔法)に、これほどまでにヨハネが依存していたという事実には驚きが出てくるところがあるんですよね。

また、この直後のシーンにおいてヨハネライラプスに対してブチかました理不尽な暴言についても、ヨハネライラプスに対して抱いている「甘え」の裏返しであるように、わたしには感じられてきます。
幼い頃から常に一緒で、気心が知れた仲であるヨハネライラプス。素直になりきれない言葉の裏に秘められたヨハネの気持ちを的確に慮り、優しい眼差しで彼女を見守ってくれる、ヨハネにとっては姉妹のように近しい存在。その関係性にヨハネは少なからず「甘え」を抱いていたのだと、わたしには思えてくるのです。そして、「大事な魔法の杖を紛失した」という精神的な極限状態においては、その関係性が最悪な形で作用してしまったのではないでしょうか。


そして、今回のエピソードにおいてヨハネが見せた「弱さ」・「脆さ」からは、新たな不安要素を感じてしまうところもあるのです。

もし、ヨハネが魔法そのものを失うことになったとしたら。
もし、ヨハネライラプスと別れることになったとしたら。

特に後者についてはOP映像で示唆されていることもあり、かなり確度の高い未来予想図であるように思えます。また、今回のエピソードで(ほんのわずかな時間であったとは言え)魔法の杖を失くす展開をお出ししてきたということは、今後のストーリーにおいてヨハネが魔法そのものを失う可能性もゼロではなく、むしろその前フリとして今回のエピソードが用意されたかのようにも感じられてくるのです。


懸念事項はもうひとつ。
「物語」があまりにもトントン拍子で進みすぎている。わたしには、そのように思えてならないのです。
確かに、第三話における「異変」に囚われたシカとの対峙や、今回のエピソードにおける魔法の杖紛失事件など、これまでのストーリーにおいてもトラブルはいくつか発生しています。しかしながら、いずれのトラブルもエピソードを大きく跨ぐことなく解決しており、「ヨハネが仲間たちとの『縁』を結び、『絆』を繋ぐ」・「ヌマヅを襲う『異変』と対峙し、ヨハネの歌にその対抗策を見出す」・「ヨハネの歌の力を発揮させるために夏祭りのステージでライブを行い、そのライブは成功を収める」といったストーリー全体の流れには不自然に思えるほどのスムーズさを感じずにはいられないのです。「嵐の前の静けさ」ではありませんが、このスムーズさがこれまでにない特大級トラブルの前触れに思えてならないのは、そして、その特大級トラブルが「魔法の喪失」や「ライラプスとの別れ」であるように思えてならないのは、わたしの考え過ぎでしょうか。


魔法とライラプスヨハネにとっては、どちらも失いたくない大切なものであるはずです。
その大切なものを失う未来が来てしまうのだとしたら、彼女は一体どうなってしまうのでしょうか。

こぼれ話

適切に助けを求めることが出来るのも、ひとつの能力なのです

リコ「そういうことなら」
マリ「私たちも手伝うよ」
ヨハネ「ふたりとも……!」

リュウ・セツ・ラン「たーこがいっぱい、おなかもいっぱい、ゆめいーっぱい!」

第七話においては見栄を張るあまり誰の手も借りずにひとりで女子会幹事を遂行しようとしていたヨハネが、リコやマリ、リュウゼツラントリオの手助けを素直に受け入れている光景には、感慨深さが出てきます。「大丈夫じゃなーい!」と弱音を吐いたり、カッコ悪いところを見せられるようになったのもひとつの成長ですし、それだけ仲間たちと打ち解けることが出来たということでもあるのです。
さらに言うなら、彼女たちがヨハネを快く手助けしてくれるのは「縁」や「絆」の賜物だと感じさせてくれるところもあるんですよね。

隣は何を知る犬ぞ

ライラプス「ねえ、ヨハネ。もし杖が見つからなくても、ヨハネは歌えると思う。だって、ヨハネの力は……」

ライラプスヨハネ、あの杖には……」

ヨハネの魔法について何か知っているがゆえの言葉」であるようにも聞こえるし、「ヨハネを励ますための方便」にも思えてくる。ヨハネの言葉に遮られて最後まで聞き取れないがために余計に判別不可能であるというのもベタながらベターな演出といった趣(おもむき)があり、ある種の忌々しさすら感じさせるところもあるんですよね。
以前より意味深な言動はちらほら見えているし、なんでヨハネとコミュニケーションを取れるのかも明らかになっていないし、動物学者のリコですら「あんな動物見たことない!」と言っているし……。
ホントに何なんだ、あのでけえ犬は。

正直な話をすると、ただのモブキャラだとは思わなかった

「他のモブキャラではめったに見られない銀髪・白髪」+「夏祭り装束の非着用」=「妙な存在感を発揮するモブキャラ」。
ラブライブ!」シリーズ全体で見ても、ここまで存在感があるモブキャラはなかなかいないように思える。

今回のここ好きポイント

リコ「もしかして、トンビが巣を作るために持っていったんじゃあ……」

結果として「当たらずと言えども遠からず」な絵面であったことについては、「嘘でしょ?!」という気持ちが出てこないでもない。




夏祭りでのライブが大盛況のうちに終わりながらも、今後のストーリー展開に対する不穏さを感じずにはいられない今回のエピソード。

その上で、次にお出しされるエピソードタイトルがこれなんですよ。「もしかして、ライラプスとの別れがこんなにも早く……?」という気持ちと「言うて、ストーリーも後半戦に差し掛かったばかりだし、いなくなるにはちょっと早すぎやしないか……?」・「『ライラプスをさがせ』だし、一時的にいなくなるだけでしょ……?」という気持ちがせめぎあってしまうんですよね。

次回や、いかに。




幻日のヨハネ 第七話「女子会ってなぁに?」感想 ~「縁」が「絆」に変わるとき~

皆様、こんにちは。
世間ではお盆休み真っ最中な今日この頃ですが、進捗いかがですか。


「花帆ぴょんだぴょん!」という幻聴が聞こえました。きっと、夏の暑さのせいだと思います。


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『幻日のヨハネ』第七話」からの引用です。



夏に結びあわせた「絆」は

ルビィの提案で開催されることになった女子会。幹事に抜擢されたヨハネは張り切って準備を行いますが、連日の準備による疲労や慣れない気遣い、極度の緊張が重なって女子会の最中に倒れてしまいます。目を覚ましたヨハネは気張りすぎていた自分自身を省みることで、この女子会で「やりたかったこと」、そして「これからやりたいこと」に気づくのです。

ヨハネ「最初はみんなと話して、思い出作りたかっただけなのに……」

ヨハネ「みんなのことが知りたくて、みんなにも仲良くなってほしくて」

これまでのストーリーにおいて、様々なひとと出会って「縁」を結んできたヨハネ。今回のエピソードは、ヨハネが今まで結んできた、緩やかな結びつきである「縁」が、より強固な繋がりである「絆」へと昇華するための第一歩であるように感じられました。


ソフトボールに天体観測、お泊まりにスイカ割りにお菓子作り。同じ女子会でも、やりたいことはみんな「バラバラ」。まとまりも統率もあったものではありません。しかしながら、みんなが「バラバラ」で個性に満ち溢れているからこそ魅力的。その事実に気づいたからこそ、ヨハネは魅力的なみんなのことをもっと知りたいと、そして、魅力的なみんながもっと仲良くなってほしいと願ったのではないでしょうか。

あなたの「やりたいこと」って、なぁに?
あなたの「大好きなこと」って、なぁに?
出会ったばかりの私が知らないあなたのこと、出会ったばかりの私しか知らないあなたのこと。そして、誰も知らないあなたのこと。
私にもっと、あなたのことを聞かせてよ。みんなにも、あなたのことをもっと聞いてもらおうよ! 

そんなヨハネの願いが聞こえてくるかのように、わたしには思えるのです。
女子会終盤において、ヨハネがしおりを手に取ることなく、自分自身の言葉でみんなに語りかけたのも、「みんなのことも、もっと聞かせてよ」という彼女の願いの表れでもあるように、わたしには感じられます。


さらに言うなら、「みんなが『バラバラ』であり、だからこそ魅力的である」という理論はこれまでの「ラブライブ!」シリーズでも数多く語られており、こういったところからも「幻日のヨハネ」が「ラブライブ!」シリーズの一員であることを強く感じさせてくれるんですよね。

そして、「メンバそれぞれが『バラバラ』であり、だからこそ魅力的である」という理論は、今までの「アニメニジガク」や「ラブライブ!」シリーズでも数多く語られてきているんですよね(「無印」二期第六話が、その代表例でしょうか)。無論、これについては「作品の根幹をなすテーマだからこそ、手を替え品を替え、何度でも描いていく」という部分はあるかと思います。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 二期第三話「sing!song!smile!」感想 ~ピース&ピース合わせゆこう、輝けマスターピース~ - メガネ(裏)


「もっと知りたい」・「もっと知ってほしい」というヨハネの願いこそが、彼女たちの関係性をさらに発展させるための第一歩。「縁」が「絆」へと昇華するための第一歩。わたしには、そのように思えてくるのです。

ヨハネ「夏祭りは私ひとりじゃなくて、ここにいる九人で歌いたい。私たちの歌を、想いを、みんなに届けたい!」

そして、魅力的なみんなに出会えたからこそ、ヨハネが抱く「歌」への想いは次のステージへと進んだのでしょう。その想いは「ヌマヅに襲いかかる『異変』に立ち向かうため」だとか「みんなが安心して楽しく過ごせる街を取り戻すため」という大義名分を飛び越えて、「魅力的なみんなと一緒に歌えたら、もっと楽しくなるに違いない」という純粋な予感から出てきた気持ちであるように、わたしには感じられるのです。
そして、「みんなが知ってるあの子」たちが集まって「みんなが知ってるあの子『たち』」になりつつあるこの展開、個人的には「そうきたか!」という気持ちも強く出てきて、ワクワクがさらに高鳴るところなんですよね。


「夢破れた出戻り少女の、歌と魔法と絆の物語」。
「縁」を結び「絆」を繋ぐ少女たちの「物語」は、そのキャッチフレーズが導く方向へ、また新たな一歩を進みはじめます。

もう一度、キミと出会えば

ヨハネ「意地張って、ヌマヅを出て、上手くいかなくて……。ひとりで悩んでた頃が、バカみたい……」
チカ「バカでもいいじゃん!」

かつて「ビッグになる」という夢を抱いてトカイへと出るも、その夢を叶えることが出来ず不本意な帰郷を果たしたヨハネ。そんな過去を思い返して自嘲する彼女に対して、「すごいよ、ヨハネちゃんは!」とチカは言いました。「ひとりでチャレンジすることを選べるヨハネちゃんはすごいと思う!」とも。
たとえ夢破れた過去であろうとも「チャレンジした」ことに意義を見出し、その過去を前向きなものとして捉えることでヨハネに寄り添ってくれるようなチカの言葉は、「サンシャイン!!」一期第十話においてピアノコンクールへと挑戦する梨子の背中を優しく後押しした千歌を思い起こさせるかのように、わたしには感じられるのです。
たとえ「みんなが知らない世界」で紡がれる「みんなが知らない物語」であろうとも、それぞれのキャラクタが持つ精神性は確かに「みんなが知ってるあの子」であると思えてきて、安心感と同時に感慨深さも出てくるところなんですよね。

さらに言うなら、チカたちの言葉で「バカみたいな過去もきっと無駄ではなく、みんなとの『絆』に繋がっている」という気づきを得たことは、きっとヨハネにとっての救いになったのだと、わたしには思えるのです。そして、その救いはヨハネが新たな一歩を踏み出すための推進力にもなるはずなのです。


きっと、これからのストーリーを通して、わたしたちは「みんなが知ってるあの子」たちに何度も再会するのでしょう。その予感が、わたしにはとても嬉しく感じられてくるのです。
あのまぶしい陽光に導かれてスクールアイドルに出会った、わたしには。

こぼれ話

トンチキ・イズ・どこへやら

ルビィ「女子会をしよう!」
ヨハネ・マリ・リコ・ダイヤ「女子会……?」

ほんのりと、トンチキの香りがしてきましたね……。

幻日のヨハネ 第六話「ひとみしりのハーモニー」感想 ~「縁」は続くよ、どこまでも~ - メガネ(裏)

前回のエピソードラストで感じた香りは、気のせいだったのでしょうか。予想外にもマジメなエピソードが展開されたので、拍子抜けにも似た気持ちが出てきたというところはあるんですよね。
マジメにやってくれるのも悪くはないのですが、そろそろ第三話のトンチキが恋しくなってきてしまうので、良くない意味で良くない。

どこから仕入れたの、その知識

マリ「聞いたことがあるわ……。『着飾った女子たちが集まって、わざとらしく笑いあう』会と……」
リコ「確か文献によると、『女子たちが本性を露わにしあう、恐ろしい集まり』と見かけました……」
ルビィ「なんか、ちょっと違う気がするけど……」

あまりにもド偏見に満ち溢れていて、大変良いと思います。

まさかの私服

まさか、さらなるパターンの私服が見られるとは思ってもいなかった。こちらは良い意味で予想外。やはり、女の子には色んなお洋服を着てほしいんですよね。

ヨウ「わあ、みんな私服だと、印象違うねえ!」

それはそれとして、みんなが普段着ているのは私服ではないのか……?

ボクっ娘なのかな

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曲名は「GIRLS!!」なのに、一人称は「僕」なのか……、という気持ち。

今回のここ好きポイント

ダイヤ「ここに! 第一回ヌマヅ女子会の開会を宣言します!」
コハク「『宣言いたします』」
ダイヤ「宣言いたします!」

言い直す必要あったの?

今回のここ好きポイント その2

チカ「すごーい!」
ハナマル「ひろーい!」
チカ「すごい!」
ハナマル「ひろい!」

「サンシャイン!!」二期第四話でもそうだったけど、チカと組んだときのハナマルってIQがダダ下がりする傾向があるのではなかろうか。






ヨハネ「このまま、みんなと楽しくいられたらいいなあ……」

夏祭りでのライブという新たな目標と、仲間と繋いだ「絆」を胸に、さらなる一歩を踏み出すヨハネ。「みんなが知らない物語」も折り返し地点を迎え、より一層の推進力をもって進んでいく予感がしてくるんですよね。
それはそれとして、このセリフ、どことなくフラグめいて聞こえてしまうのはわたしの考えすぎでしょうか?

ヨハネの背後に流れる流れ星が示すのは、希望の未来か、あるいは……。




幻日のヨハネ 第六話「ひとみしりのハーモニー」感想 ~「縁」は続くよ、どこまでも~

皆様、こんにちは。
暑さのせいで上陸出来ないという噂はどこへやら、台風が思う存分暴れまわる今日この頃ですが、進捗いかがですか。


とんでもねえ情報をさらっとお出しするのはマジでやめてほしいのですが。
それはそれとして、「蓮ノ空時空にμ’sが存在していた(可能性が大幅に高くなった)」となってくると、 「μ's 『僕らのLIVE 君とのLIFE』 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ全員で歌ってみた」動画もこれまでと違った文脈が乗ってくるのではという気持ちが出てくるんですよね。さらに言うなら、「蓮ノ空時空にはAqours・ニジガク・Liella!も存在している」という可能性が出てくるところまである。


そして、やはり「ウィーン」がファーストネームなのでは……? 謎は深まるばかりである。

p1rcdfqqu.hatenablog.com


それでは、本編の詳しい感想をやっていきましょう。
※以下、画像はすべて「TVアニメ『幻日のヨハネ』第六話」からの引用です。



「縁」が導く、その先へ

切り株のステージにて「異変」に襲われるヨハネとマリ。間一髪のところで難を逃れたふたりは、かつて占い屋を訪れた動物学者・リコと出会います。ヌマヅに起こる「異変」についての情報交換・情報収集を通じて心を通わせたかのように見えた三人。しかし、リコは突然「ヌマヅから出るつもりだ」と告げるのです。

ヨハネ「誰にも心を開けないでいたのに、みんなは優しく接してくれて。同じだと思った。だから話したかったの。きっと、歩み寄れるって。一歩踏み出せるって」

ヌマヅを去るリコを見送りに来たヨハネとマリに対し、どことなくよそよそしい態度を取り続けるリコ。そんな彼女に対するヨハネの言葉を聞いたとき、わたしは思いました。
「きっとこのエピソードこそが、『縁』にまつわる『物語』の到達点なんだろうな」と。

かつて「ヌマヅには居場所がない」と感じ、トカイへと飛び出したヨハネ。いわば「縁」の外側にいた彼女でしたが、不本意な帰郷をきっかけに様々なひとと出会って「縁」を結んだ。ヨハネは結んだ「縁」の内側に、自らの居場所を見出すことが出来たのです。そして「こんな何もない街のことなんてどうでもいい」・「こんな小さな街のことなんて私には関係ない」と嘯いて、自分自身を取り巻く状況から目を背けていた彼女が「前向きな気持ち」を手に入れ、自ら一歩を踏み出して、誰かと「縁」を結ぼうとするまでに至ったのです。
そして、それはマリも同じです。「自分自身」や「外の世界」を決めつけ、ひとりきりでワーシマー島に閉じ籠もることで「縁」の外側にいたマリ。しかし、そんな彼女もヨハネと出会い、「縁」を結び、彼女に導かれながら一歩を踏み出すことによって、その「縁」の先にある新たな居場所を見出したのです。マリもまた、ヨハネと同じように「縁」によって「前向きな気持ち」を手に入れたひとりだと言えるでしょう。
「私はヨソモノだから」と一線を引いて、他人との関わり合いを避け続けるリコ。そんな彼女の心に気づき、その心に寄り添い、そしてその頑なな心を溶かすことが出来たのは、「縁」の外側で感じる寂しさと「縁」の内側で感じる暖かさ、双方を知るヨハネとマリだからこそ。そのように、わたしには思えるのです。


そして、いつか来るかもしれない別れに対して臆病になるリコに寄り添うふたりの姿からは、「ラブライブ!」シリーズの根底に流れるマインドのひとつである「だってだって、いまが最高!」を感じるところもあるんですよね。
確かに、出会いと別れは表裏一体だし、別れは寂しいものかもしれない。しかし、その寂しさに恐れをなして立ちすくむよりも、出会いによって結ばれた「縁」を大切にして、一緒に日々を歩んでいこうよ。リコへと向けられたヨハネとマリの笑顔には、そのような「限られた時間の中で精一杯輝こうとする」に通ずるメッセージが込められているように、わたしには思えてくるのです。わたしたちが今まで出会ってきた数多くのスクールアイドルたちと、彼女たちが駆け抜けてきた軌跡が示してくれたように。

過ぎ去りし「過去」ではなく、未だ来ない「未来」でもなく。限りある時間だからこそ「イマ」を大切にして、「イマ」を最高にするために歩んでいこう。

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来るかどうかもわからない未来に怯えて立ちすくむより、「『イマ』が最高」であるために精一杯走り抜いて、この瞬間を目一杯輝くことが「スクールアイドル」としてあるべき姿なのだと。

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たとえ、この世界のヨハネたちがスクールアイドルではないとしても、「『イマ』が最高」であるために精一杯駆け抜けて、この瞬間を目一杯輝こうとする彼女たちの「物語」は、まさしく「ラブライブ!」と言っても過言ではない。そのように、わたしには感じられてくるのです。


ヌマヅのみんなから「縁」のバトンを受け取り、そのバトンをリコへと手渡すことによって新たな「縁」を結んだヨハネたち。彼女たちはその力を合わせて、ヌマヅに襲いかかる「異変」へと立ち向かう決心を固めます。

「みんなが安心して楽しく暮らせるヌマヅ」を、その手に取り戻すために。
「『イマ』が最高」だと、高らかに歌い上げるために。
そして、「最高の『イマ』」を、その手に掴み取るために。

こぼれ話

前者ふたつが同じカテゴリに分類されるのはまだ理解出来るのだが

リコ「何ですか、この子たちは?! 先日から気になっていたんです。詳しく調べさせて下さい……!」

リコ「あなた、なんて可愛い生き物なの……!」

「珍しい生き物」を目撃したときの目の輝きが、「トキメキ」を感じた高咲のそれとめちゃくちゃそっくりなんですよ。
それはともかく、デカいワンコ・空飛ぶウミウシ・なんとも形容しにくい姿かたちをした使い魔・妖精が「珍しい生き物」として全部同じカテゴリに分類されるのはちょっと雑すぎやしませんかねという気持ちが出てくるところはあります。

ヨハネ「ちょっ、リコさん、少し危ないかも……!」

そして、この「危ない」がどういう意味で出てきた言葉なのかも、もうわかったもんじゃねえなという気持ちも出てくる。

前世からの付き合いだからね

マリ「こんなに笑ったの、久しぶり」
リコ「ずっと前から友達だったみたい!」

まあ、かれこれ八年以上も付き合いがあるわけだし。

それはそれとして、ヨハネの魔法の杖にしれっと九個の紋章が刻印されているわけなのですが、「『縁』を結ぶことで魔法の杖に紋章が刻印される」流れはイベントとしてきっちり処理してほしかったなという気持ちは出てくるんですよね。今まで何のためにそれを観せてきたのかと、思わず首を傾げる羽目になってしまう。

いわゆるひとつのヒヤリハット案件

ダイヤ・ルビィ・コハク「おおー……!」

一歩間違えば大事故に繋がりかねなかったのだから、もう少し危機感を持ちませんか、行政局の皆様。

今回のここ好きポイント

ヨハネ「せっかく仲良くなれたと思ったのに……。やっぱりわかんないな、自分以外のひとって……」
ライラプス「自分のことは何でもわかってるみたいだね」
ヨハネ「んあー、わかってるもん!」

「自分のことって、自分では案外わからないものだよね」という点において、ライラプスの言葉に共感出来るところがあります。OPの歌詞にも「わからない 自分なのに 自分のこと」・「ああ私は何がしたい?」とありますし。
さらに言うなら、この会話が今後のストーリーにおいて重要な役割を担いそうな予感もしてくるんですよね。

「自分」とは、自分自身にとって最も身近な存在。「灯台もと暗し」という言葉もある通り、身近であるがゆえに気づけないことは、案外たくさんあるんですよね。

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今回のここ好きポイント その2

ヨハネ「一緒に来てくれたら、ライラプス、調べ放題です」
リコ「……っ! 行きます!」
ライラプス「ええっ?!」

「なにそれこわい」って続くやつ。
個人的に、こういうのにはどうにも弱い。

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チカ・ダイヤ・ルビィ・ハナマル・ヨウ・カナン・マリ。そして、リコ。
「みんなが知ってるあの子」たちと「縁」を結んできたヨハネ。ついに九人が勢揃いし、平和なヌマヅを取り戻すために力を合わせて「異変」と立ち向かう。そんな「みんなが知らない物語」が動きはじめると思うと、ワクワクが加速して……、

ダイヤ「私たちはまだ出会ったばかりです。これから協力体制を図るためにも、もう少し互いを知る必要があると思います」
ルビィ「それなら! 女子会をしよう!」

ヨハネ「女子会……?」

ほんのりと、トンチキの香りがしてきましたね……。
何はともあれ、ちょうどトンチキを切らしそうになっていたんだ。助かる。